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“推しの顔”はどこまで使える? HYBE・SM・JYP・YG参加の保護協議体発足、K-POPファンにも影響か

  • 2026.6.23

“推しの顔”は、どこまで自由に使えるのか。

K-POPファンにとって、アーティストの写真や名前は身近な存在だ。

フォトカード、ステッカー、スマホケース、誕生日広告、SNS投稿、AI画像。推し活のなかで身近だった“推しの顔”の使い方が、今後はより厳しく見られる可能性がある。

韓国で、パブリシティ権とK-グッズの侵害に対応する官民協議体が発足したからだ。

韓国の知識財産処は6月23日、ソウルの韓国知識財産センターで、国内主要芸能事務所5社とともに「パブリシティ権保護協議体」の発足式を開催した。

参加したのは、CJ ENM、HYBE、JYPエンターテインメント、SMエンターテインメント、YGエンターテインメント。いずれもK-POP、K-コンテンツを代表する大手企業だ。

韓国メディア『聯合ニュース』によると、今回の協議体は、K-カルチャーの拡大とともに増えているパブリシティ権侵害やK-グッズ侵害に、より迅速かつ実効的に対応するために作られた。

パブリシティ権とは、有名人の肖像や署名などを商業的に利用できる権利を指す。韓国では2022年の不正競争防止法改正により、パブリシティ権侵害行為に対する行政調査が可能になった。さらに2024年には是正命令制度も整備され、保護体制が強化された。

なぜ今、保護協議体なのか
違法なグッズ
(写真提供=知識財産処)違法なグッズ

背景にあるのは、K-POPの世界的な広がりと、それに伴う“無断利用”の拡大だ。

オンライン上では、アーティストの肖像や名前を無断で使ったコンテンツが短時間で広がる。オフラインでも、偽造グッズの流通は繰り返されている。そのため個別の芸能事務所や政府だけで対応するには限界があるという指摘が出ていた。

『ヘラルド経済』は、今回の協議体について「K-カルチャーの拡散とともに増加しているパブリシティ権侵害とK-グッズ侵害に、より迅速かつ実効的に対応するため、官民が力を合わせる」と報じた。

同メディアは、最近ではAIを活用した侵害も広がっており、実効的な制度改善が急がれると指摘している。

知識財産処は今後、主要芸能事務所とともに、パブリシティ権およびK-グッズの侵害事例を共有し、侵害情報の迅速な確認、行政調査・取り締まりとの連携、是正命令の実効性向上、AI侵害への対応に向けた制度改善課題の発掘などを進める方針だ。

キム・ヨンソン知識財産処長は「パブリシティ権とK-グッズの保護は、K-コンテンツ産業の正当な価値を守ること」とし、「現場を最もよく知る芸能事務所と、知識財産処の調査・執行機能がつながるとき、実効的な対応が可能になる」と述べた。

つまり、これは単なる制度の話ではない。

K-POP産業が大きくなるほど、アーティストの顔、名前、署名、イメージそのものが大きな価値を持つ。だからこそ、それを無断で利用したグッズや広告、AIコンテンツへの対応が、今後さらに重要になるということだ。

“その推しグッズ”は大丈夫か
BTS
(写真提供=OSEN)BTS

K-POPファンにとって気になるのは、どこからが問題になるのかという点だろう。

もちろん、すべてのファン活動が直ちに違法になるという話ではない。ファンが個人的に写真を保存したり、SNSで感想を投稿したり、非営利の範囲で応援文化を楽しんだりすることと、アーティストの肖像や名前を無断で使って商品化し、販売することは別の問題だ。

今後、特に問題視されやすいのは、推しの顔や名前を使った非公式フォトカード、学生証型カード、ステッカー、肖像入り雑貨、偽造グッズ、無断使用広告、そして商業目的のAI生成画像などだろう。

実際、韓国ではすでに摘発事例が出ている。

知識財産処は今年3月、SEVENTEEN、BOYNEXTDOOR、TOMORROW X TOGETHER、aespa、IVE、RIIZEの計6組に所属するアーティスト41人の芸名・肖像を無断で使用した商品を販売した4社に対し、初の是正命令を出した。

販売されていたのは、フォトカード、学生証型カード、ステッカーなど計5種類。違法商品の即時販売中止、保有商品の廃棄、同一または類似の方法による販売行為の禁止、再発防止教育の受講などが命じられた。

この事例は、今回発足した保護協議体の動きを考えるうえでも重要だ。ファンにとって身近な“非公式グッズ”であっても、肖像や芸名を無断で商業利用すれば、パブリシティ権侵害として行政措置の対象になり得ることを示している。

もう一つ、今回の協議体が視野に入れているのがAIによる侵害だ。

韓国メディア『テンアジア』は6月22日、「“aespa・NewJeansが一つのグループだなんて” Google・OpenAI、肖像権侵害が蔓延」と題した記事で、生成AIによるK-POPアーティストの肖像侵害問題を報じた。

aespa
(写真提供=OSEN)aespa

同メディアは、Googleの画像生成AI「Nano Banana Pro」やOpenAIの「GPT Image 2」など、代表的な画像生成AIモデル7種に同一のプロンプトを入力して検証。その結果、実在するK-POPアーティストを連想させる画像が生成されたケースがあったと伝えている。

記事では、あるK-POPエンタメ企業関係者の「AIによる肖像権侵害問題が深刻になっているが、何の制裁もなく広範囲な活用が続いている」「これを悪用した偽広告などの事例も出ている」との指摘も紹介された。

また同記事は、アーティストの顔を無断で使ったAI画像を商業的に利用する場合、不正競争防止法上の氏名・肖像などの無断使用、つまりパブリシティ権侵害に該当し得るという法曹界の見方も伝えている。

このAI問題も、K-POPファンにとって無関係ではない。

推しに似せたAI画像や架空のコンセプトフォトを個人で楽しむ範囲にとどめる場合と、それを販売、広告、宣伝、収益化に結びつける場合では、問題の重さが変わってくる。後者は権利侵害として問われる可能性がある。

ファン文化と商業利用の境界線

K-POPは、ファン文化とビジネスの距離が近い。

ファンは推しの写真を集め、名前を呼び、応援広告を出し、カップホルダーイベントを開き、誕生日を祝う。そうした活動がK-POP文化を支えてきたことも事実だ。

一方で、推しの顔や名前は、本人と所属事務所にとって重要な知的財産でもある。そこに無断販売、偽グッズ、商業広告、AIによる無断生成が絡めば、単なるファン活動では済まなくなる。

今回の保護協議体発足を、ファン文化そのものを否定する動きと見るのは早計だろう。ただし、K-POPファンにとっては、「好きだから使う」「応援のためだから大丈夫」という感覚だけでは済まない時代になっていることを示している。

今後は、推しの肖像や名前を使った非公式グッズの販売、AI生成画像の商業利用、偽広告への転用などに対して、政府と大手芸能事務所がより連携して対応する可能性が高い。

“推しの顔”は、ファンにとって愛着の対象であると同時に、アーティスト本人と所属事務所にとって守られるべき権利でもある。

K-POPが世界的な産業になった今、その境界線はこれまで以上に厳しく問われることになりそうだ。

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