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福が増すといわれる朝茶。抹茶を点て、心を整える時間を。

  • 2026.6.28

2026年6月8日発売の別冊ムック「&Lifestyle /Better Life Guide 毎日を心地よくするヒント」。生き方、住まいへのこだわり、もの選び、食のこと、装い、日々の習慣……。これまでさまざまな角度から掘り下げて特集してきたBetter Lifeを叶えるためのアイデアを、一冊にまとめました。ここでは、茶道家の目黒窓久さんに聞いた、朝茶の楽しみ方を紹介します。

毎日起きてすぐ、茶室の窓辺で抹茶を点たてるという茶道家の目黒窓久さん。「先に白湯を飲んで自分の状態を確認し、3〜4回息を吸って吐いて、呼吸を整えてからお茶を点てます」

移り変わる風や光を感じながら、抹茶を飲んで、自分と向き合う。

茶道では本来、朝茶といえば夏に涼気を楽しむ茶事を指すが、「朝茶は七里帰っても飲め」といわれるように、朝に飲むお茶は昔から、災いから逃れる縁起の良いものともいわれている。これを 日々の習慣にし、心を整える時間にしているという自然派茶道茶花教室「星窓」主宰の目黒窓久さん。
「禅の世界では毎朝、僧侶たちが皆で朝茶を点て、生きている人も先に逝ってしまった人も含めて、同じものを共有して心を合わせるという文化があります。人に何かを与えるためには、まず、自分の精神を整え、自分自身を見つけること。季節ごとに違う朝の風や光の移ろいを感じながら、内面と向き合う時間を過ごせば、前日の出来事もリセットでき、いいはじまりを迎えることができます」
お点前となると作法や所作など、何かと決まり事が多いが、手順や道具にとらわれず、茶道の精神的な部分を大切にしてほしいと目黒さんは言う。
「最低限、器と抹茶、茶筅さえあれば、朝の抹茶を点てるのには十分です。茶杓の代わりはスプーンでもいいし、茶碗は飯碗などでも代用できる。畳のない家ならテーブルでお茶を点てるのでも構 いません。道具や所作よりも、季節を感じられる窓辺で、新しい朝に人や自然への感謝の気持ちを込めてお茶と向き合うこと。そうすれば、その日一日が整い、ゆくゆくは人生が整うことにつなが っていきます。また、毎朝続けることで、その日の体調の違いに気づくこともできますよ」
堅苦しくならず自由に、毎朝ほんの少し早起きして、お茶の時間を楽しむことを、茶道の精神を知る入り口にしてみては?

抹茶の点て方。

出典 andpremium.jp

1. 器、茶筅、抹茶の3点を用意する。

器、茶筅、抹茶の3点さえあれば、始められる。茶杓がなければスプーンでも。「抹茶は手に入りやすい〈芳翠園〉のものなどが初心者にはおすすめ。三重の伊勢、鹿児島の知覧、福岡の八やめ女など、産地で飲み比べても楽しいですよ。茶筅は、朝に飲むお茶なので薄茶用の『数穂』を。2000円前後で手に入ります。道具はいかに楽しめるかということを大事に」

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2. 茶杓2さじ分の抹茶を器に入れる。

器の正面を自分に向け、茶杓に大盛りで2さじ分の抹茶を、器を真上から見て、時計の4時の位置に入れる。お湯を入れるときに抹茶に当たらないよう、なるべく端に入れる。「茶杓をスプーンで代用してもいいですが、1000円以下で手に入るものもあるので1本持っていても。本来は茶巾なども用意しますが、カジュアルに始めるなら、なくても構いません」

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3. お湯を抹茶に当たらないように注ぐ。

器を真上から見て8~10時の位置に、約70mℓのお湯を注ぐ。鉄瓶などを使えば注ぎやすいが、電気ケトルやポットから直接注いでもOK。「お湯の温度は100°Cでもいいですが、最初にお湯を沸かしておいて、道具を準備しながら少し冷ましたほうが苦味や雑味が出にくいです。また、お湯が直接抹茶に当たらないようにすると、すっきりした味に仕上がります」

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4. 茶筅で混ぜ、泡が立ってきたら完成。

左手を茶碗に軽く添え、茶筅を床と垂直に立てて、力を入れず上下に動かしてお茶を点てる。お茶が空気を含んで泡立ったら数回まわして泡を中心に集め、最後に気を込めて茶筅を引き上げる。「茶筅は力が入らないように先の方を持って。一気に混ぜると粉が団子になることもあるので、茶筅でちょんちょんと少しお茶に触ってお湯に溶かすとうまくいきます」

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5. 器を2回まわして飲む。

お茶を作ってくれた人や自然への感謝を表し「ご自服致します」と気持ちを込めて、器の横に両手を置いてお辞儀をする。茶碗の縁に右手をかけ、底に左手を添えて、口元に。正面が汚れないように右手で手前の方に2回まわしてずらしてから、3〜4口でいただく。「最後に気を吸い込むつもりで、フッと音を立てて息を吸うようにして飲んでください」

出典 andpremium.jp

器選びは好きなもので自由に。

初心者には抹茶碗のほうが底に茶筅の可動域があって混ぜやすいが、なければ茶筅を動かせる大きさの飯碗やカフェオレボウルなどでも。中がザラザラした質感のほうが点てやすい。茶入にはシュガーポットも代用可。「二階堂明弘さんや鈴木麻起子さんら好きな器作家の作品を交え、気分によって使い分けています。数種あれば、楽しみがより広がります」

目黒 窓久 Soukyu Meguro茶道家

自然派茶道茶花教室「星窓」主宰。10歳から茶道裏千家流の門下生に。各地出張茶会のほか、身体運用と民俗風習などを組み合わせた「端伝」「初伝」などの茶道稽古を指導。「星窓文化スクール」を広尾駅前で開校。随時稽古生募集中。

photo : Taro Hirano text : Asuka Ochi

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