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ブルータス時計ブランド学 Vol.88〈A.ランゲ&ゾーネ〉の「サクソニア」

  • 2026.8.29
サクソニア・フラッハ プラチナ950

〈A.ランゲ&ゾーネ〉の「サクソニア」とは

ザクセン様式を継承した、クラシカルなたたずまい

〈A.ランゲ&ゾーネ〉は、旧ザクセン公国の宮廷時計師の下で腕を磨いた創業者フェルディナント・アドルフ・ランゲが、1845年にエルツ山地の町に開いた工房に端を発する、ドイツの名門。精巧で美しい時計の数々は世界的に評価されたが、1945年から東西冷戦の間、休眠を余儀なくされた。

しかしベルリンの壁が壊れた90年に復活。94年10月24日、新生〈A.ランゲ&ゾーネ〉初のコレクション4本は、創業者が修業した地・ドレスデンの旧王宮で華々しく披露された。

「サクソニア」は、その中の一つとして誕生した。コレクション名の「Saxonia」は、ザクセン(Saxony)のラテン語読み。公国時代から学問と芸術が奨励された同地には、高度な職人技が育まれてきた。いま本社を置く創業の町も、ザクセン州に属する。

ブランドにゆかりが深い土地をオマージュしたこのコレクションは、オフセットダイヤルを先駆けて採用し、ブランド復活の象徴とされる「ランゲ1」とは異なり、オーセンティックでクラシカルなスタイルが身上。コレクションの大半が、バーインデックスとランセット(柳葉)型針との組み合わせで、デザインはシンプルである。

同時に、アウトサイズデイト(大型日付表示)や、針合わせ時にリューズを引くと秒針が0位置に瞬時に戻るゼロリセット機構など、精緻なメカニズムも備えてきた。1999年に誕生し、自社製クロノグラフの嚆矢の一つとなった「ダトグラフ」も、「サクソニア」ファミリーに含まれる。一方で、ランゲ史上もっとも薄い「サクソニア・フラッハ」のようなミニマルな2針も存在。そのいずれにも創業者の製作技術を受け継いだ、伝統的な手仕上げの美が行き渡る。

サクソニア・フラッハ

ごく薄くミニマルな、真のドレスウォッチ

フラッハ(flach)とは、独語で“薄い”の意。わずか6.2mm厚の時計は、2011年に誕生した。ミニマルな2針でブラックダイヤルのドレスウォッチは、実は今の時計市場ではむしろ稀少な存在。ケースはプラチナ製で、高貴な白い輝きを放ち、ダイヤルには天然石にオニキスを用い、ニュアンス豊かな黒を創出した。

搭載する自社製ムーブメントCal.L093.1の厚さは、わずか2.9mm。にもかかわらずこの名門は、約72時間(3日間)のロングパワーリザーブを実現してみせた。単に薄くて美しいだけでなく、実用性にも優れているのが〈A.ランゲ&ゾーネ〉らしさ。機構的には極めてシンプルであっても、「サクソニア・フラッハ」は、強烈なオーラを放つ。

径40mm。手巻き。Ptケース。価格要問い合わせ。世界200本限定。

〈A. ランゲ&ゾーネ〉の「サクソニア・フラッハ プラチナ950」
ケースは同社共通のシリンダー型。側面に繊細なヘアラインの入ったサテン仕上げをぐるりと入れて、薄い横顔にニュアンスを付けた。
〈A. ランゲ&ゾーネ〉の「サクソニア・フラッハ プラチナ950」の裏面
ケースバックを大きく開口してCal.L093.1の全容を見せた。12時位置付近の香箱には、逆回りを防ぐザクセン式後退コハゼが備わり、巻き上げ時にカチカチと小気味いい音を奏でる。
〈A. ランゲ&ゾーネ〉の「サクソニア・フラッハ プラチナ950」の盤面
針と植字のバーインデックスは、いずれも完璧な鏡面状に手仕上げされている。オニキス製ダイヤルも、艶感ある黒を浮かべる。
〈A. ランゲ&ゾーネ〉の「サクソニア・フラッハ プラチナ950」の機構部
主要な歯車の軸受けにはゴールドシャトンを用い、テンプのブリッジにはハンドエングレービングを施す。Cal.L093.1は、2.9mmと極薄でもザクセン様式を踏襲する。

Information

A.LANGE & SÖHNE / A.ランゲ&ゾーネ

創業:1845年
創業地:ドイツ・グラスヒュッテ
HP:https://www.alange-soehne.com

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