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28年前の名作ドラマ“脚本演出コンビ”が再集結「なつかしくて泣きそう」新ドラマ初回、当時を彷彿させた“ラスト3分”

  • 2026.7.15
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小池栄子(C)SANKEI

小池栄子主演の『さよならノワール』が始まった。西池袋署に新設された犯罪被害者支援室を舞台に、元マル暴刑事・黒木夏海(小池栄子)と心理学者・白石絵梨子(北香那)が、犯罪被害者や遺族に寄り添う警察ヒューマンドラマである。脚本は井上由美子、演出は河毛俊作。1998年の名作『きらきらひかる』を手がけたコンビの再集結に、SNS上でも「なつかしくて泣きそう」の声が上がった。第1話の最後が食事シーンで終わったことも、あの作品を思い出させる。

※以下本文には放送内容が含まれます。

井上由美子×河毛俊作が描き続ける“残された人”

『さよならノワール』は、池袋の治安を守る西池袋署に新設された、犯罪被害者支援室を舞台にした物語である。元暴力団対策係の刑事・夏海と、帝都大学から派遣された心理学者・絵梨子が、犯罪によって傷ついた人々や遺族の初期支援にあたる。

この設定を聞いた時点で、1998年の『きらきらひかる』を思い出した視聴者も少なくなかっただろう。同作は、監察医たちが遺体と向き合い、死因を探り、その背後にある人間の痛みを見つめていくドラマだった。脚本は井上由美子、演出は河毛俊作。今回の『さよならノワール』で、その2人が再び組んだことには、単なる懐かしさ以上の意味がある。

『きらきらひかる』が死者の声なき声をすくい上げる物語だったとすれば、『さよならノワール』は事件のあとに残された人々の、声にならない痛みに耳を澄ませる物語である。事件が終わったあとも、なお続いていく人生に、誰がどう寄り添うのか。第1話は、その問いを静かに提示していた。

対照的な女性バディが開く、支援の入口

夏海は、元マル暴刑事らしい肝の据わった人物である。言葉は荒く、やり方も型破りに見える。しかし犯罪被害者や遺族に向き合うとき、彼女は決して上から目線で慰めない。相手の痛みをきれいな言葉で包むのではなく、同じ高さに立ち、時にぶっきらぼうなまま寄り添う。

一方の絵梨子は、心理学の専門知識を持つ支援員である。知識は豊富で、言葉も丁寧だ。しかし第1話では、被害者との距離の取り方に苦戦する姿が描かれる。正しい言葉を選ぼうとすればするほど、相手の心から遠ざかってしまう。専門性があるからこそ、現場の生々しさに戸惑う人物でもある。
この対照的な2人の関係性も、『きらきらひかる』の空気を思わせる。監察医たちがそれぞれ違う感性と方法で死者や遺族に向き合っていたように、『さよならノワール』でも、夏海と絵梨子は互いにぶつかりながら、自分にはないものを相手から学んでいくのだろう。

第1話は、この2人が“支援する側”としてまだ完成していないことを隠さなかった。夏海は経験と勘で動き、絵梨子は知識を頼りにする。どちらも正しく、どちらも危うい。だからこそ、このバディが今後どのように互いを補い、被害者や遺族と向き合っていくのかに期待が高まる。
小池栄子の頼もしさと、北香那の繊細な揺れ。その対比があることで、『さよならノワール』は重い題材を扱いながらも、人物同士の関係性で見せるドラマとして立ち上がっている。

『きらきらひかる』から受け継がれた“生きる”手触り

第1話でとりわけ印象的だったのは、エンディング後に食事シーンが流れたことだ。事件は解決に向かっても、傷は消えない。失った人は戻らない。それでも人は、明日を生きるために食べる。食事という日常の行為が、痛みを抱えたまま続いていく時間を静かに示していた。
このラストシーンに、『きらきらひかる』を思い出した視聴者も多かったはずだ。『きらきらひかる』もまた、食事の場面で終わっていた。死に向き合う物語の最後に、食べることが置かれる。その構図は、井上由美子と河毛俊作の作品における大切な感覚を物語っている。

被害者支援は、傷を完全に癒やす仕事ではない。ましてや、短時間で相手を前向きにさせる仕事でもない。ただ、今夜を越えるための手を差し伸べること。食事シーンは、その小さな回復の象徴として機能している。
『きらきらひかる』では、遺体と向き合った後に、残された人間たちが食べることで日常へ戻っていった。『さよならノワール』でも、犯罪によって壊された日常の中に、食べる時間を取り戻すことが描かれるのかもしれない。

『さよならノワール』第1話は、事件の派手さよりも、事件のあとに残される人の痛みを見つめるドラマだった。死に向き合う監察医から、傷ついた人を支える犯罪被害者支援室へ。描く場所は変わっても、そこにあるのは、声にならない痛みへどう手を伸ばすかという問いである。


出典:火9ドラマ『さよならノワール』フジテレビ公式サイト

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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