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大西風雅&岡崎彪太郎、安達祐実との舞台共演に「勝手に安心感」「既に緊張」 脚本・横山拓也、演出・眞鍋卓嗣とともに語る

  • 2026.8.1
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舞台『ナイボー!』ビジュアル

舞台『ナイボー!』が、9月30日より、東京・大阪にて上演される。脚本は、主宰する劇団iakuのみならず劇団外への書き下ろしも多く、2025年に紀伊國屋演劇賞・個人賞を受賞するなど注目を集める横山拓也。演出は、読売演劇大賞 優秀演出家賞を連続して受賞するなど、演劇界から高い評価を受けており、横山脚本の演出はこれが5回目となる、劇団俳優座所属の眞鍋卓嗣。野球を通して成長してゆく球児と家族を描いた青春ドラマが、横山の脚本と眞鍋の演出により、どのように舞台上に立ち上がるのか期待が高まる。本作について、脚本の横山、演出の眞鍋、出演の大西風雅、岡崎彪太郎(「崎」は「たつさき」が正式表記)、安達祐実に話を聞いた。

【写真】大西風雅・岡崎彪太郎はボールを手にりりしい表情 ソロショット

■横山脚本では珍しいスポーツもの「うまくスタートを切れた」

W主演をつとめるのは、大西風雅と岡崎彪太郎。中学時代に同じチームでバッテリーを組んでいたが、高校は別々になったヨウスケとハルタを、大西と岡崎がそれぞれ演じる。ヨウスケの母を安達祐実、ヨウスケの父を山内圭哉、そしてハルタの高校の野球部監督・赤木を水野美紀、ヨウスケの高校の野球部監督で、ヨウスケの父の親友・三枝を宇野祥平、と共演陣には実力派が顔をそろえている。

――横山さんの脚本でスポーツものは珍しいイメージですが、野球がテーマになった経緯を教えていただけますか。

横山:企画会議の中で“野球”というワードが出てきて、僕自身はスポーツを取り扱った作品にチャレンジしたことがほとんどなくて、今の自分の筆致でどんなふうに扱えるのかとか、野球をテーマに描く中で、どういう切り口で社会の中にある問題を取り上げていくことができるのかとか、そういう自分自身の興味もありましたし、チャレンジしたいという思いもあって、野球というテーマで描くことに好奇心を持って取り組めそうだな、と思いました。今回、野球のことを調べていく中で興味を惹かれる内容がたくさん見つかって、作品の中に取り入れることができたので、台本はうまくスタートを切れたんじゃないかなと、僕の中では思っています。

――男子2人が主人公というストーリーの構想についてはいかがでしょうか。

横山:いわゆるライバル関係みたいなところで描くよりも、もう少し複雑なバックグラウンドがあって、野球を通して彼らが成長していく過程プラス、親子や友人との関係性といったところも描けたら面白いなと思いました。

――眞鍋さんと出演者の皆さんは、横山さんの脚本を読まれた印象をお聞きかせください。

眞鍋:横山さんの作品は人物の葛藤が複雑に絡み合って、「どうしたらいいか」という揺らぐ思いが描かれているような台本だと思っています。今回は例えば「父親の夢を息子が受け継がなければいけないのか?」という、主人公自身の野球をやりたい気持ちも含めて、複雑な葛藤が生まれるところに焦点を当てていて。そういった意味では、野球がテーマではありますが、非常に横山さんらしい作品になっているんじゃないかな、と思っています。

大西:最初に作品のタイトルを聞いた時に、スポーツ漫画っぽいイメージを受けたんですけど、台本を読んでみたら、野球はメインにありつつも、1人の人間が友達や周りの人の支えによってだんだん成長していくところが温かく感じられました。僕自身、周りの人たちによって成長していくんだな、と感じることが多かったので、世代によって受け取り方が違ってくる部分はあるかもしれませんが、温かくて何回も観たくなるような作品だなと思いました。

岡崎:僕はこのストーリーに近い経験はしたことがないんですけど、それでもすごく共感できたことにびっくりしました。自分に経験のない話だけど共感できる、ということが今までなかったので、自分の中で衝撃的でした。それぞれのキャラクターの行動が、例えば落ち込んでる人がいたときの行動とかセリフとか心理描写とかに、「あ、確かに自分もそうかもな」と思えました。

安達:それぞれの登場人物が、それぞれに違うものを抱えていたり、内包していたりするけれども、自分自身と向き合ってそれをひとつずつ乗り越えていくところが野球を通して描かれていることにすごく感動しました。スポーツを見ているとき、人生を背負ってやっているんだな、ということを強く感じるので、野球というスポーツを通して一人一人の人生が見えてくる作品になっていて、面白いし素敵だなと思いました。

――キャストの皆さんは、脚本を読んでご自分の役についてどのような印象を持ちましたか。

大西:僕の演じるヨウスケという役は、お父さんが亡くなって野球から離れて、結構ふさぎ込むタイプというか、自分の内にある本当のところは表に出せないんだろうな、というところにすごく共感します。僕も反抗期がすごかったらしくて……自覚はないんですけど(笑)。そういう時期を経た今だからこそ共感できるというか、自分もこうだったんだろうなと思うと、家族とか周囲の人に支えられているところが良いな、と思います。僕は関西ジュニアというところでアイドルをやっているんですけど、先輩とかいろんなスタッフさんに支えられてきている自分と重なるところも感じています。

岡崎:ハルタはすごく明るく見えるキャラクターだと思いますが、落ち込んでいる人とどう向き合ったらいいかとか、親に電話する時にも心配かけないようにどうしたらいいかとか、ただ明るいだけじゃなくて、いろいろ考えた上で明るく振舞っている子なのかなと。自分も割とそういう一面があるのでちょっと似てるな、と個人的に思っています。

安達:私が演じる郁美は夫を失って、息子のヨウスケは父親を失って、自分が夫を失ったということだけで悲しんでいられないというか、息子の抱えている喪失感をどうにかして埋めていかないといけないという状況に置かれてしまうわけですよね。本当は自分だって悲しいし、強い自分でばかりはいられないはずなんだけど、でも息子のことを一番に考える親としての葛藤で苦しんだり、何とかして活路を見出したいという思いで実際に行動してみたり、結果的には強そうに見えるけど、でも無理をして頑張っている部分もあって、一面だけでは語れない人間性があるなと思っています。

■大西風雅、大谷翔平選手と同じ技ができる!?

――横山さんは、キャストの皆さんにどのような印象をお持ちですか。

横山:この台本を書く前に、大西さんと岡崎さんでワークショップをやったんですが、2人のプライベートな関係性が見えた時に、すごく面白かったんです。岡崎さんが人懐っこく大西さんに絡んでいくのに、大西さんがそれを手のひらでずっと転がしているような、そういう雰囲気がすごくあったんです(笑)。それをそのまま、この2人の関係性として台本に落とし込みました。安達さんはもちろんいろんな作品を見てきた中で、最近はキャラクターの濃い役なんかも非常に印象的に演じられていて、改めて母親としての葛藤みたいな部分をまっすぐ等身大に演じていただけたらな、と思いました。物語は夫が亡くなってからの時間を描いているんですが、回想もたくさんあって、かつての妻としての郁美と、夫が亡くなってからの母としての郁美という、そこの対比はすごく面白く表出できるんじゃないかな、と期待しています。

――眞鍋さんは横山さんの脚本を演出されるのは今回が5回目になります。改めて横山さんの作品の魅力をどんなところに感じていらっしゃるのか、そして横山作品を演出する際にポイントとして考えているのはどんなところなのか、教えてください。

眞鍋:横山さんの本は、一見すると分からないことが少ないといいますか、比較的難なくスムーズに読めちゃうんですよね。でも、一つひとつをちゃんと掘り下げていくと、その奥にはいろんなドラマが潜んでいて。横山さんは本当に細やかに想像しながら書いているのだと思いますし、それがしっかりドラマ全体としても浮き立っていくように設計されていると思います。演出のときのポイントとしては、そうした部分をしっかり見落とさないようにする、というところですかね。それと、自分の中で一番グッと来た部分を、なるべく新鮮な強い形で届けるということは、毎回していると思います。

――横山さんは眞鍋さんの演出についてはどのような思いを抱いていらっしゃいますか。

横山:まずは本をちゃんと読んでくれて、稽古場でも俳優と一緒に読んで、戯曲をひとつの謎としてとらえてみんなで発見をしようとしてくれる、という印象があります。僕の本は、眞鍋さんが言ってくれたように、スムーズに読めてしまうんですよね。その中でも、何かここが引っかかるなとか、セリフを言っていても自分の中で気持ち悪く感じるな、というところがあって、そこを手がかりに掘っていく作業というのをこれまでの作品でもしてくださっているので、そこをすごく信頼しています。作家自身が無自覚に描いている部分からドラマを見つけ出して引き上げてくれることもあって、劇作家としてもありがたいです。

――野球のシーンでは、実際に舞台上でボールを使用することはあるのでしょうか。

眞鍋:球を実際に放るのはちょっと難しいかなと思うので、そこは演劇的な表現にできればいいのかなと思います。(俳優陣に)皆さんは野球の経験は、どうですか?

安達:実は子どもの時に始球式をやらせてもらったことがあって、マネージャーさんと一緒に練習した経験があるので、キャッチボールは一応できると思います。

岡崎:僕は去年、舞台で高校球児の役を演じさせてもらって、そのときにいろいろ習いましたが、それ以外は経験ないです。特にキャッチャーなんて全く経験がないので、今回一から教えてもらいたいなと思っています。

大西:僕は先輩たちと一緒に野球観戦に行ったりとかはあるんですけど、野球の経験はキャッチボールぐらいしかしたことがないです。でも、もしかしたらすごい選手になるかもしれないっていう潜在能力はあって。

岡崎:関節だけはめちゃくちゃ柔らかいんだよね。

大西:そうなんです、大谷翔平選手は関節がすごく柔らかくて、両手の甲を腰に当てながら両肘を正面に向けることができるんですけど、僕もそれができて、それを知った野球のチームからスカウトされたこともあるんです。だからポテンシャルはあって、伸びしろしかないので、あとは実践だけですね。

――じゃあ今回の舞台でその才能が……

岡崎:開花するかもね!

大西:楽しみですね(笑)。

■岡崎彪太郎、安達祐実とのキャッチボールに「既に緊張」

――大西さんと安達さんは、今回親子役です。

大西:プレッシャーすごいですよね、安達祐実さんの息子役というのは。現時点では、まだそこまでイメージできてなくて、稽古でやっていってどうなるのかな、という感じなんですけど、勝手に安心感はあるというか、引っ張っていってくれそう、みたいな。

安達:アハハ! どうでしょうね(笑)。

大西:いや、もう引っ張っていってください!(笑) 安達さんはもちろん、他の共演者の皆さんもすごい方ばかりなので、近くで勉強できることが本当にうれしいです。

安達:私は、娘はもう20歳なんですけど、息子は今年10歳で、まだ思春期の男の子を育てた経験がないので、この作品を通して「男の子の子育てって、こういう感じなのかな」というのを知っていくことになるのかもしれないな、なんて思っています(笑)。ヨウスケと郁美は親子といえども、どこか遠慮している部分もあるだろうし、そういうところも含めて素敵な関係性を築いていればと思っています。私も勉強するつもりでやります!(笑)

――岡崎さん演じるハルタにとって郁美は友達のお母さんですが、実の母とは離れて暮らしているハルタにとって、郁美はどのような存在だと思いますか。

岡崎:やっぱり自分の母と重ねる部分はあるだろうし、特に2人でキャッチボールをするシーンでは、母親のことを思い出しているんだろうな、と思います。個人的には、安達さんと2人でキャッチボールをするなんてどうしよう、ってプレッシャーで既に緊張してます(笑)。

安達:一緒に稽古していくうちに緊張するような人じゃない、って分かってくれると思います(笑)。

――今回の作品に出演されることで、一番楽しみにしていることを教えてください。

大西:台本を読んで一番泣きそうだなと思ったのが、お父さんのお墓の前で、高校になったら寮に行くから、って言ってお母さんと離れるシーンです。社会人になって家を出るとか、いろんな過程でリアルに経験することじゃないですか。そこにすごく心を動かされるなと思ったし、僕の母が見ても泣きそうだなと思ったので、このシーンをやるのがとても楽しみです。

岡崎:今回のキャストは、大人な世代と20代くらいの世代と両方がいて、全体的な印象として若い雰囲気なのか、大人な雰囲気なのか、どっちになるんだろう、どんな空気感の作品になるんだろう、というワクワクがすごくあります。

安達:自分も親をやっていて思うのは、妻である自分とか1人の人間である自分と、母親である自分って、やっぱりちょっと違ったりするので、そういうところの差みたいなものを、ちょっとずつ匂わせていけたら面白そうだなと思っています。私自身、舞台の経験は多いわけではないので、私もまだ伸びしろがあるかな?(笑) 自分への期待も含めて、舞台でお芝居をするということにも純粋にワクワクしていますし、楽しんでやれたらなと思っています。

横山:台本を書くときに、それぞれの人物にそれぞれの葛藤、例えば“監督”とか“母親”とかの役割以上の“1人の人間”としての葛藤みたいなものをそれぞれに描けるように、ということは意識していました。僕の息子が高校2年生なので、ちょうど同じくらいの世代の登場人物を描きながら、普段自分が感じていることも加えたり、さっきも言いましたが大西さんと岡崎さんの実際の関係性とかも取り入れることができたので、生き生きとフレッシュな感じで舞台上に立ち上がってくれたら面白いなと思いますし、安達さんはじめキャリアのある4人の俳優の皆さんがどんな風に彼らを支えて、どんなチームになっていくのか期待しています。

眞鍋:この作品は群像劇と言いますか、一人一人にドラマがあって葛藤を抱えているので、中心になっているのはヨウスケとハルタかもしれないけれど、登場人物それぞれに人生がある、というふうに見せたいと思っていますし、お客さんもいろんな人物に感情移入しながら見てくださるんじゃないかな、と僕自身も楽しみにしています。

(取材・文:久田絢子)

舞台『ナイボー!』は、9月30日から10月18日に東京建物 ぴあ シアター、10月22日から25日に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演。

<安達祐実>
スタイリスト:Shota Funahashi (Dragon Fruit)
ヘアメイク:paku☆chan

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