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退職した63歳女性「しばらくは生活できる」年金月8万・失業給付14万円がもらえるはずが…後日、発覚した“想定外の大誤算”

  • 2026.8.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

「会社を辞めても、年金と失業給付があるから、しばらくは生活できそう」
60代で退職を迎えるとき、このように考える人もいるかもしれません。

ところが、65歳になる前に受け取る「特別支給の老齢厚生年金」などと、雇用保険の基本手当(失業給付)には調整があります。それぞれ受け取れる制度だからといって、単純に「年金+失業給付」で考えられるとは限らないのです。

今回は、年金月約8万円と失業給付28日分の約14万円を合わせ、「約22万円あれば大丈夫」と考えていた63歳女性の事例から、退職後のお金で見落としやすいポイントを紹介します。

「月22万円なら貯金を減らさずに済む」63歳女性が考えていた退職後

63歳のHさんは、40年近く会社員として働いた後、勤めていた会社を退職しました。60歳を過ぎてからは勤務時間や仕事内容が変わり、退職前6カ月の賃金は毎月おおむね21万円だったそうです。

退職後も働く意思はありましたが、以前のようなフルタイム勤務ではなく、「今度は週4日程度、1日6時間ほどで、条件に合う仕事があればすぐに働きたい」と考えていました。

Hさんが退職後の生活で頼りにしていたのが、月約8万円の特別支給の老齢厚生年金です。
さらに長年、雇用保険にも加入していたため、ハローワークで求職の申込みをして、基本手当、いわゆる失業給付も受ける予定でした。

退職前6カ月の賃金などから考えると、Hさんの失業給付の日額は約5,000円。仮に28日分が支給されれば、約14万円になります。

そこでHさんは、「年金が月8万円、失業給付が28日分で約14万円。合わせて22万円くらいなら、仕事が決まるまで何とかなる」と考えていました。

Hさんが見込んでいた毎月の生活費は約18万円です。住居費が約6万円、食費が約4万円、水道光熱費や通信費で約3万円、日用品や民間の保険料などで約5万円。
単純に比べれば、約22万円の収入に対して生活費は約18万円なので、4万円ほど余裕があります。手元には約300万円の預貯金もありました。

ただ、65歳以降の生活や病気、家電の買い替えなどを考えると、「できれば今は貯金を減らしたくない」と思っていたそうです。
「失業給付を受けながら次の仕事を探せば、貯金にはほとんど手をつけなくて済みそう」
そう安心して、Hさんは退職後にハローワークで求職の申込みを済ませました。

見落としていた「年金受給」と「失業給付」の仕組み

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

その後、退職後の家計についてFPに相談したときのことです。

Hさんは、「年金が月8万円くらい、失業給付も28日分なら14万円くらいあるので、合わせて22万円くらいで生活する予定です」と説明しました。

そこでFPが確認したのが、「現在受け取っている年金の種類」でした。Hさんが「特別支給の老齢厚生年金です」と答えると、予想していなかった説明を受けます。

「その場合、失業給付を受けるために求職の申込みをすると、年金が支給停止になる期間があります」

Hさんは驚きました。
「えっ、年金の8万円はそのまま受け取れると思っていました」

Hさんの頭の中では、「年金約8万円+失業給付約14万円=約22万円」という計算になっていました。
しかし、年金が支給停止となる期間に失業給付が28日分支給された場合、受け取る金額は約14万円です。生活費を月約18万円と見込んでいたHさんにとって、単純に比べれば約4万円足りません。

「毎月少し余る」と考えていたはずが、反対に預貯金から補う可能性が出てきたのです。

「もらえる制度は、全部足して考えればいいと思っていました」
Hさんが見落としていたのは、それぞれの受給額ではなく「制度同士の組み合わせ」でした。

「失業給付が入ったら年金停止」ではない。申込みの翌月から注意

特別支給の老齢厚生年金など、65歳になるまでの老齢年金と雇用保険の失業給付は、原則として同時には受け取れません。

対象となる年金を受けている人がハローワークで求職の申込みをすると、原則として、その申込みをした月の翌月から年金が全額支給停止となります※1。

ここで注意したいのが、「実際に失業給付が振り込まれてから年金が止まる」という仕組みではない点です。
そのため、「まだ失業給付が振り込まれていないから、年金8万円はいつもどおり受け取れる」と考えていると、予定していた収入とズレる場合があります。

一方、求職の申込み後に失業給付を受けていない月がある場合、その月分の年金が後から支給されることがあります※2。

つまり、退職後のお金は「年間でいくら受け取れるか」だけでなく、「何月に、どの制度から、いくら入るのか」まで見ておく必要があります。

「もらえる額」を足す前に、制度の組み合わせを見る

退職後の資金計画では、年金が8万円、失業給付が14万円と、それぞれの金額だけを確認しても十分とはいえません。

今回のHさんのように、単純に足すと約22万円でも、制度の調整によって実際に受け取る金額が変わることがあります。

さらに、退職後は健康保険料や住民税など、給与から天引きされていた支払いを自分で負担するケースもあります。

「いくら受け取れるか」だけでなく、「同じ時期に受け取れるのか」「いつから止まるのか」まで確認しておくことが、退職後の資金計画では重要です。

※1 特別支給の老齢厚生年金など、65歳になるまでの老齢年金と雇用保険の失業給付には支給調整があります。

※2 求職の申込み後に失業給付を受けていない月がある場合、その月分の年金が3カ月程度後に支給されることがあります。


※プライバシー保護の観点から事例の内容を一部調整しています。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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