1. トップ
  2. 住まい
  3. 新築を建てている最中の30代夫婦、SNSの“エアコン写真”を見せて思わぬ要望…インテリアのプロが困ったワケ

新築を建てている最中の30代夫婦、SNSの“エアコン写真”を見せて思わぬ要望…インテリアのプロが困ったワケ

  • 2026.9.26
undefined
出典元:PIXTA(画像はイメージです)

こんにちは、元注文住宅営業マンのホリカワです。

SNSで、エアコンまわりの配線がきれいに消えた写真を見かけます。コンセントを室内機の上に付けて、プラグもコードも視界から消す方法です。

私はその写真を見つけるたびに、「大丈夫かな」と心配になります。見た目のためにプラグを隠してしまうと、目立たないぶん、異常が出ても気づきにくくなるからです。

住宅デザインでは、配線を隠すことが美徳とされがちです。しかし電源プラグに関していえば、「見えていること」は暮らしの安全を守るための大切な機能だと考えています。

「室内機の上にコンセントを」という相談を受けて

知人のインテリアコーディネーターから、こんな相談を受けたことがあります。

知人は、新築を建てている最中の30代のご夫婦にSNSの写真を見せられ、「こんなふうに、エアコンのコンセントを室内機の上に付けたい」と言われたそうです。

私は、エアコンの構造上、室内機の上部はホコリが集まりやすいこと、そこにプラグがあるとトラッキング火災(ホコリと湿気が原因で起きる火災)につながりやすいことを話しました。

知人は「お客さまに伝えてみる」と言いました。

結果として、コンセントは室内機の横になったそうです。お客さまが決定される前に、リスクという視点をお伝えできたのは幸いでした。

室内機の上付けを否定するつもりはありません。ただインテリアコーディネートでは、おしゃれさも大切ですが、事故につながるリスクを避けることが先だと考えています。

室内機の上は、手も目も届きにくくなりがち

室内機は圧迫感を減らすため、機種ごとに決められた据付スペースを空けたうえで、天井近くへ設置するのが一般的です。上の隙間は狭く、そこにコンセントを置くと抜き差しがしづらくなります。

ホコリも集まりやすい場所です。エアコンの室内機は、部屋の空気を上部から吸い込み、機体内にある熱交換器と呼ばれる部品で冷やしたり温めたりして、再び吐き出す仕組みだからです。

天井近くのホコリも、その流れに乗って室内機の上へ寄ってきます。

ホコリとゆるみは、見えていれば気づける

プラグは、定期的に状態を確かめたい部品です。

日本冷凍空調工業会は、シーズン前にホコリ・ゆるみ・変色の確認を案内しています。だから、いつでも見えて、すぐに触れることが大切なのです。

プラグとコンセントの間に隙間ができたり、ホコリが積もったりしているのを見逃すと、重大な事故につながる可能性もあります。

業界団体だけでなく、製品評価技術基盤機構(NITE)も、定期的にホコリを取り除くよう呼びかけています。

規程にも説明書にも、設置場所の指定はない

一方で、法律や電気工事の業界規程(内線規程など)を調べた範囲では、エアコン上のコンセントを直接禁じる記述は見当たりませんでした。

私が確認した据付説明書にも、プラグ位置の指定はありませんでした。代わりに書かれているのは、差し込む前にコンセント側のホコリやがたつきを確かめることと、コードにゆとりを持たせることです。

どちらも、室内機の上の狭い隙間ではやりにくい作業です。

上付けの希望が、図面の段階ではじかれるとは限りません。施工者から助言をもらえることもありますが、最後に決めるのは依頼する側です。

コンセントは、目立ちにくく目で確かめられる位置に

新築でもリフォームでも、美観と安全性を両立したい方は、目立ちにくく、目視で状態を確認できる位置にコンセントを配置してはいかがでしょうか。

室内機のすぐ横であれば、コードの見える部分も短くて済みます。

隠す位置にするなら、誰がどうやって点検するかを設計時に決めておきましょう。見た目だけでなく、どう維持管理するかまで含めた設計が大切です。

配線を見せたくないなら、壁に埋め込むタイプ(壁埋込形)のエアコンや、室外機側で電源を取るタイプのエアコンもあります。

ただ、選べる機種や組み合わせが限られ、将来の交換費用が高くなる場合もあります。工事業者によく相談してみてください。

▼こちらの記事も読む

「コンセントは多めに」の罠。標準の1.5倍設置した新築リビングが“延長コードだらけ”になった意外な理由
「コンセントは多めに」の罠。標準の1.5倍設置した新築リビングが“延長コードだらけ”になった意外な理由

隠すかどうかは、知ったうえで決める

一番避けたいのは、リスクを知らずに、おしゃれだけを理由に選んでしまうことです。知ったうえで隠すと決めたなら、それはその家の判断でよいと思います。

目指したいのは、完全に隠してしまうことではなく、目立ちにくくて、目視で確認できるというバランスです。

見た目の美しさと暮らしの安全、その両方をかなえる配線計画こそが、本当に居心地の良い家づくりにつながるのではないでしょうか。


参考:
壁掛けタイプのエアコン(室内機)の上部は、蓋がされていないのですか?(日立グローバルライフソリューションズ株式会社)
シーズン前にエアコン点検を!(一般社団法人 日本冷凍空調工業会)
製品安全情報マガジン Vol.478 6月10日号「エアコンの事故と試運転」(独立行政法人製品評価技術基盤機構)


ライター:ホリカワ ダット
注文住宅の建築会社に営業職として従事したあと、SEOライターとして独立。500組以上の家づくり相談に携わった経験をもとに、「マイホーム取得を少しでもラクに」をテーマに、住宅ジャンルの記事を幅広く執筆中。インテリアコーディネーター/1級カラーコーディネーター(商品色彩)資格保有。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ