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「長男置いてくから大丈夫」体調不良の祖母を置いて帰ろうとした叔母。だが、長男の姿に言葉も出なかった

  • 2026.7.4
「長男置いてくから大丈夫」体調不良の祖母を置いて帰ろうとした叔母。だが、長男の姿に言葉も出なかった

悪気のない、しでかしの天才

私には、親戚一同から「しでかしの天才」と呼ばれている叔母がいます。

母の兄の妻にあたる人で、本人にまったく悪気がないぶん、余計に手に負えない存在でした。

子どもの頃、その叔母が私を遊園地に連れて行ってくれたことがあります。楽しみにしていたのに、叔母はなぜか自分と三人の子どもだけを同じゴンドラに乗せ、私ひとりを別のゴンドラへ乗せたのです。

「なんで私だけ別なの」

ぐるぐる回る観覧車の中で、私はずっと一人ぼっちでした。意味が分からず、家に帰ってから大泣きしたのを今でも覚えています。悪意はない。

ただ、抜けている。それが叔母という人でした。

母を亡くした夜の一言

叔母の伝説は、それだけでは終わりませんでした。

忘れられないのは、母を亡くした夜のことです。

その夜、祖母が急に体調を崩しました。

呼吸も苦しそうで、顔色も悪く、とても一人にしておける状態ではありません。

娘を亡くした直後の祖母を、誰かがそばで見ていなければならない。誰の目にも明らかでした。

ところが叔母は、玄関で靴を履きながら、こう言ったのです。

「最後やし、一緒にいたいやろ」

自分は帰る、と言い出したのです。

呼吸の苦しい祖母を置いて。私は思わず、その腕をつかんで止めました。

「おばあちゃん、一人にできないよ」

すると叔母は、まるで名案でも思いついたような顔で振り返り、言いました。

「長男置いてくから大丈夫」

頼みの綱は、隣で爆睡

その言葉に、私は一瞬ほっとしかけました。

長男が残ってくれるなら、大人の目がある。

祖母を任せられる。そう思ったのです。

けれど、その長男はというと、すぐ隣の部屋で大の字になって爆睡していました。

何度声をかけても、まったく起きる気配がありません。頼みの綱は、いびきをかいていたのです。

叔母は満足げに帰っていきました。結局その夜、祖母は嘔吐を繰り返し、私が付き添って救急外来へ向かうことになりました。

処置室の廊下で朝を待ちながら、私はあの一言を何度も思い返しました。

あのまま言葉を信じて任せていたらと思うと、今でも背筋がひやりとします。

昔は、叔母を見るたびにゾッとしたものです。

けれど人は、慣れる生き物なのだそうです。今では親戚一同、次は何をやらかすのかと、密かに期待さえしています。

悪意のない天然は、笑い話と紙一重の場所で、ずっと私たちをひやひやさせ続けているのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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