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「大化けの可能性あるかも」初回放送から“余韻漂わせた”女性脚本家に期待の声…経歴が“見事”に昇華された【木曜劇場】

  • 2026.7.17
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内田有紀 (C)SANKEI

内田有紀と寺西拓人がW主演を務める木曜劇場『ラストノート』。49歳の女性と30歳の青年が、人生でもっとも激しい恋へ導かれていく大人の純愛ドラマだ。第1話では、甘いティザーから一転、詐欺疑惑や毒父の存在が浮かび上がり、SNS上でも「絶妙な脚本」「大化けの可能性あるかも」と期待の声が広がっている。注目したいのは、本作を完全オリジナル脚本で手がける的場友見である。

※以下本文には放送内容が含まれます。

ファッション、広告、メディアを渡り歩いた脚本家

的場友見は、北海道出身の脚本家・コピーライターである。早稲田大学第一文学部を卒業後、アパレル会社にてVMD、博報堂『アイ・スタジオ』でコピーライター・プランナー、『コンデナスト・ジャパン』で出版社勤務を経験したのち、独立。

2020年には、代理母出産をテーマにした『サロガシー』で第32回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞し、同作は翌年、堀田真由主演でドラマ化された。

この経歴から見えてくるのは、的場が単に物語を書く人ではなく、言葉とビジュアルが人の欲望や感性に直結する世界を渡り歩いてきた書き手だということだ。ファッション、広告、メディア。いずれも、時代の空気や人々の憧れ、見せたい自分と隠したい本音が交差する場所である。

その意味で『ラストノート』という題材は、的場のキャリアと非常に相性がいい。主人公の一瀬葵(内田有紀)は香料メーカーで働く49歳の女性。タイトルの「ラストノート」は、香水が時間とともに変化し、最後に肌に残る香りを意味する。香り、記憶、言葉、視線。それらが重なり合う本作には、的場が培ってきた審美眼やコピーライター的な感覚が活かされる余地が大きい。

第1話も、単なる年の差恋愛の入口には収まらなかった。恋人同士の甘いティザー映像から一転、本編で実際に描かれたのは、友人をだました疑惑のある青年を追うため、葵がマッチングアプリで接触するという意外な展開である。美しい恋の予感と、現実のざらつき。その落差があるからこそ、『ラストノート』には最初から不穏な引力があった。

「絶妙な脚本」と言われる理由

第1話で印象的だったのは、澄晴(寺西拓人)が口にする、年下男性から大人の女性へ向けられた甘い褒め言葉の危うさだ。それが葵の友人・優子(坂井真紀)だけではなく、葵に対しても惜しげなく使われていることから、彼にとっては相手の心に入り込むための道具でしかないとわかる。

甘い言葉は、人を救うこともあれば、だますこともある。『ラストノート』第1話は、その両義性をかなり鋭く描いていた。

一方で、葵が澄晴に放つ「あんたも必死に生きてみなさいよ」という言葉は、ただの啖呵ではない。澄晴のずるさを見抜く言葉であり、同時に葵自身がこれまで必死に生きてきた人であることをにじませる言葉でもある。結婚や離婚、仕事の挫折を経験し、人生にこれ以上の変化を求めずに生きてきた葵だからこそ、必死に生きることから逃げているように見える澄晴に腹が立ったのだろう。

ここに、コピーライター経験を持つ的場脚本らしい“言葉の強度”がある。短く本質を突き、あとから意味が変わってくる。台詞がキャラクターの表面だけでなく、奥底にある傷やごまかしまで照らし出しているのだ。

『サロガシー』から続く生きづらさへのまなざし

的場の名前を広く知らしめた『サロガシー』は、代理母出産をテーマに、家族、血縁、身体、選択をめぐる現代的な問いを描いた作品だった。単純な善悪では割り切れない価値観の衝突と、それでも自分の人生を選ぼうとする人々の葛藤があった。

また『やんごとなき一族』では格差や家制度、愛憎が絡み合う世界が描かれ、『隣の男はよく食べる』では年齢やキャリアに悩む大人の恋愛が扱われた。そうした流れを踏まえると、『ラストノート』も単なる年の差恋愛には収まらない作品になる可能性が高い。

葵は、49歳。結婚や離婚、仕事の挫折を経験し、人生に大きな変化を求めなくなった女性である。一方の澄晴は、夢を諦め、厳しい環境のなかで本音にフタをして生きてきた30歳の青年だ。二人の恋は、年齢差という分かりやすい壁だけでなく、キャリア、家族、過去の傷、社会から向けられる視線を含んでいくはずである。

『ラストノート』というタイトルから考えても、本作の恋は、一目惚れの高揚より、時間が経ってから心に残る感情を描こうとしているように見える。

第1話の時点で、葵と澄晴の関係は甘い恋とはほど遠い。怒り、疑い、軽蔑、そして相手の傷に気づいてしまう戸惑いから始まっている。しかし、その入口の苦さこそ、大人の純愛ドラマとしての奥行きになりそうだ。的場の脚本家としての経歴を踏まえると、そこにはファッション的な審美眼、コピーライター的な言葉の鋭さ、そして現代社会の生きづらさをすくい上げる視点が重なっている。

時間をかけて変化し、傷や過去と混ざり合い、最後に何かを残すような恋。SNS上で語られるように、「大化けの可能性あるかも」と思わせる余韻は、すでに第1話から漂っていた。


出典:フジテレビ 木曜劇場『ラストノート』公式HP より

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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