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【スマホ漬けの子どもも夢中に⁉】『プロフェッショナルズ』は、親子でツッコミながら読む新感覚“空想”絵本だった【書評】

  • 2026.6.8
プロフェッショナルズ ~プロフェッショナルで勝手に空想タイム~ たなかひかる / 白泉社
プロフェッショナルズ ~プロフェッショナルで勝手に空想タイム~ たなかひかる / 白泉社

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小学生くらいになると、本よりスマホや動画に夢中……。そんな悩みを抱える親は多いのではないだろうか。たまにはスマホから子どもの意識を引きはがして、一緒に絵本を読みたい! そんな時にぴったりなのが、ギャグ漫画や“頭は良くならない絵本”シリーズで人気を集めるたなかひかるによる新刊『プロフェッショナルズ ~プロフェッショナルで勝手に空想タイム~』(白泉社)だ。

『プロフェッショナルズ』を“ギャグ好き”の小学生の息子と一緒に読んでみた。ページをめくるたびに「いや、なんで!?」とツッコミが止まらない。本作は、“読む”というより、親子でツッコミながら読む新感覚絵本だった!

シュールな絵がクセになる! ありえない空想に小学生のツッコミが飛ぶ!

本作では、作者が以前から興味を持っていた「プロフェッショナルな人たち」が題材になっている。世の中では何事にも「コツ」というものがあり、正しいとされる型や動きがある。たとえば、ボウリングのプロ=プロボウラーでいえば、足を前後に大きく開いて「しゅっしゅっ」とボウルを投げる時のあの動きだ。この本では、そんなふうに、プロフェッショナルたちがその道において極めた特有のポーズや動きがネタ元になっている。

プロボウラーのあの「しゅっしゅっ」の動き。そこから作者が思いついたのは、湖や池などでよく見かけるボートに付属されたオールだ。プロボウラーたちはとにかく腕を「しゅっしゅっ」と前後に動かす仕草を極めているため、オールではなく腕そのもので水を掻けば、ボートの推進力が上がるだろう…という作者の空想である。

コマの中には3人のプロボウラーがボートの上に乗せられ、「ばしゃばしゃ」と水を掻いている。右利きばかりだとボートがぐるぐる回るだけだから、左利きのプロボウラーも同じ人数乗せるといい、というアドバイス(!?)まで載っている。

息子はというと、「……」。ポカーンという顔で本を眺めていた。「この人たち何やってんの」とでも言いたげである。しかし、このエピソードはまだ序盤。これから作者の空想はさらにエスカレートしていく。

息子が叫ぶ! 作者は小学生と同等の視点に立ってくれている…のか!?

「球審」とは、野球の中継でだいたいホームベースのそばにいてピッチャーの投球を判定している人のことをいう。野球を観たことがある人なら「ああ、両手を広げて“セーフ”とか“アウト”とか叫んでいる人ね」と彼らの姿がすぐに思い浮かぶはずだ。

作者はこの、然るべき時がやってくる度に「セーフ」や「アウト」と叫ぶ、あの一連の動きと声に注目したようだ。そして捻り出したのが、球審を“なんらかの方法”で小さくし、ハト時計のハトの代わりに時計に設置するという空想。そうすると、球審が、正時になる度に時刻の回数だけ「セーフ(またはアウト)」と元気いっぱい叫び、持ち主に時間を知らせてくれるというのだ。

“なんらかの方法”で小さくする時に必ず本人の了承を得よう、という注意点まで書かれていた。いやいや、そもそも球審を小さくしてハト時計に取り付ける時点でだいぶ突飛なことをしているんだから、何に対して気を遣っているのかよく分からない!

息子はこの「なんらかの方法で小さくする」に反応。「ジョジョのスタンドで小さくできる能力があるよ」と某有名漫画を引き合いに出し、小さくするタイミングで能力の名前を叫んでいた。作者は小学生と同等の視点に立ってくれている…のか!?

もう一つ紹介するのは、指揮者をピックアップした空想だ。指揮者は大勢のオーケストラや合唱をまとめるためにタクトを振っている。側から見る立場としては、いつどんなタイミングでテンポが変わるのかよく分からないが、タクトをなかなかいい勢いで振っていることだけは分かる。

作者はこの動きを利用して、またもや有り得ないねこのおもちゃを空想の中で開発していた。いやいや、ねこちゃんが夢中で追い回すだけでなく、肉食動物が小さな生き物を狙うような目で獲物扱いされているし…!

息子もやはり「危ないって!」とか「普通に遊んだほうがいいって!」などと呟いている。さらに、そろそろ作者の空想がとんでもないことに気づいてきたようで、後に続くページでも「いや、そんなものいらんだろ!」「なんでそれする?」などと半ば呆れながらのツッコミの嵐。なので、私が「じゃあ後半はまた明日読む?」と声を掛けると、「もっと読んで」と返してきた。

……それはつまり、ハマっているよね?

スマホ漬けの現代っ子たちにも贈りたい大いなるボケ

この本……振り切っている。

たしかに、その道特有の動きをするプロフェッショナルたちを別の場所に連れていったら、クスッと笑いを誘う場面もあるかもしれない。そこから始まった空想が如何にくだらないのかを(※褒め言葉です)読む者にここまでストレートに伝えられるのは、抜群の表現力と画力があってのことだ。

(「読書のみなさまへ」より)

コイツまたアホなこと考えてるなぁ…そう思いながら楽しんでいただけると幸いです。

※この作品はあくまでたなかひかるの空想であり、特定のプロフェッショナルの方々を揶揄するものではございません。ご了承ください。

これは本の最初に書かれた挨拶文である。おそらく、というか、かなりの割合で、作者はこの本で「ボケ」をかましているのだ。作者の既刊本では、いつも予想外の行動に出てくる猫や、なんで白くて丸いのかよく分からないお化けなど、誰もが持っていそうな“イメージ”がモチーフになっている。それと同じように、本書では、その道を極めた人といえばこういうポーズを取っている…と誰もが思い浮かべるようなプロフェッショナルの行動が題材となり、大いなるボケがかまされているのだ。だからこそ私たち親子は、最上級のツッコミを入れるつもりでこの言葉を贈りたい。「この本に描かれた空想はまったく頭が良くならないし、これらのアイデアが世の中の役に立つこともないだろう」と。

だけど絵本を読みながら空想してしまう。空想したくなる。もしかしたら、デジタルネイティブの思考力低下によって「やりたいことが見つからない」という悩みが叫ばれる昨今、この絵本の「脳内に湧き上がるものをとことん貫く姿勢」から現代っ子が学べるものはあるのかもしれない!……いや、やっぱり本書はツッコミを入れながら楽しむのがいちばん⁉ スマホ漬けになっている子どもをたまにはひっぺがし、この本でいっしょに笑ってみませんか?

文=吉田あき

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