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査定3000万が売れ残り「負動産」に……世帯年収450万・62歳男性が弟に1500万を払って直面した老後の危機

  • 2026.8.12

親が遺してくれた実家の相続。それは一見、ありがたい財産を引き継ぐ機会のように思えますが、実は泥沼のトラブルや将来の重い負債を背負い込む入り口になることがあります。神奈川県に住む世帯年収450万・62歳の男性は、3年前に父親が亡くなった際、古い実家の土地と建物を弟と分け合うことになりました。実家を守りたいという情から、弟に代償金として退職金から1500万円を支払う約束をした男性。しかし、古い実家は全く買い手がつかず、手元には維持費だけがかかる「負動産」が残り、退職金の大部分を失うという悲惨な末路を迎えてしまいました。身内だからこそ冷静な判断を誤ってしまったという、相続トラブルの生々しい実態を紹介します。

回答者のプロフィール

ママテナ編集部マネーチームは2026年7月、インターネット上で「お金にまつわるトラブル」について、エピソードを募集するアンケートを実施しました。今回エピソードを紹介する62歳男性は、そのアンケートの回答者。男性のプロフィールは以下の通りです。

  • 回答者本人:男性(62歳)
  • 居住地:神奈川県
  • 家族構成:本人(62歳)、妻(58歳) ※子ども二人(32歳、29歳)は独立して別居
  • 回答者の職業:パート・アルバイト(マンションの設備管理員)
  • 配偶者の職業:パート・アルバイト
  • 現在の世帯年収:約450万円(自身の給与280万円、妻のパート代120万円、自身の厚生年金一部受給50万円)
  • 個人の年収:約330万円(給与280万円、年金50万円)
  • 住居形態:戸建て(賃貸)
  • 現在の金融資産状況:約1200万円(貯蓄800万円、投資信託400万円)

「実家を半分に分けて現金で」弟の主張と、簡易査定3000万円を信じた失策

神奈川県の戸建てで妻と暮らす62歳の男性。現在はマンションの設備管理員として働いています。世帯年収は450万円ほど。トラブルのきっかけは、3年前に父親が亡くなり、実家の土地と建物の相続を巡って、弟と話し合いを行ったことでした。

「3年前に父が亡くなり、実家の土地と建物を弟と二人で相続することになりました。私は長男として実家を守りたいと考え、自身で相続する意向を示しましたが、弟は『公平に現金で半分欲しい』と主張しました」と振り返る男性。

実家を守りたいという長男としての責任感と、実家への情があった男性は、弟の要求に応じることに。「当時の不動産鑑定の簡易査定では3000万円程度の価値があると言われ、私は弟に代償金として1500万円を支払う約束をしました」。

しかし、この口約束こそが、男性の老後を大きく狂わせる誤算に……。

退職金から1500万円を捻出するも、実家は売れ残り負債へ

「しかし、実際に売却活動を始めると、建物が古く土地の形状も悪いため、買い手が全くつかず、査定額が大幅にダウン。結局、自分の退職金から1500万円を捻出して弟に渡しましたが、実家は売れ残り、現在は空き家状態で維持費と固定資産税だけがかさむ負債となってしまいました」

実家を売ったお金で弟への支払いを相殺するはずが、売却できずに丸々自分の退職金から持ち出す形に。結果として、男性の手元には「古い空き家」という負の遺産だけが取り残されてしまいました。

「日々の生活費には困りませんが、将来の自分たちの介護費用や家の修繕費への備えが大幅に削られた不安が常にあります。また、この金銭問題をきっかけに弟とは疎遠になり、冠婚葬祭以外で連絡を取らなくなったことが精神的な苦痛となっています」と綴る男性。

「親が残してくれた場所を守りたいという情に流され、冷静な判断ができていなかった自分に腹が立ちました。弟に対しても、少しは兄の状況を汲み取ってほしかったという憤りを感じつつ、法的な権利を主張されると言い返せないもどかしさがありました」と、男性は割り切れない思いを今も抱え続けています。

専門家の助言で「賃貸リノベ」へ。どん底から見出した復活の選択肢

このまま指をくわえて維持費だけを払い続けるわけにはいかないと、男性はついに解決に向けて動き出します。まずは不動産仲介会社数社に再度詳細な査定を依頼し、現実的な市場価値を把握。

さらに、弁護士と税理士に相談し、相続税の特例が受けられないか、あるいは弟への支払額を調整できる法的な余地がないかアドバイスを仰いだそう。また、自治体の空き家相談窓口へ行き、管理や今後の活用方法についての公的な支援策を調査したとのこと。

その結果、「弟へ支払った金額を戻すことはできませんでしたが、専門家のアドバイスにより、実家を『負動産』にしないための活用法として、リノベーションして賃貸に出すという選択肢が見つかりました。現在は小規模な修繕を行い、入居者が決まったため、家賃収入で固定資産税と維持費を賄えるようになり、家計への負担は軽減されました」と、実家を収益物件に再生させることで、辛うじて家計の破綻を防ぐことができたそうです。

もし当時の自分に戻れるなら、「親が存命のうちに、実家の処分について兄弟を含めて徹底的に話し合い、公正証書遺言を作成してもらうよう働きかけます。また、不動産の価値を『査定額』という机上の数字で信じるのではなく、実際に売れる価格を複数のプロの目から厳しく見積もった上で、書面での合意形成を慎重に行うようにします」と感情論を排除し、徹底的に現実的な防衛策を取ると回答。

最後に、 「目に見える資産である不動産の流動性の低さと、現金を確保しておくことの重要性を痛感しました。今後は資産の守り方をより慎重に考えたいと思います」と老後資金を失うという大きな痛みを経て、私たちが肝に銘じるべき貴重な教訓を教えてくれました。

 

(文:ママテナ編集部マネーチーム) 
※この記事は、ママテナ編集部マネーチームが2026年7月、「お金にまつわるトラブル」をテーマに実施したアンケート(インターネット回答)に寄せられたエピソードを元に作成しています。 
※写真はイメージで本文とは関係ありません。

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