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「使い古した電子機器、どうしてる?」4割が同じ回答をしていた

  • 2026.6.29
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

使わなくなったスマホやパソコン、タブレット、スマートウォッチを、みなさんはどうしていますか。

リサイクルに出した、売った、誰かに譲ったという人もいるかもしれません。

しかし、多くの人の答えはもっと拍子抜けするものでした。

それは「とりあえず、何もしないで持っておく」です。

アメリカの消費者4000人を対象にした新しい研究では、使い終えた電子機器の行き先として最も多かったのが「保管」だったことが明らかになりました。

その割合は39%で、ほぼ4割に達していました。

研究の詳細は、米ロチェスター工科大学(RIT)により、2026年5月22日付で学術誌『Sustainability』に掲載されています。

目次

  • 古い電子機器は、なぜ放置されるのか
  • 「リサイクルを教える」だけでは足りない

古い電子機器は、なぜ放置されるのか

研究チームが注目したのは、単なる「電子ごみ」ではありません。

まだ使えるもの、修理すれば使えるもの、別の人なら使えるものも含めて、「現在の持ち主が使い終えた電子機器」がどう扱われるのかを調べました。

対象となったのは、スマートフォン、タブレット、ウェアラブル機器、ゲーム機、スマートテレビ、スマートホーム機器、AR/VR機器など、10種類の消費者向け電子機器です。

調査では、過去に使い終えた機器をどうしたか、また現在使っている機器を将来どうするつもりかが尋ねられました。

その結果、過去の実際の行動として最も多かったのは「保管」で、39%を占めていました。

一方、リサイクルは11%、再販売は9%、ゴミとして捨てた人も9%でした。

(※ もちろん、この調査はアメリカ人のみを対象としているので、全ての国の人に当てはまるわけではありません)

つまり、環境に配慮した処理や次の利用者に渡す選択肢よりも、「何もしないで持っておく」ことが最も一般的だったのです。

では、なぜ人々は古い電子機器を手放せないのでしょうか。

研究から見えてきた大きな理由は、個人データへの不安です。

スマートフォンやタブレットには、写真、連絡先、メール、決済情報、アカウント情報など、生活の断片が詰まっています。

そのため、リサイクルや再販売に出すと、データが漏れるのではないかと不安になる人が少なくありません。

実際、リサイクル時のデータ流出を心配している人は、機器を保管する確率が14%高くなっていました。

また、再販売時のデータ流出を心配している人も、保管する確率が9%高くなっていました。

さらに、どこでリサイクルできるのかを知らない人は、機器を手元に残す確率が10%高くなっていました。

「あとで必要になるかもしれない」「バックアップとして残しておきたい」という考えも、保管を後押ししていたと考えられます。

つまり、古い電子機器は単なるモノではなく、個人情報と記憶が詰まった“手放しにくい箱”になっているのです。

「リサイクルを教える」だけでは足りない

これまで、電子機器のリサイクルを促す議論では、よく「便利にすること」や「場所を知らせること」が重視されてきました。

もちろん、それは重要です。

今回の研究でも、どこでリサイクルできるかを知っている人は、リサイクルを選ぶ確率が47%高くなっていました。

しかし、この研究の面白い点は、リサイクルだけを見ていないところにあります。

チームは、使い終えた電子機器の行き先を、保管、再販売、寄付・譲渡、下取り、リサイクル、ゴミとして廃棄という複数の選択肢として分析しました。

その結果、リサイクル情報を知ることは、ゴミとして捨てる行動を減らす一方で、再販売などの選択肢から人々を遠ざける可能性も見えてきました。

ここが重要です。

電子機器は、製造段階で多くの資源やエネルギーを使います。

そのため、まだ使える機器であれば、分解してリサイクルするよりも、再販売や譲渡によって誰かに使い続けてもらう方が、環境負荷を下げられる場合があります。

つまり、「リサイクルしましょう」だけでは、必ずしも最良の選択に導けない可能性があるのです。

必要なのは、デバイスの状態に応じて、再販売できるのか、譲渡できるのか、下取りに出せるのか、それともリサイクルが適切なのかを案内することです。

さらに、その前提として「安全にデータを消せる」という安心感を与える必要があります。

研究では、人々が将来の予定としてはリサイクルや再販売を考えていても、実際に手放す場面になると、データへの不安から保管を選びやすくなることも示されました。

これは、頭では「いつか処分しよう」と思っていても、現実の判断の瞬間に「やっぱり怖い」と感じてしまうことを意味しています。

だからこそ、古い電子機器を循環させるには、回収場所の情報だけでなく、データ消去の手順やアカウント連携の解除方法を、わかりやすく示す必要があります。

たとえば、「データを消す」「アカウントから外す」「再販売・譲渡・リサイクルの候補を選ぶ」という流れを、誰でも迷わず進められる仕組みが求められます。

古いスマホが引き出しに眠る理由は、怠け心だけではありません。

そこには、個人情報を守りたいという自然な不安と、何をすればいいのかわからないという情報不足があります。

しかし、使われないまま何年も置かれた電子機器は、再販売価値を失い、データ消去も面倒になっていきます。

私たちの引き出しの中には、まだ誰かの役に立つ小さな資源が眠っているのかもしれません。

使い古した電子機器をどうするかは、単なる片づけの問題ではなく、個人情報と環境をどう両立させるかという、現代らしい課題なのです。

参考文献

Almost 40% of Americans Do The Exact Same Thing With Old Technology
https://www.sciencealert.com/almost-40-of-americans-do-the-exact-same-thing-with-old-technology

元論文

How Do Stated Knowledge and Attitudes Influence End-of-Current-Use Disposition of Electronics?
https://doi.org/10.3390/su18115239

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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