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40年前に亡くした我が子を思い、今も涙する母。人はどれだけ時間が経っても痛みを抱えて生きていくしかないの?【心理士インタビュー】

  • 2026.6.17

【漫画】本編を読む

「赤ちゃんに無事に生まれてきてほしい」親なら誰もが願う当たり前の幸せが、これほどまでに遠く苦しいものになるなんて。『わたしが選んだ死産の話』(桜木きぬ:著、医療法人財団順和会山王病院長 藤井知行:監修/KADOKAWA)は、著者である桜木きぬさんの死産の体験を克明に描いた実録コミックだ。

待望の第二子を授かった著者を待ち受けていたのは、おなかの赤ちゃんの染色体異常「18トリソミー」の宣告だった。18トリソミーの胎児は治療が困難な重い心疾患により、自然流産となることが多い。また、たとえ生まれても生後1週間以内に約60%が死亡し、生後1年まで生存する子どもは10%未満、とも言われている。赤ちゃんを無事に産みたい願いと、過酷な未来への不安。引き裂かれるような思いの中で、著者が選んだのは「死産」という決断だった。

本作に基づき、過酷な現実に直面した当事者の心情や周囲とのかかわりについて、臨床心理士・白目みさえさんに話を聞いた。

※本記事には流産・死産に関する内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

――本作は、著者が体験したおよそ10年前の死産の出来事を漫画化しています。著者の実母も40年前に子どもを亡くし、そのことを思い涙するシーンがありました。時間が経っても逃れられない痛みを抱えた方々へ、どのようなアドバイスがありますか。

白目みさえさん:一番大切なのは、「今、自分が感じていることを否定しないこと」だと思います。

「こんな思いを抱えている自分はおかしい」「早く前に進まなければ」というように、ただでさえ苦しい痛みの上に、さらに自分を責める必要はありません。何年経っても癒えないと感じてしまうほどの出来事があったのです。その重さを、まずはそのまま認めてあげてほしいと思います。

正直に言えば、その苦しさや痛みがきれいさっぱりなくなることはないかもしれません。でも、痛みが消えなくても、人はその痛みを抱えたまま生きていくことができてしまいます。今は想像もつかないかもしれませんが…。

前を向かなければ、未来を見なければ、と無理に思わなくてかまいません。苦しいままで、格好がつかなくても、今日をただ過ごす。そうやって重ねた一日一日の中に、ふとした幸せや楽しさが混ざってくる瞬間がやってきます。

痛みがなくなることを目標にするのではなく、痛みとの距離の取り方を少しずつ探していくこと、それが自分の心を守ることにつながると思います。

取材・文=あまみん

白目みさえ(しろめ・みさえ)

臨床心理士、公認心理師、漫画家。精神科での臨床業務に従事しながら、自身の育児や仕事の体験を独自の視点で切り取った漫画を執筆。主な著書は『白目むきながら心理カウンセラーやってます』(竹書房)、『子育てしたら白目になりました』『放置子の面倒を見るのは誰ですか?』(KADOKAWA)など。

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