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みのすけ&峯村リエ、ナイロン100℃ 50本目の劇団公演に感慨「このメンツでしかできないことを」【『管理人ご夫妻』インタビュー】

  • 2026.7.28
(左から)峯村リエ、みのすけ クランクイン! 写真:篠塚ようこ width=
(左から)峯村リエ、みのすけ クランクイン! 写真:篠塚ようこ

劇作家・演出家として、精力的に次々と新作舞台に取り組んでいるケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)。彼が主宰する劇団の新作公演、ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』が今秋、上演される。キャストは、みのすけ、峯村リエ、三宅弘城、新谷真弓、廣川三憲、村岡希美、吉増裕士、水野小論、小園茉奈、大石将弘という劇団員に加え、野間口徹、根本宗子、長谷川朝晴、土田英生が客演として参加することが決定。内容に関しては、まだ詳細はすべてKERAの頭の中……という段階の6月初旬、先行してヴィジュアル撮影が行われている都内にて、まさにタイトルロールの“管理人ご夫妻”を演じる、みのすけと峯村リエに、劇団公演への想いや今回の新作についての“予想”などを語ってもらった。

【写真】気心知れた関係が伝わってくる! みのすけ&峯村リエ、撮りおろしショット

◆50回目の本公演に驚き 峯村「途中で辞めるんだろうなと思っていた」

――今回の新作は、劇団の本公演ということでは50作目となりますね。

みのすけ:劇団としては33周年で50回目の本公演か。すごいことですよね。

峯村:33周年! しかもその前に劇団健康の活動があったんですからね。劇団健康は10年くらいやってた?

みのすけ:いや、7年かな。

峯村:それにしてもすごいね、合わせて40年近く続けているなんて。振り返ると、私が犬山(イヌコ)さんと出会ってから、もう42年経つってことですから。ということは旗揚げメンバー、たとえば犬山さんとKERAさんとかになるともっと長いんだろうし。

みのすけ:それにしても、まさか50本もやるなんて思っていなかったな。

峯村:本当に思っていなかったですよ。しかも私、きっと自分は途中で辞めるんだろうなと思っていましたから(笑)。

みのすけ:まあ、これまでいろいろとあったしね。

峯村:あった、あった。劇団だからいろいろあるんです。もう、いろんな山や谷を乗り越えてきたんで(笑)。

みのすけ:若い頃は劇団公演を年3本とかやったりしていたから。そうすると、みんな他のこともやりたくてもできなかったりして、お互いにぶつかり合うことも多かったし。でもこの近年はもう、すっかり風通しのいい感じになって。

峯村:そう、みんな精神的にも大人になったしね。

みのすけ:KERAさんも、劇団外のユニットで他にやりたいことが出来たりしているから。だったら、ナイロンの劇団公演ではこういうことをやっていこうという方向性もはっきりしてきて、その辺もいい流れで進められている気がします。こうして、新作の動き出しの時点では手元に台本がなかったとしても(笑)、このメンツならやれる自信があるし。

――ここ近年の、ナイロン100℃の本公演においてのKERA作品といえば……。

みのすけ:劇団公演では前作の『江戸時代の思い出』(2024年)や『イモンドの勝負』(2021年)と、ナンセンス作品がここのところ比較的多めな気がしますけど。

峯村:ナイロンの公演では、そうでしたね。

みのすけ:他のユニットでの公演ではテイストの違うものをやっているから、それでナイロンでナンセンスをやる率が高いのかもしれませんね。だけど今回は、そんなに“ど・ナンセンス”ではなく、シチュエーションがあるものになりそうです。

峯村:そう、今の時点で聞いているのは会話劇になるとのことで。派手なギミックなども、使わないみたいですね。

みのすけ:そこも実験的というか、挑戦的でいいなと思っています。やっぱりナイロンというと、オープニングの凝った映像が定番みたいになっていたけど、今はナイロン以外でも映像を使う公演が増えてきましたし。逆にこちらはそれを削ぎ落とすという考えも、魅力に繋がるんじゃないかと思います。

峯村:でも私、あのオープニングすごい好きなんだけどな。

みのすけ:まあ、確かに観に行く側としてはそうなんだけど(笑)。

峯村:KERAさんが、またあれをやろうという心境にならないかしら。

みのすけ:どうでしょうね? その時やりたい内容や時期によって違うんじゃないかな。

◆“ノワール”的な要素がある新作 みのすけ&峯村が予想する内容は?

――今回の新作のヒントをもう少し、お聞きしたいところですが。舞台となる年代としては。

峯村:1970年代です。

みのすけ:場所としては東京郊外のアパートで。

峯村:そのアパートの管理人をしているのが、私たちってことですね。

みのすけ:そうです。そしてテイストとしては今回は“ど・ナンセンス”な作品ではないということと。あと“ノワール”だと。

峯村:そう、“ノワール”的な要素があるらしいんです。

みのすけ:ちょっとヨーロピアンというか、退廃的な感じなのかな。

峯村:KERAさんの作品、全体的に言えることだけどいわゆる“ド派手!”みたいな作品ってあまりないですからね。だから今回もちょっとくすんだような、モノクロ要素が多い感じなのかしら……と、勝手に予想します(笑)。

――でも“ノワール”と言っていても、やはり笑えるものにはなるんでしょうね。

峯村:なるんでしょうね(笑)。だけど「ここが面白いところですよー」みたいな感じではなく、くすぐるような感じなんじゃないかしら、とは思っています。

――峯村さんの予想としては(笑)。

峯村:あくまでも、私の予想です(笑)。でも私が予想すると大概、全然違うものになりがちなんですけどね。

みのすけ:最終的になんだかものすごく、いい話とかもやりたいけどなあ。

峯村:あ、それは絶対違うよ、きっと(笑)。

――みのすけさんは、いい話がやりたいんですか?

みのすけ:やりたいですね。

峯村:この間のケムリ研究室の『サボテンの微笑み』(2026年)も最終的になんかわからないけど希望を感じる気持ちになる、いい話じゃなかった?

みのすけ:不器用な兄妹の話だったけど、とてもいい話で。

峯村:最後、結局は幸せなんだ、みたいな展開だったから。と、いうことは今回はきっと違うんじゃないかと思う……。

――ハッピーな方向に今回はいかないだろう、と?

峯村:予想します(笑)。

みのすけ:リエちゃんの希望としては、どんなのがいいの?

峯村:希望か……。私は今、“ノワール”がとても自分の中で気に入っているので。

みのすけ:気に入ってるんだ(笑)。

峯村:フランス映画的な、ちょっと素敵で、ちょっとミステリアスなイメージでね。だって、いろいろな住人たちと、その人たちにまつわる人が出てくるわけでしょ? で、あればちょっとだけ謎な、ミステリアスな感じがあってほしいな、なんて思っています。

みのすけ:でも、それを演じる今回のメンツを考えるだけでも、ちょっとウキウキしない? 客演の方も含めて、この顔ぶれがアパートに住んでいたとしたら、それは面白いことになるだろうと思いますね。

峯村:野間口(徹)くんなんて、ただ歩いているだけできっと「犯人?」とか思ってしまいそう(笑)。

みのすけ:まだなんの事件も起こっていなくても「犯人かも?」ってね(笑)。

峯村:新谷真弓さんと根本宗子さんという、ちょっとなんか裏がありそうな役が似合う女優さんが二人もいるから、この二人の関係にも期待しています。

みのすけ:うん。変わり者の姉妹とか演じてもらいたいなあ(笑)。こうやって、それぞれのキャラクターの関係を漠然と考えるだけでも楽しいよね。

◆劇団公演はチャレンジ精神が強い みのすけ「このメンツでしかできないことをやる」

――全体の座組の印象、この顔ぶれに関しての感想もお聞きしてみたいのですが。たとえばナイロン100℃の劇団員にしても、21人いるうち、今回出られるのはこの10人ということになりますけど。

みのすけ:10人か。とはいえ、結構な大人数だよね。

峯村:私が思うのは、ナイロンの公演の時ってなんとなくいつも劇団員は、年上チームと若いチームとに分かれて出ているような気がしていて。そう考えると新谷さんはいつも若いチームで、私はいつも年上チームだから、ナイロン本公演に一緒に出る機会があまりないんですよ。

みのすけ:そうか、だからその点では、今回はちょっと融合している感じがありますね。僕の場合は『Don’t freak out』(2023年)に出ているから、松永(玲子)、村岡、新谷が一緒だったんだけど、あの時はリエちゃんや犬山や大倉(孝二)や三宅は出ていなかったんだよね。そう、確かに若いチームの顔ぶれの時ってあるんだけど、大体その座組にはリエちゃんは入っていなくて。

峯村:そうなの。

みのすけ:だからそういう意味では今回は、そっちのチームの顔ぶれにリエちゃんが加わったという印象があるな。それで、新谷とも久しぶりに芝居ができるような気持ちになっていると。

峯村:そう、だからとってもうれしいんですよ。

――同じ劇団でもなかなか合わない顔合わせっていうのが、どうしても出てきちゃうんですね。

峯村:そうそう。でも、みのちゃんは皆勤賞的に出ていますよね。

――本公演に呼ばれがちというか。

みのすけ:そうですね。その代わり、KERAさんの劇団外の公演のほうにはあんまり呼ばれない。たまにはそういうのにも。

――出たいですか?

みのすけ:この前のケムリ研究室の『サボテン~』とか、観ていてすごく羨ましかったですから。こういうのにも俺、参加したいなあってすごく思いました。

――そうやってKERAさんが劇団とは別に動いている作品と、劇団本公演との違いとは。本公演ならではの部分というのは、どういうところなのでしょうか。

みのすけ:劇団公演の場合は、チャレンジ精神が強いと思うんですよ。たとえば、劇団外の公演で、初顔合わせの方とナンセンスものをやるのはなかなか難しいものがあるので、それでナイロンでナンセンスものをやる割合が多くなるのかもしれない。劇団員の、このメンツでしかできないことをやるというのが、基本にあるんじゃないかな。

峯村:KERAさんの台本を読むと、もう長年やっているからだと思うんですけど、なんとなくこうしたいんだなっていう絵が浮かんでくるんですよね。それが自然と伝わる、というのが劇団員ならではとも言えますね。

――そういうところからも本公演ならではの空気感が生まれていそうです。今回もゲストは入りますけど、野間口徹さん、根本宗子さん、長谷川朝晴さん、土田英生さんという、KERAさんや劇団員にとっては馴染みの深い、まったく心配のない顔ぶれというか……。

みのすけ:そうです。確かに今回は、まるで心配のない顔ぶれになっています(笑)。あと、少人数だと一人の比重が高くなるじゃないですか。そうすると台本の完成まで時間がかかった時に、かなりのプレッシャーになるんだけれど。このくらいの人数がいれば。

峯村:まあね(笑)。でもさ、劇団員の中でも長台詞担当の人っているじゃない?

――たとえばどなたが?

峯村:私には長台詞って、まず来ないんですよ。たとえば松永さんとか犬山さんとか、かな。みのちゃんにも来る?

みのすけ:そんなでもないほうかな。いや、でも作品によるかもね。

――今回、特に楽しみにしていることは、どんなことですか?

峯村:いや普通に、みんなと久しぶりに会えるのがすごく楽しみですね。

みのすけ:まずは、それだよね。

――本公演という意味では、2年ぶりですし。

みのすけ:久しぶりに会う人とはそれこそ何年も一緒にやっていなかったりするから、共演できること自体がうれしいんですよ。2年もあると、みんなそれぞれにいろいろな活動をしてきているしね。

峯村:うん。本当にそうよね。

みのすけ:ナイロンの公演がない間に、大石(将弘)とかも演劇賞を取った作品(ポウジュ『Downstate』が第33回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞)に出ていたりしていたので、そういう姿を見るのもうれしいですし。その経験があって、また一緒にやれるとなるときっと感覚が違ってくるだろうと思うから。劇団員のみんなが外部で活躍していると、そういう楽しみが増えますね。あと、最近は公演ができなくなるってこともまだあるから、まずは全員で完走することを目指して頑張りたいです。何しろ、みんな年をとってきたからね。そこは一番気をつけなきゃいけないなと思っています。

峯村:健康に気をつけながら、劇場でお待ちしています!(笑)

(取材・文:田中里津子 写真:篠塚ようこ)

ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』は9月5日~27日東京・本多劇場、10月2日・3日岐阜・可児市文化創造センター ala 主劇場、10月10日・11日兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演。

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