1. トップ
  2. フローレンス・ピューが語る、自信をもたらす香水と役作りの深い関係

フローレンス・ピューが語る、自信をもたらす香水と役作りの深い関係

  • 2026.9.3
Mario Sorrenti

「物心ついた頃からずっと、香水とともに育ってきました」。4月のうららかな春の午後、俳優のフローレンス・ピューはそう語りかけてくれた。ここはホテル「シックスセンシズ ローマ」の、陽光が差し込む静謐なスイートルーム。彼女はこのとき、9月1日に発売されたばかりの「マックスマーラ」の新フレグランス“ル パルファム”のミューズとして、新たな一歩を踏み出したところだった。

「『マックスマーラ』は、あのアイコニックなコートを香りで表現することに心血を注いできました。完成した香りを試したとき、本当にカシミヤの香りがして、カシミヤに包まれているような感覚があったんです。目指した理想と仕上がりが見事に重なった、奇跡のような瞬間でしたね」とフローレンスは振り返る。ミューズ就任にあたり、彼女は調香師のマリー・サラマーニュ氏とファブリス・ペルグラン氏との対話から多くの発見を得ながら、香りの初期サンプルを試してきた(先に明かしてしまうと、この香りをまとうたび、彼女は周囲から褒め言葉を浴びていたそうだ)。

そんな彼女自身の香水のまとい方は「気が済むまでスプレーするだけ。でも日によって変わります。あまり目立たせたくない日もあれば、私が何をまとっているのか、周りに絶対気づいてほしい日もありますから」

ここからは、幼少期にフローレンスが香水から受けた影響、映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のエイミー・マーチのために母が調合してくれた特別な香り、そして愛犬がもたらす安らぎの匂いまで、フローレンスがUK版「ELLE」に語ってくれた香りの記憶をお届けする。

Mario Sorrenti

香水との出会い

「母が香水をつける姿をじっと見ていました。どこに、何回スプレーするのか。なぜその回数が必要なのか。真剣に観察していたのを覚えています。小さい頃、ディナーに出かける夜には、母が私の手首にも少しだけ香水をつけてくれました。自分は特別な存在で、視線を集めなくても私の存在を感じてもらえる。そう感じられる自信をフレグランスが与えてくれたことは、子ども心に本当に美しい感覚でした」

人生における香りの役割

「撮影現場でもプレスツアー中でも、家にいるときでさえ、香りは私の1日のなかでとても大切な部分を占めています。アイデンティティの一部と言ってもいい。私が家を空けているあいだも、残していった服には香りが染み込んでいて、家族がふとそれに気づいては、私を恋しく思ってくれる。そんな存在なんです」

演じる役ごとに香りを探す理由

「私が演じる役には、それぞれその役だけの香水があるんです。その一本に出会うまでたっぷり時間をかけますが、少しも苦にはなりません。ふだんから何気なく香りを嗅いでは『これはあの子かしら』と考えてしまう。地球の裏側の、二度と出会えないような小さな香水店で見つけることもあれば、免税店で出会うこともあります」

「その女性がどんな人物で、どんな香りをまとっているのかを突き止めることが、本当に大切なんです。自分のためには絶対に買わないような香りでも、そのキャラクターになったときには完璧にしっくりくる。役作りのそういうところが好きですし、香水のそういうところが大好きです。香りとは、自分が何者で、自分自身と他者に何を表現するかを示すものだから。撮影現場に入って衣装を身につけ、その香りをまとう。それが私にとって、キャラクターを完成させる最後のピースなんです」

Mario Sorrenti

エイミー・マーチの香り

「実は『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のとき、母が私のために香水を作ってくれたんです。母は時代の異なるキャラクターを演じるとき、その人物の身の回りにあったもの、使っていたもの、人生の途中で手にしたかもしれないものを徹底的に調べてくれました」

「エイミーのライフスタイルや、当時の彼女に買えたであろうもの、絵を描くときに使っていた顔料の鉱物。そうしたものをもとに、母はひとつの香りを組み立てました。大人になったエイミーに完璧にふさわしい、洗練されたフローラルの美しい香り。おかげで私は、エイミーというキャラクターをもっと深く愛せるようになりました」

Florence Pugh in <em>Little Women </em> Hearst Owned

安らぎの香りとは

「愛犬の足の匂いですね。あれは本当に安心します。それから料理の匂いですね。誰が作っていても、キッチンでたっぷりの玉ねぎとにんにくが炒められている香りは、いつだって一番心を落ち着かせてくれます」

部屋ごとに香りを住まわせる

「キャンドルが大好きで、ジャスミンやウードに惹かれます。部屋ごとに違う香りを用意しています」

幸せと感じる夏の匂いは

「夏の公園を横切るときの香り。バーベキューの匂いと、太陽の下で楽しむ人々の気配。そこにほんの少し、セルフタンニングの香りも混ざって。ちょっとビスケットみたいに香ばしいんです」

「マックスマーラ」の新フレグランス“ル パルファム”は、2026年9月1日発売(日本では2027年展開予定)。

Realization : Medina Azaldin Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ