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「トマトを両手で掴み宙に投げ…」ユニークな仕草が話題のゴリラのキヨマサ。注目の裏で“残念”と言われた過去も《最近では父・シャバーニにバトルを仕掛け…》

  • 2026.7.15

今年の春頃、1頭のニシローランドゴリラがキャッチしたトマトをポンと宙に投げたあと、クールに食べる姿が話題となりました。そのゴリラは、名古屋市の東山動植物園で暮らす13歳のオス・キヨマサ。かつてイケメンゴリラとして注目を集めた同園で暮らすシャバーニの息子です。

動画で確認できる、トマトを両手で優しくキャッチしたあと、手のひらに置いて宙にポンと放ってから食べる様子は、キヨマサ特有のものだと言います。

詳しいお話を、東山動植物園のニシローランドゴリラ担当飼育員に伺いました。


目的があっての行動だと思う

トマトを食べるキヨマサ。写真提供=名古屋市東山動植物園

「動画がきっかけで、キヨマサに注目してもらったことは素直に嬉しく思います。キヨマサをきっかけに、動物園のゴリラだけではなく、野生のゴリラ、そしてゴリラたちが置かれている状況について深く知ってもらえたら幸いですね」(飼育担当者・以下同)

質量や重量がわからないかもしれない野菜を優しく、握りつぶさずにキャッチするところにも知性が感じられるが、キヨマサ特有の行動が見られるようになったのは、1年ほど前からだと話します。

「思い当たる節として、1つあります。以前は野菜――例えばトマトやナスは一口サイズに切って与えていたんですが、1年くらい前から切らずにそのまま与えるようにしたところ、手で持った野菜を宙にポンポンと投げる行動が見られるようになりました。

運動場側から投げた野菜をキャッチしてもらうことがあるんですが、そういう場合も受け取ってから、宙にポンポンと投げてから食べています。その行動にどういう意味があるのかはわからないですし、握りつぶさないように優しく受け取るのも質量や重さを感じてそうしているのかはわかりません。なんせゴリラは喋れないですからね。ただ、キヨマサの中で何か目的があってやっているのは間違いないと思います」

同園でのゴリラの群れは、リーダーのシャバーニを筆頭に3頭から形成されています。

キヨマサの父・シャバーニ。写真提供=名古屋市東山動植物園

「オスのシャバーニをリーダーに、メスのアイ、そしてキヨマサです。オランダで生まれたシャバーニはオーストラリアに渡ったあと、当園に来園しました。アイは以前いたリッキーというオスと、現在は高齢のため、当園のバックヤードで暮らしているネネというメスの間に生まれたコドモで、キヨマサはネネとシャバーニの間に生まれたコドモです。

アイはシャバーニのコドモではないため、群れに入れた当初はシャバーニに攻撃されて怪我をしてしまうこともありました。

様子を見ながら何回かトライするうちにシャバーニがアイを受け入れ、今に至ります。キヨマサはシャバーニとネネ、アイがいた時に生まれたため、スムーズに(群れへと)受け入れられました」

メスのアイ。写真提供=名古屋市東山動植物園

シャバーニにバトルを仕掛けて……

キヨマサ。写真提供=名古屋市東山動植物園

2021年11月2日に掲載された同園のブログに、9歳になったキヨマサのことが書かれています。当時の飼育担当者は、「いつかきっと」というタイトルで、「(キヨマサは)ちょっと残念」、みたいなことを言われることがあります。(省略)いやきっと!いい男になるはずですから。」と綴っています。

その言葉通りになったキヨマサは現在13歳。特に、ここ数年は成長が著しく、時には飼育担当者でさえ、父であるシャバーニと見間違えてしまうことがあるそうです。

「キヨマサは昨年150キロだった体重が今年175キロと、25キロも増加しました。今、我々の飼育チームのメンバーでさえ、ぱっと見は間違えてしまうこともあるくらい、シャバーニと似てきました。

見分けるポイントを挙げるならば、後ろ姿でしょうか。シャバーニはお尻が大きく、太もももキヨマサより一回り太いんです。頭のかたちも少し違っていて、シャバーニは全体的に丸みがありますが、キヨマサは少しだけとんがっています。

また、シャバーニは円熟味を増した大人なので仕草もどっしりとしていますが、キヨマサはまだ子どもっぽさが残っていますし、基本、人が好きなんでしょうね。飼育員を見つけては遊んでとアピールしてきたり、近寄ってきてはちょっかいをかけてきたりと、わちゃわちゃとしていて。体や顔はゴツくなってきたけれど、かわいいところがあります」

大人へと成長しつつある現在、父のシャバーニにバトルを仕掛けることもあるそう。

「遊びがエスカレートすると、そうなるんです。腕試ししているところもあるのかもしれないですが、シャバーニは鬱陶しそうにしていますね(笑)。

最近のキヨマサはドラミングする姿も頻繁に見られますが、それもシャバーニには華麗にスルーされています。巻き込まれたアイは、騒いでいますけれどね。楽しい群れなので、ぜひ観察してみてください」

キヨマサのためにできることを

キヨマサ。写真提供=名古屋市東山動植物園

まだまだ幼さも残るキヨマサですが、近い将来、群れの形には変化が訪れると話します。

「野生のオスでは14歳頃になると、自分のいる群れを出たり入ったりしながら最終的にいなくなり、自分の群れを作ります。今、13歳であるキヨマサはまさにその時期に差し掛かっていますが、野生ではない動物園では、日本全国の園館と連携し合って転出先を探すなどします。

日本にいて、血縁関係のないオスとメスをペアリングしますが、全国でゴリラは6園しか飼育されておらず、頭数も少ないというのが現状です。その中で血縁関係のない個体を選ぼうとすると、なかなか大変なことですが、我々は来るべき時に向けて、キヨマサのためにできることをしっかりとやるだけです」

名古屋市東山動植物園

所在地 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
https://www.higashiyama.city.nagoya.jp/

文=高本亜紀
写真提供=名古屋市東山動植物園

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