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助手席で寝たふりをした俺が、バーベキューの帰りに謝った理由

  • 2026.8.8
ハウコレ

網と、油の残った鉄板と、ゴミ袋。片付けを始めると、海水浴で彼女に任せた荷物が頭に浮かびました。帰り道に返ってきた一言を、たぶん一生忘れません。

クーラーボックスの氷が崩れる音で、俺は彼女がまだ外で荷物を運んでいることに気づきました。

助手席に逃げた日

連日の残業のまま迎えた海水浴で、俺は泳ぐだけ泳いで、力を使い切っていました。帰り支度が見えてきたとき、口をついて出たのはこの一言でした。

「疲れたから、あとよろしく」

彼女が何か言う前に、助手席へ乗り込みました。氷の崩れる音で一度目を開けると、クーラーボックスを抱えて歩いてくる彼女が見えました。それでも俺は、目を閉じ直したのです。疲れているのはお互い様だと、わかっていながら。

短い相づちの意味

家の前で降りるとき、俺は言いました。

「ありがとう、助かった」

返ってきたのは、短い相づちだけでした。そのときは、渋滞で疲れたのだろうと受け取っていました。数日後、前から誘っていた日帰りバーベキューに彼女が乗ってきて、俺は単純に浮かれていました。肉を焼く俺の横で、彼女が皿を並べ続けていたことにも、気づいていませんでした。

返ってきた一言

片付けが始まる頃合いで、彼女は軍手を外して言いました。

「疲れたから、あとよろしくね」

背もたれの倒れる音が続きました。網と、油の残った鉄板と、ゴミ袋。残された片付けを数えながら、あの日の砂だらけのシートを思い出しました。彼女は文句1つ言わずに、これを全部やったのか。炭に水をかけ、洗い場を往復するうちに、あの日の自分の言い方まで思い出してきました。車に戻ると、彼女は目を開けていました。

そして...

帰り道、ハンドルを握りながら伝えました。

「俺、あの日こう見えてたんだな」

「ごめん。全部押しつけてた」

返ってきたのは、短い答えでした。

「次はないよ」

彼女は笑っていませんでした。次の休みに、俺は玄関に置きっぱなしだったパラソルを洗い、車の中の砂を掃除機で吸いました。許してもらえたのかは、まだ聞けていません。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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