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乳首の穴にも工夫を凝らす…井の頭自然文化園の飼育員が試行錯誤したアムールヤマネコの赤ちゃん3頭の人工哺育

  • 2026.6.17
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4月28日、井の頭自然文化園で誕生した3頭のアムールヤマネコの赤ちゃん。お母さんヤマネコ「ミレ」の急死を乗り越え、現在は「人工哺育」で懸命に育てられています。今回は、実際に赤ちゃんたちのお世話をチームで担当している飼育展示係長の藤岡紘(こう)さんに、人工哺育の裏側や3頭の個性について詳しい話を聞きました。

試行錯誤の連続!「いかにミルクを飲ませるか」

藤岡さん自身にとって、アムールヤマネコの人工哺育は今回が初めての経験でした。ミルクは市販の猫用粉ミルクを使用していますが、自然界で母親からおっぱいをもらうのとは違い、スケジュール管理などさまざまな工夫が必要だったといいます。

藤岡さん:「哺乳類全般にいえますが、生まれたばかりは1回に飲める量が少ないのでこまめにあげていって、飲む量が増えてくると腹持ちが良くなってきて1日の授乳回数が減る…という感じです。お母さんからもらう場合は24時間いつでも飲めますが、我々はそこまでできないので、時間を決め、その中でできるだけ回数を多くしました」

初日はなんと1日9回もの授乳を行い、その後は朝8時半から夜8時半までの12時間の間に5回のミルクを与えていたそうです。さらに飼育員を悩ませたのは、「人工の乳首」への移行でした。

藤岡さん:「今回は生まれた直後はお母さんのおっぱいを飲んでいたので、母乳から人工のシリコンの乳首に変わったときに、飲んでもらえないことが不安でした」

藤岡さんによれば、途中から人工哺育に変わった場合に飲まなくなるということが、これまでほかの動物の人工哺育を経験する中であったといいます。人工のシリコンの乳首の大きさを調整し、また温度も体温に近づけるよう気を配ってなんとか飲んでもらうよう工夫したそうです。

藤岡さん:「シリコンの乳首の先を針みたいな穴で開けてみたり、カッターで十字に切ったり、本当にいろいろ試しました。私だけではなく多くのスタッフが関わって人工哺育を行いましたが、赤ちゃんの成長に合わせて穴のサイズも変えていくので、その辺りはだいぶ苦労したようです」

無事に離乳!見えてきた3頭のユニークな個性

スタッフの献身的なお世話により、赤ちゃんたちは5月23日から離乳食をスタート。現在はミルクを卒業し、馬肉などの固形物を自力で食べられるまでに成長しました。3頭(オス1頭、メス2頭)には、性別による違いというわけではなく、それぞれ生まれ持った「個体差」がはっきりと見え始めているといいます。

藤岡さん:「たまたまメスの2頭は哺乳するときにスフィンクスみたいな格好でミルクを飲んでいたのですが、オスの1頭は立ち上がりながら飲むなど、赤ちゃんのときからそれぞれの違いがありました。離乳食を食べ始めたときも、慣れてもらうために無理やり口にちょっと押し込むような形になるので初めは嫌がるのですが、オスの個体は手を出して嫌がるしぐさが見られた一方で、メスの2頭はあまり抵抗せず、そのうちの1頭はすぐにアムアム食べてくれました。ただ、自分で食べるようになったのはオスの個体が一番早かったですね」

嫌がりながらも一番早く自立したオスと、マイペースに受け入れるメスたち。3頭がそれぞれのペースで、力強く成長しているようです。

ライターコメント

お母さんの「ミレ」との突然の別れはとても悲しい出来事でしたが、遺された命のバトンをしっかりと受け取り、たくましく育っている3頭の赤ちゃん。哺乳瓶のシリコンの乳首の穴の開け方を工夫したり、ミルクの温度に気を配ったりと、スタッフの皆さんの途方もない努力に頭が下がります。それぞれの個性を光らせながらすくすく育つ3頭が、立派な大人のヤマネコになる日が今からとても楽しみです。

<ライタープロフィル>ゆんち

2004年に産経新聞社へ入社。静岡、仙台での事件取材を経て、東京社会部では厚生労働省を担当、派遣労働問題などの社会課題を深く掘り下げる。また、特異なキャリアとして法廷画家を兼務し、数多くの法廷画を手掛けてきた。その後、産経新聞社が発行していたタブロイド紙「SANKEI EX」にてブランド、旅、食をテーマとした執筆活動を展開。南アフリカやオーストラリアなど世界各国を取材で巡るほか、臨時特派員として南太平洋のキリバス共和国への駐在経験も持つ。J-WAVE「TOKYO MORNING RADIO」にて、週1回おすすめニュースを3年間にわたり担当。

現在は2児の母となり、これまでの取材経験に加え、教育、健康、ライフハックへと関心の幅を広げている。「趣味を仕事に!」をモットーとする自称「脱力系ライター」。釣り、温泉、グルメ、そして海を眺めてぼーっと過ごす時間を愛する旅人でもある。長年、酒と旅と釣りを友としてきたが、現在は期間限定で禁酒中。新商品から旅、ファッション、グルメまで、自身のアンテナに触れたトピックを独自の視点で発信している。

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