1. トップ
  2. 妻のブログを馬鹿にしていた僕。書籍化を告げる妻の声に、返す言葉が見つからなかった話

妻のブログを馬鹿にしていた僕。書籍化を告げる妻の声に、返す言葉が見つからなかった話

  • 2026.5.31
ハウコレ

妻が始めたブログを、軽い気持ちで笑い続けていた僕。数年後のある夕食後、画面に映っていた一通のメールが、自分の言葉がどれほど浅かったかを思い知らせてくれました。

最初は微笑ましく見ていたはずでした

妻が数年前にブログを始めたとき、最初は応援していたつもりでした。子育てが落ち着いて、自分の時間を持つきっかけになれば良いと思っていたのです。

書かれているのは献立や節約のことで、内容は本当に他愛のないものでした。けれど続くうちに、妻が夕食後の1時間を必ず机に向ける姿が、なぜか落ち着かなく感じるようになっていきました。

妻だけが家の外側に何か繋がりを作っている気がして、自分はそこに入れない感覚がありました。今思えば、ただの嫉妬だったのだと思います。

「誰も読んでないよ」と言ったあの夜

ある夕食の時、テレビを見ながら何気なく口にしてしまいました。

「ブログなんて誰も読んでないよ」

妻が答えないので、もう一言。「誰も読んでないのに何が楽しいの」妻は手を止めずに「楽しいよ」とだけ答えました。

娘が僕と妻の顔を見比べていました。あの時の娘の表情が、後になって何度も思い出されました。妻は何も言い返さず、その夜もいつも通り机に向かいました。

僕はリビングのソファでテレビを観ながら、なぜか気まずさだけが残って、しばらくチャンネルを変えられませんでした。

画面に映っていた一通のメール

それから1年ほど経った夕食後、妻がスマートフォンを持ってきました。「これ、見て」と画面を差し出されたのです。表示されていたのは出版社からのメールでした。

「来月、本になるって」とだけ妻が言いました。僕はようやく「……すごいな」と返したきり、それ以上、何も言葉が出てきませんでした。

そして...

あの夜、妻が寝た後、僕はリビングで1人になりました。妻の数年間を、僕はずっと「誰も読まない時間」だと笑ってきました。けれど読んでくれていた人は確かにいて、その読者の中に、僕はずっと入っていなかったのです。

自分の浅さが情けなくて、しばらく天井を見上げていました。妻は僕に見返してほしかったわけではないはずです。ただ、自分の時間を、自分の言葉で積み重ねていただけでした。それを笑っていたのは、ずっと家にいる妻が遠くへ行く気がして怖かった、僕の方だったのだと思います。

翌朝、いつもより早く起きて、僕はゆっくりと、妻のブログを最初の記事から読み直し始めました。

(40代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
次の記事
の記事をもっとみる