1. トップ
  2. スポーツ
  3. 【D.LEAGUE】リーグ唯一の女性チーム・Medical Concierge I'moonが快進撃。最下位から這い上がったFULLCAST RAISERZの歓喜…プロダンスNo.1決定戦「Dリーグ 25-26シーズン チャンピオンシップ」を振り返る

【D.LEAGUE】リーグ唯一の女性チーム・Medical Concierge I'moonが快進撃。最下位から這い上がったFULLCAST RAISERZの歓喜…プロダンスNo.1決定戦「Dリーグ 25-26シーズン チャンピオンシップ」を振り返る

  • 2026.6.8

TOYOTA ARENA TOKYOに熱狂が広がった。プロダンスリーグの年間王者を決める「第一生命 D.LEAGUE 25-26 CHAMPIONSHIP」には、レギュラーシーズンを勝ち抜いた上位6強が集結。シーズンの集大成を懸け、全力で踊り切るダンサーたちの姿に大歓声が沸き起こった。
頂上決戦は、リーグ唯一の女性チームであるMedical Concierge I'moonと、昨シーズン最下位から這い上がったFULLCAST RAISERZが激突。ダンスの醍醐味が凝縮された一夜を振り返る。

6強激突。開演直後のトラブルを乗り越えて大歓声に

プロダンスリーグ「D.LEAGUE」の年間優勝決定トーナメント「D.LEAGUE 25-26 CHAMPIONSHIP」(以下CS)が5月31日、TOYOTA ARENATOKYOで開催された。6季目を迎えたDリーグは、16チームが参戦し、昨秋からブロックHYPEとブロックVIBEの2ブロックに分かれて全8ラウンドのレギュラーシーズンを実施。大一番のこの日、各ブロックの上位3チームが集結して、頂点を争った。

18時の開演前に会場一帯が停電に見舞われた影響で、開演は1時間遅れとなった。それでもオープニングが始まると、アリーナの熱気は一気に最高潮へ。待ちわびたファンの歓声が響き渡り、スタンドには推しのチームカラーに染まったペンライトが揺れる光景も広がった。バトルMCのSWAYが「大きなトラブルを乗り越えたから、あとは楽しむだけだ!」とシャウトすると、いよいよ熱戦の幕が上がった。

CSで優勝するには最大3試合(以下マッチ)を勝ち抜かなければならない。まず準々決勝にあたるトライアルマッチには、両ブロックの2位と3位チームが登場した。

1stトライアルマッチでは、過去にリーグ優勝経験を持つKADOKAWA DREAMS(ブロックVIBE 3位)と、KOSÉ 8ROCKS(ブロックHYPE 2位)が激突。ヒップホップスタイルを軸にアクロバティックな技も織り交ぜたKADOKAWA DREAMSに対し、リーグ唯一のブレイキンチームであるKOSÉ8ROCKSは、コレオグラフィーやシンクロパフォーマンス、さらにエースパフォーマンスで上回り、57.5-42.5で初戦を突破した。

画像: KADOKAWA DREAMS ©D.LEAGUE25-26
画像1: KOSÉ 8ROCKS ©D.LEAGUE25-26

続く2ndトライアルマッチでは、初のCS出場を果たしたMedical Concierge I'moon(ブロックHYPE 3位)と、2年ぶりのCS出場となったDYM MESSENGERS(ブロックVIBE 2位)が対戦。
ちょうどこの日は“満月”。Medical Concierge I'moonは「FULL MOON LADY」をテーマに掲げ、グルーヴィーでしなやかさと力強さを兼ね備えたパフォーマンスを披露した。ヒップホップを得意とするDYM MESSENGERSに対し、シンクロパフォーマンスで圧倒するなど57.4-42.6で勝利。CS初出場でうれしい初白星を挙げた。

画像1: Medical Concierge I'moon ©D.LEAGUE25-26
画像: DYM MESSENGERS ©D.LEAGUE25-26

I'moonが王者CyberAgent Legitを破って決勝へ。RAISERZは“1.9”差で歓喜

そして、ブロック1位チームが登場する1st セミファイナルマッチでは、会場の熱気がさらに高まった。

まず登場したのは、昨シーズン最下位からの巻き返しを果たしたFULLCAS TRAISERZ(ブロックVIBE 1位)だ。KOSÉ 8ROCKSとの対戦では、クランプならではの力強さと疾走感あふれるパフォーマンスを披露。コレオグラフィーで圧倒したほか、会場や配信視聴によるジャッジポイントでも上回り、62.95-37.05で決勝進出を決めた。

画像: FULLCAST RAISERZ ©D.LEAGUE25-26
画像2: KOSÉ 8ROCKS ©D.LEAGUE25-26

一方、アリーナを大きくどよめかせたのが、Medical Concierge I'moon とCyberAgent Legit (ブロックHYPE 1位)による2nd セミファイナルマッチだった。昨シーズンの王者であり、レギュラーシーズン4連覇中のCyberAgent Legitに対し、I'moonは「三日月」をテーマに扇子を取り入れた和のテイストと、ジャズダンスをはじめとする多彩な表現で勝負。テクニックやシンクロパフォーマンスで高評価を獲得し、54.8-45.2で勝利を収めた。リーグ屈指の強豪を破り、初のファイナル進出を果たした瞬間だった。

画像: 初ファイナル進出を決めたMedical Concierge I'moon ©D.LEAGUE25-26
画像: CyberAgent Legit ©D.LEAGUE25-26

続いて行われたのは、今シーズンのCSから新設された3rd プレイスマッチ。敗戦直後のチーム同士による難しい一戦となったが、KOSÉ 8ROCKSとCyberAgent Legitは最後まで高いパフォーマンスを披露した。

エースパフォーマンスでは、リーグを代表するダンサー同士が激突。8BROCKSはパリ2024オリンピックに出場し、レギュラーシーズンのラウンド1でMVD(Most Valuable Dancer)を受賞したShigekix、Legitは昨シーズンのCSでMVDに選出されたTAKUMIがエースを務めた。

エースパフォーマンスではShigekixがポイントを獲得したものの、Legitはコレオグラフィーやスキル、シンクロパフォーマンスなどで上回り、57.9-42.1で3位の座を手にした。

画像: KOSÉ 8ROCKSのエースパフォーマーShigekix ©D.LEAGUE25-26
画像: CyberAgent LegitのエースパフォーマーTAKUMI ©D.LEAGUE25-26

そして迎えたファイナルマッチは、リーグ唯一の女性チームであるMedical Concierge I'moonと、クランプを武器とするFULLCAST RAISERZによる対照的な顔合わせとなった。

先行のI'moonは「スーパームーン」をテーマに、華やかさと躍動感あふれるパフォーマンスを展開。ロックダンス特有の激しい動きと静止を織り交ぜたシンクロパフォーマンスで会場を魅了した。

画像: MedicalConcierge I'moon ©D.LEAGUE25-26

対するRAISERZは後攻で登場し、「RAISE GOLD」をテーマにクランプの持つ圧倒的なパワフルなダンスを展開。終盤には開幕戦でも披露したタンクトップを引き裂くパフォーマンスも飛び出し、観客のボルテージを一気に引き上げた。

画像: FULLCASTRAISERZ

勝負は最後まで分からない大接戦となったが、結果は50.95-49.05。わずか1.9ポイント差でRAISERZが制し、悲願の初優勝を果たした。昨シーズン最下位からの下剋上を果たしたメンバーたちは、歓喜の輪のなかで栄光を分かちあった。

画像1: ©D.LEAGUE25-26

輝いたI'moon 。ライバルも「そろえる技術が抜群に高い」と称賛

プロダンスである以上、勝敗は避けられない。しかし、与えられた2分15秒の規定時間の中で、ダンサーたちがシーズンの集大成を懸けて全力を尽くしたパフォーマンスは、どれも甲乙つけがたいものばかりだった。会場を包んだ熱狂も相まって、観る者の感情を揺さぶる瞬間が次々と生まれた。

そんなCSで特に印象を残したのが、Medical Concierge I'moonだ。リーグ参入6年目で初のCS出場を果たすと、3つの作品でアリーナを魅了。大会前には神田勘太朗COOから「今大会最大のダークホース」と評されていたが、その期待を上回る快進撃を見せた。DYM MESSENGERS、そして4連覇中の王者・CyberAgent Legitを破った戦いは、25-26シーズンを象徴する名場面のひとつとなった。

レギュラーシーズンで2度のMVDに輝いたMEMEは、トライアルマッチとセミファイナルマッチで2試合連続のエースパフォーマンスを担当し、チームをファイナルマッチ進出へ導いた。

画像: MVDに輝いたMedical Concierge I'moon MEMEのACEパフォーマンス ©D.LEAGUE25-26

さらに、8人が織りなすワッキング、ロッキン、ハウス、ジャズなど多彩なダンススタイルも大きな武器だった。なかでもシンクロパフォーマンスでは3試合すべてで相手を上回り、高い完成度を示した。

画像2: Medical Concierge I'moon ©D.LEAGUE25-26

決勝で対戦したRAISERZのディレクター・KTRも、その実力を高く評価する。

「綺麗というか、女性ならではの色気もあると思いますが、そろえる技術がすごく高い。個が集結して、強いイメージがすごくあります」
ライバルからも称賛を集めたI'moon。チームスローガンである「挑戦って、美しい」を、CSの舞台で見事に体現した。

画像3: Medical Concierge I'moon ©D.LEAGUE25-26

RAISERZが明かす、他のプロスポーツと違うDリーガーの生き方

そんな快進撃を見せたI'moonに競り勝ち、初優勝に輝いたFULLCAST RAISERZ。昨シーズンは14チーム中14位の最下位という苦境に沈んだが、そこから一気に頂点へ駆け上がった。肉体派舞闘集団が魅せるクランプは、エナジー全開のショーケースそのもの。思えば、開幕戦を制した作品のテーマは「GONG(ゴング)」だった。まさに優勝という鐘を鳴らしてみせたのである。

画像2: ©D.LEAGUE25-26

記者会見で、KTRは喜びを語った。

「今シーズン、昨シーズンのビリから優勝を獲ると決めて、本当に獲れたことをうれしく思います。今となっては、僕たちのストーリーが出来上がっていたなという思いで戦っていました。応援してくれたファンの皆さま、スタッフの皆さま、RAISERZに関わる皆さまに感謝しています」

そんなRAISERZの優勝劇の裏には何があったのか。クランプというスタイルを貫く中で彼らを成長させたのは、一人ひとりがダンスに向き合う中で生まれた強い結束力だった。記者会見では終始、互いをいじり合いながら笑顔を見せるなど、チームの良好な関係性が伝わってきた。

メンバーの一人、TINY TWIGGZは記者からの質問にこう答えている。

「みんなで毎朝一緒にストレッチして、筋トレして、作品を作って。試合が終わったら全員で研究する。みんなですべてをやったのが、ひとつになれた要因」

また、その「こだわり」の強さも優勝の原動力になった。多くのプロスポーツでは、最下位に沈めば翌シーズンに向けて戦力の入れ替えや戦術変更が行われる。しかし彼らは、Dリーグの審査基準を研究しながらも、クランプというスタイルを貫き通した。初年度から在籍するメンバーとは、すでに6年近い時間をともに過ごしているという。

リーダーのINFINITY TWIGGZは優勝決定直後、涙を流しながらステージでこう語った。

「あなたがそのものに全力で、そのことに向かって愛があるなら絶対に諦めないでください。必ず結果はついてきます。それを僕らが証明しました」

その言葉には、優勝チームのリーダーとしての重みと説得力があった。

画像: FULLCAST RAISERZ INFINITY TWIGGZ ©D.LEAGUE25-26

そして彼は、社会人からDリーガーになった男でもある。ステージ上では「Dリーガーという生き方を全体の模範となるようにこれからもレイザーズはやっていきたい」と語っていた。その“生き方”とは何なのか。記者会見でINFINITYTWIGGZとKTRに尋ねてみると、プロダンスリーグの未来を切り開こうとする強い思いが返ってきた。

「ダンスは表現の世界なんですけど、それを点数化するというDリーグにスポーツ味を感じるというか、そのはざまで生きているのがDリーガーだと思っています。僕らは表現者であり、アスリート。ほかの(JリーガーやBリーガーといった)リーガーには無いところです。僕たちは特別なメンバーだと強く思っていて、Dリーグとしてダンスをたくさんの人へ届けるために、ダンスに向き合っています。アスリートとして、表現者として、俺らがDリーグに本気じゃなかったら、その素晴らしさは世に伝わらない。本気度を届けていけたら、そこに熱は生まれると思います」(INFINITY TWIGGZ)

続けてKTRも、Dリーグが子どもたちの憧れになる未来を思い描いた。

「シンプルに子どもたちがDリーガーになりたいと言ってほしいです。野球やサッカーも何百年という歴史があっての、いまの立ち位置だと思うので、ダンスもまだまだ時間はかかるとは思うんですよ。でも、僕たちが背中を見せ続けていくことによって、次世代につないでいきたい。KTRさんみたいになりたい。誰々になりたい。(Dリーガーが)そんな夢のひとつになれるように、すごく誇りに思って、いまDリーガーとして生きています」(KTR)

アンカー・ジャパンらが参戦。来季は最多となる20チーム体制で10月6日開幕!

そんなFULLCAST RAISERZの初優勝で幕を閉じた「D.LEAGUE 25-26」。しかし、敗れたチームもまた、観る者の感情を揺さぶる作品を届けてくれた。

CyberAgent LegitのTAKUMIが3rdプレイスマッチ後にCSを「本当に残酷な日」と表現しながらも、こう語っている。

「僕らのやってきたもの、全チームが素晴らしいパフォーマンスをして本当に!いい日だなと心から思います」

まさに、その言葉通りだった。勝負の厳しさと醍醐味を味わえるだけでなく、各チームが優勝を目指して磨き上げてきた最高峰のダンスを一度に体感できる。それこそが、CSならではの魅力と言えるだろう。

そしてDリーグは、束の間のオフシーズンを経て26-27シーズンへ向かう。開幕は10月6日。ブロックHYPEのラウンド1が同日、ブロックVIBEのラウンド1が翌7日にTOYOTA ARENATOKYOで開催される。

来季は4チーム増の20チーム体制となり、リーグはさらなる拡大期へ突入する。BREXA EDGE(運営:BREXA Holdings)や、初の大阪・関西拠点チーム・ONODERA USER RUNBULLS(運営:株式会社ONODERA USERRUN)らが新たに参戦。さらに、LIFULL ALT-RHYTHMは、LIFULLのオーナー企業契約終了に伴いリーグを離れるものの、アンカー・ジャパンがチームオーナーとして参画し、チームを継承。新たに「Anker XEED」としてスタートを切る。

史上最大規模となる20チームで迎える7季目。表現者たちが勝負の世界でしのぎを削り、その先にダンスの魅力と価値を広げていく。

スポーツとして、そしてカルチャーとしてーー。D.LEAGUE の挑戦は、まだまだ続いていく。

画像3: ©D.LEAGUE25-26

文=大橋裕之
写真=D.LEAGUE

元記事で読む
の記事をもっとみる