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朝ドラ【風、薫る】コントラストが興味深い!再登場スーツ姿の虎太郎 VS 夢を追い続けるシマケン どちらが…

  • 2026.6.22

朝ドラ【風、薫る】コントラストが興味深い!再登場スーツ姿の虎太郎 VS 夢を追い続けるシマケン どちらが…

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。近代看護界の先駆者となった2人の女性を主役とする物語。「風、薫る」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ! ※ネタバレにご注意ください

「今、ここに看護婦が6人います」

看護婦/看護師とは、一体どういった存在なのか。

もちろん人が生きていくうえで避けることのできない病気や怪我といった場面で大きな助けになる存在であることは言うまでもない。そしてそれを行うことは大変な労力がかかることも誰もが理解しているだろう。

しかしそういった理解があったとしても、近年でもその地位のようなものは、必ずしもそれに見合ったものではないのかもしれない。

「看護」という、当時の日本にまだなかった「概念」をゼロから根付かせていく。日本にやってきたバーンズ(エマ・ハワード)はそんな思いを抱き、梅岡看護婦養成所に入学した生徒たちを見守り続け、生徒たちは看護婦見習いとして少しずつ、かつ着実に成長してきた。

『明治のナイチンゲール 大関和物語』(田中ひかる・中央公論新社)を原案とし、激動の明治時代を駆け抜けた二人のナースを、見上愛・上坂樹里のダブル主人公として描くNHK連続テレビ小説『風、薫る』の第12週「旅立ち」が放送された。

バーンズの帰国が決まった。帝都医大附属病院の院長・多田(筒井道隆)が、独自の看護科を病院内に新設することを決めたことによる。バーンズの帰国、それは生徒たちがバーンズからのなかば強制的に「旅立ち」をすることにもつながる。しかし、巣立ち、旅立ちをするには、成長をともなうことが必要だ。

ある日、帝都医大附属病院に入院し、直美(上坂樹里)らが看護を担当した忠蔵(若林時英)が退院後に見習いとして働く団子屋の主人が突然倒れる。そこに直美やりん(見上愛)たち6人の看護婦たちがかけより、「大丈夫ですか?」「横向きに」「最近変わった様子は?」と次々声をかけ、見事な連携のもと対処する。その様子を頼もしそうに見つめるりんの娘・環(宮島るか)。我々視聴者も同じようなものだっただろう。

「看護」とは何かということもわからないまま入学してきた彼女たちが立派に成長していること、そしてチームプレイのような連携ぶりがよく分かるシーンであり、バーンズの教育と数々の実際の患者たちへの看護の成果、彼女たちの絆もそこに凝縮されている。彼女たち実習生たちも安心して巣立ちができると感じさせてくれる場面だった。

「私の夢はあなた方に託します」
帰国が決まったことを実習生たちに告げ、バーンズはこう語った。バーンズの小さなころの夢は、アップルパイをお腹いっぱい食べることだったという。スコットランドの裕福な家庭で育ったバーンズは、ナイチンゲールに学び看護婦として働くうち、日本という国には看護婦が存在せず困っている話を聞き、そこで新しい夢、日本のどんな病院にも当たり前の存在であるようにしよう、それがバーンズの新しい夢になったと言う。

「今、ここに看護婦が6人います」
バーンズのもとで経験を重ね少しずつ成長してきたものの、まだどこか自信もないかもしれない6人にとって、こんなにも嬉しい言葉はないだろう。バーンズは続ける。
「6つの種をまくことができました。それが60人、600人、6000人に増えたとき、私の夢は叶います。みなさんよろしくお願いします」

教師のバーンズの旅立ちでもあった

学園モノのある種のクライマックスの定番ともいえる卒業にあたってのこういった言葉は胸に刻まれ、のちに語り継がれていく名場面となることが多い。卒業の日、バーンズは自ら焼いたアップルパイを生徒たちにふるまった。子供のころの夢、そして現在の夢が見事に結びつく心あたたまる演出である。

「夢を見るのは楽しいですが、かなえようとすると苦しいものです」
それでも夢をかなえるために、がんばっていく。かくしてバーンズの夢は、りんたちにしっかりと継承された。旅立ちとはりんたち生徒だけでなく、教師のバーンズの旅立ちでもあった。

その一方で、「6つの種」の中でもそれぞれの旅立ちがあった。しのぶ(木越明)は結婚という道を選び、そこで学んだことを活かしていくと自分の選択を語る。喜代(菊池亜希子)もまた、伝道師としての道を選ぶと告白、新しい道を歩き、そこで新たな芽を吹かせていくことになっていく。

りんたちとバーンズだけではなく、りんの妹の安(早坂美海)は結婚という、これまでの家族からの旅立ちに向き合ううちに、自分の幸せを見つめ直していくところも今週の印象的な場面であった。かつて描かれた、双六の上がりとしての「奥様」というゴール。果たしてそれでいいのか。

奥様としての幸せではない幸せのかたちを模索する姿もまた、結婚はゴールでもなければ、新たな旅立ちとイコールではないことも、あらためて考えるきっかけとなるが、卒業とともに行くあてのなくなる直美がりんの家に居候するような流れとなったときに、「私、もうすぐいなくなりますから」と安はこう言った。

もしかしたら結婚が白紙になるのかと思っていたところではあったが、それはなさそうで少しほっとする。安の結婚生活についても、結婚というものを通して幸せをどうとらえていくのかという部分もこの先注目していきたいポイントだ。

数々の旅立ちが描かれたいっぽうで、あらたな流れも生まれた。りんの幼馴染、虎太郎(小林虎之介)が上京し、製薬会社に勤めているという設定で再登場、しっかり根を張り生きる虎太郎と、夢を追い続けるシマケン(佐野晶哉)とのコントラストがまた興味深く、二人が対面する場面に漂う謎の緊張感はどこかコミカルでもあり、この先りんをめぐる二人の関係性がどう動いていくか、気になるところである。

6つの種だけでなく、それぞれの登場人物たちの旅立ちや継続のその先について、気になる展開となりそうな次週以降である。

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