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子どもの「やりたくない」に親が絶対に言ってはいけない「ある言葉」

  • 2026.8.7

そもそも、「がんばる」「努力する」とはどういうことなのか。外山氏が解説する。

「幼い子どもは、初めから『努力しよう』と考えて何かに取り組んでいるわけではありません。『おもしろそう』『できるようになりたい』という好奇心から、夢中になって遊び、学んでいるはずです」

しかし、結果や能力を評価される経験が重なり、周囲の期待を強く意識するようになると、次第に取り組む理由が変化していく。

「周りから評価されるうちに、『失敗して親をがっかりさせたくない』『結果を出さなければ認められない』というものに変わってしまうことがあります。本来、努力は自分の可能性を広げるためのものです。ところが、それが自分の価値を証明する手段となってしまうと、失敗することは、単に目標を達成できなかったというだけでは済まなくなります。そして『自分には価値がない』という自己否定につながってしまうのです」

もちろん、がんばること自体が悪いわけではない。そして親が子どもに期待することも、悪いことではない。

問題は「がんばれない自分には価値がない」と、努力と自己価値を結びつけてしまうことだ。あるいは、親の期待が「この学校に受かってほしい」「この成績を取ってほしい」という親の願望になり、子どもは期待に応えられない自分は愛されないのではないか、と感じてしまうことだ。

もちろん、子どもが意欲的に取り組み、結果も出ているように見えると、周囲は問題がないと思いがちだ。しかし、表面上は順調にがんばっている子どもでも、失敗への恐怖や周囲の期待に追い立てられていることがある。そして、あるとき、突然「やる気」を失ったように見えることもある。では、子どもの「やる気」はどんなときに消えてしまうのか。

なにより避けたいのは、結果だけを見て「できていないじゃない」「もっとがんばれるでしょ」と責めることだ。

「結果ではなく、今の子どもの状態や考え方に関心を向けることが大切です。まずは『そこまでつらかったんだね』『よく話してくれたね』と受け止めたうえで、『今、どこが苦しいの?』『どういうやり方なら、もう少し楽になれそう?』と尋ねてみてください。子どもの特性もありますから、親が子どもの状態を決めつけるのではなく、よくよく観察して、子どもの心に寄り添うことが大切です」(外山氏)

さらに「今まで続けてきたのに、ここでやめるなんてもったいない」という言葉にも注意が必要だ。これまで使ったお金や時間を考えると、そういう言葉もつい出てしまう。しかし本当に考えるべきなのは、過去にどれだけ時間を使ったかではなく、これからの時間をどう使いたいかだろう。

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写真:イメージマート

「あきらめる」は可能性を閉じることではない

最初は意欲的だった子どもが、途中から「もうやりたくない」「今日は無理」と言い始める。親からは、怠けや、根気がないように見えるかもしれない。

しかし、外山氏が「がんばれなくなる」背景にあるものとして特に指摘するものが2つある。

一つは、心身のエネルギーが消耗していることだ。

「子どもは、勉強や部活動だけでエネルギーを使っているわけではありません。人に気を遣う、感情を抑える、失敗しないように緊張する。そうしたことが重なれば、いわば『心のバッテリー』が減ったような状態になります」

学校や塾では周囲に合わせ、叱られないように振る舞い、友達との関係にも神経を使う。外でがんばっている子ほど、家に帰った時点では、すでに心のバッテリーがほとんど残っていないかもしれない。

その状態で「もっとがんばりなさい」と言われても、本人にはがんばるための力が残っていない。

もう一つは、努力の意味が変わってしまったことだ。

「『おもしろいからやりたい』『できるようになりたい』あるいは『自分にとって大切だから取り組みたい』というように、本人が意味を感じ、納得している努力は続きやすいものです。ただ、それが『怒られるからやらなければならない』『期待を裏切れない』という義務や恐怖だけに支えられるようになると、続けることが難しくなってしまうのです」

では、子どもが「もうやめたい」「できない」と言ったとき、親はどのように声をかければよいのだろうか。

「もったいない」が実は危うい

がんばりたくてもがんばれない

子どもが勉強や習い事を嫌がったとき、あなたはどう声がけをしているだろうか。つい「もう少し頑張ろう」「ここまで続けたのにもったいない」と声をかけたくなっていないだろうか。

子どもからSOSが出ているときに「間違った声がけ」をしてしまうと、かえって本人を追い詰めてしまうことがある。では、どういう声がけをするのがいいのか。

新刊『「がんばれない」心で何が起きているか』の中で、心のメカニズムを解説している筑波大学人間系教授の外山美樹氏に話を聞いた。

そもそも努力ってなんだ?

「あきらめる」と聞くと、「逃げる」「負ける」といった否定的な意味で捉えられがちだが、大切なのは「本人の望む未来につながっているのか」を見つめることだ。

「たとえば、『人を助ける仕事がしたい』という願いがあるとして、それを実現する方法は一つではないでしょう。特定の学校や進路だけにこだわり続ける必要はないはずです。その子が大切にしている『大きな願い』まであきらめる必要はありません。そこに至る道のりや、ルートを変えればよいのです」

外山氏は、人生を定員の決まったバスにたとえる。バスの座席は、私たちが使える時間やエネルギーであり、その数には限りがあるという。

「達成できない一つの目標にいつまでもとらわれていると、本来なら出会えたはずの別の可能性に気づけず、そこに力を注ぐこともできなくなります。何かを外して、あえて空席を作ることも大切なのです」

何かをあきらめることは、可能性を閉じることではない。新しい可能性が入ってこられる余白を作ることでもあるのだ。

「『がんばらなくていい』と言っているわけではありません。自分の心や体を壊してまで、一つの方法にこだわり続けることだけが、がんばることではないと思います。休むこと、助けを求めること、道を変えること、やり方を変えることも、長い人生を自分らしく歩き続けるための大切な選択です」

子どもをさらにがんばらせることよりも、がんばれなくなったときに一緒に立ち止まること。そのほうが、子どもが長く自分の人生を歩いていくための支えになるのかもしれない。

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「もちろん、やめることも一つの方向ですが、続ける、やり方を変える、いったん休むという選択肢もあるわけです。『今のあなたには、どれが一番合っていると思う?』と、選択肢を広げてあげることが大切でしょう」

親の役割は、子どもの代わりに答えを決めることではないはずだ。本人が自分に合った道を選べるように選択肢を示し、一緒に考えてあげることが大切になる。

そして、ときには思い切って別の選択肢を取ることも重要だ。

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「もしかすると『心のバッテリー』が消耗していて、がんばれないのかもしれない」と指摘する筑波大学人間系教授の外山美樹氏

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