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ウォリス・シンプソンは本当に“王冠を奪った悪女”だった? 知られざる12の真実

  • 2026.7.27
Michael Ochs Archives / Getty Images

ヘンリー王子とメーガン妃が世間を騒がせた際、常に引き合いに出されてきたのが、今から約90年前に“王冠を捨てた恋”の主人公となったアメリカ人女性、ウォリス・シンプソンだ。世紀の退位劇の末にウィンザー公爵夫人となった彼女は、今なお語り継がれる存在だが、エドワード8世との本当の関係はいかなるものだったのか?退位騒動の舞台裏から、豪華な暮らしの実情、私信に残された言葉、知られざる慈善活動、そしてジョーン・コリンズ主演で描かれる晩年の最新映画まで。メーガン妃にも通じる境遇をたどりながら、20世紀最大のロイヤル・スキャンダルと、その陰に隠されてきたウォリスの素顔に迫る。

Keystone / Getty Images

実は“2度”離婚していた

ウォリス・シンプソンに離婚歴があったことは有名だが、ウィンザー公爵(元英国王エドワード8世)と結婚するまでに経験した離婚は一度ではなく、二度だった。1931年に当時の皇太子エドワード王子と出会った時点で、最初の夫アール・ウィンフィールド・スペンサー・ジュニアとはすでに離婚し、海運会社に勤めるアーネスト・シンプソンと再婚していた。その後、1937年にアーネストとの離婚が成立。同年、王位を退いたウィンザー公爵と結婚した。

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エドワード王子との出会いを仲介したのは、彼の恋人だった

ウォリス・シンプソンを当時英皇太子だったエドワード王子(ウィンザー公爵)に紹介したのは、共通の知人だったテルマ・ファーネス子爵夫人。テルマ自身もエドワードと関係を持っていた。1934年、テルマがニューヨークへ旅行している間に、ウォリスとエドワードの関係が急速に深まったとされる。

写真/エドワード王子とテルマ・ファーネス子爵夫人、1932年撮影。

Print Collector / Getty Images

本当は“王冠を賭けた恋”を望んでいなかった?

1936年の退位危機の最中、ウォリスはエドワードとの関係を断念する用意があるとの声明を発表した。彼女の弁護士も、ウォリスは事態を収めるためなら何でもするつもりだった一方、結婚を譲らなかったのはエドワードだったと説明している。のちに見つかった元夫アーネスト宛ての私信にも、予想を超えて拡大した騒動への戸惑いや、元夫への未練を思わせるウォリスの言葉が残されていた。

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豪華なパリの“小さな宮殿”は借り物だった

1950年代から夫妻が暮らしたのは、ブローニュの森に隣接する大邸宅、通称“ヴィラ・ウィンザー”。王室ゆかりの家具、美術品、特注の調度品できらびやかに飾られたが、実は夫妻の所有物ではなく、パリ市からわずかな賃料で借りているものだった。夫妻が実際に所有していたフランスの住居は、パリ郊外にあるカントリーハウス、ル・ムーラン・ド・ラ・チュイルリー。ウォリスはこの別荘を「私たちの唯一の本当の家」と呼んでいる。

写真/ヴィラ・ウィンザーの内部。1974年撮影。

Bettmann / Getty Images

こちらがウィンザー公とウォリス・シンプソンが週末の隠れ家として愛した、ル・ムーラン・ド・ラ・チュイルリー。パリから南西に約25キロ、ギフ=シュル=イヴェットの緑豊かな自然の中にある古い水車小屋だった邸宅には、エリザベス・テイラーやリチャード・バートン、セシル・ビートンなども招かれた。

Bettmann / Getty Images

彼らのウエディングケーキがコメディ「となりのサインフェルド」に登場した

米コメディドラマ「となりのサインフェルド」には、エレインが、上司がオークションで2万9,000ドルで落札したというウィンザー公爵夫妻の1937年のウェディングケーキを、そうとは知らずに食べてしまうエピソードがある。もちろん撮影に実物が使われたわけではないが、同作が放送された1998年には、本物のウェディングケーキの一片がサザビーズに出品され、2万9,900ドルという高値で落札されている。ロサンゼルス・タイムズ紙の報道によると購入者は「これは偉大なロマンスの象徴であり、真にロマンチックで優雅なケーキです」と述べ、「私たちはこのケーキを大切に保管するつもりです。もちろん食べるつもりはありません」と説明したとか。

写真/1937年6月8日にフランスのシャトー・カンデで結婚したウィンザー公爵とウォリス・シンプソン。

Keystone / Getty Images

ウィンザー公爵に不名誉なあだ名をつけていた

ウォリスは、ウィンザー公爵が王位を退いた9日後の1936年12月19日、南フランスの滞在先から送った私信のなかで、彼を「ピーターパン」と呼んでいる。「この混乱も、目覚めたときの空虚さも、私が招いたものではありません。これは新しい“ピーターパン計画”なのです」。伝記作家アン・セバによると、これは責任と向き合わず、周囲を巻き込みながら退位へ突き進んだ公爵の子どもっぽさを皮肉った呼び名だったという。なお、本人に直接呼びかけた愛称ではなく、私信のなかで使われた表現だ。

Bettmann / Getty Images

王室関係者としては異例の早さで、回顧録を刊行した

ヘンリー王子が赤裸々な回顧録『Spare』を発表するよりも70年近く前に、ウィンザー公爵夫妻はそれぞれ回顧録を出版している。ウィンザー公爵は1951年に『A King’s Story』を、ウォリス夫人も1956年に『The Heart Has Its Reasons』を刊行した。ちなみに歴史家アンドリュー・ロウニーによれば、米国で約12万部を売った公爵の回顧録に対し、ウォリス夫人の本の販売部数は約2万6,000部にとどまったという。 『The Heart Has Its Reasons』 は、結婚や退位といった人々の関心が強い事柄に触れているものの、あいまいな内容で不誠実、と評されている。

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王室からの手当は“英国へ戻らないための代金”でもあった

1937年の英国政府文書では、ウィンザー公爵が政府や国王の意向に反して帰国した場合、国王であり弟のジョージ6世からの支払いを停止する可能性が示されていた。これに対してウィンザー公爵は、「故国へ戻る自由を、家族間の金銭的取り決めと結びつけるのは不当だ」「国外にとどまることへの報酬を受け取るのと同じだ」と抗議している。年金は生活費であると同時に、元国王を国外にとどめ、政治的混乱を起こさせないための手段にもなっていたようだ。

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バハマでは赤十字活動に参加した

華やかな社交生活や王室を揺るがした女性というイメージが先行するウォリス夫人だが、バハマで暮らした時期には慈善活動にも携わっていた。ウィンザー公爵が総督を務めた第二次世界大戦中、現地の赤十字活動に参加し、資金集めや慰問、病院などへの支援に尽力。また、現地で性感染症が広がっていることを知り、私費で専門の診療所を設けたとも伝えられている。 一般に知られる華やかな姿とは異なる、彼女の意外な一面を伝えるエピソードだ。

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5,000万ドル超の宝石を医学研究に残した

ウィンザー公爵は生前、ウォリス夫人に数多くの高価なジュエリーを贈っていた。1936年の秘密の婚約を記念した19カラットのエメラルドリングをはじめ、200点を超えるコレクションは、彼女の死後の1987年にジュネーブのサザビーズで競売に。落札総額は約5,030万ドルに達し、単一所有者のジュエリー・コレクションとして当時の世界最高額を記録した。

その収益の行き先は、英王室でも親族でもなく、パリのパスツール研究所。動物愛護に関心を寄せていたウォリスは、遺贈金を動物の生体解剖に使わないよう、遺言で条件を付けていたと報じられている。

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マドンナからジョーン・コリンズまで、何度も映像化された

ウィンザー公爵夫妻の物語はこれまで何度も映像化されてきた。

2011年には、マドンナが監督・共同脚本を務めた映画『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』が公開された。アンドレア・ライズボローがウォリスを演じ、作品はアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされている。さらにNetflixドラマシリーズ「ザ・クラウン」では、リア・ウィリアムズとジェラルディン・チャップリンが年代の異なるウォリスを演じた。

2026年5月にはウォリス・シンプソンをジョーン・コリンズが演じた映画『My Duchess』(旧題『The Bitter End』)がカンヌで業界向けに上映され話題に。晩年のウォリスが弁護士スザンヌ・ブルーム(イザベル・ロッセリーニ)の管理下で孤立していく姿が描かれる。

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ウォリス夫人とメーガン妃、時代を超えて重なる、2人の境遇

退位を望んでいなかったとする本人の言葉やバハマでの赤十字活動、回顧録の出版、借り物だったパリの邸宅など、あまり知られていない事実をたどると、ウォリス夫人の華やかなイメージと実人生との間には、いくつもの隔たりが見えてくる。それでも彼女は最後まで、「国王に王冠を捨てさせた女性」というロイヤルの物語から自由になれなかった。

米国出身で離婚歴があり、英国王室の男性と結婚。激しい批判を浴び、夫とともに王室を離れたメーガン妃にも、重なる部分は多い。メーガン妃は現在、事業や慈善活動を通じて新たな役割を築こうとしているが、この先も彼女が「王室を離れた女性」として語られ続けるのか、それとも自らのアイデンティティを打ち立てることができるのか。共通点が多いからこそ、ウォリス夫人とは異なる未来を歩めるのかにも注目したい。

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