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大噴火で壊滅した山に「ホリネズミ」をたった1日放ったら…? 40年後に起きた驚くべき「自然の治癒力」

  • 2026.5.24

1980年代初頭、科学者たちは火山の噴火現場にホリネズミを数匹放った。ひどい話に聞こえるかもしれないけれど、そんなことはないらしい。

米カリフォルニア大学の報告書によると、このホリネズミと火山の出会いは、それから43年経ったいまでも生態系に良い影響を与えている。

全ての始まりは1980年5月に起きたセント・ヘレンズ山の噴火。この北米史上最も破壊的な火山災害は57名の命を奪い、生態系に甚大な被害をもたらした。地域環境の回復に相当長い時間がかかると踏んだ科学者たちは、そのプロセスを少しでも早めるために型破りな方法に目を向けた。それが「ホリネズミを放り込む」という常識外れな方法だった。これは冗談でも何でもない。

カリフォルニア大学の報告書によると、科学者たちは「ホリネズミが有益な細菌類を掘り起こせば、山で失われた植物と動物の再生が促進されるかもしれない」と考えた。そして、セント・ヘレンズ山の噴火から3年後の1983年5月、科学者たちは数匹のホリネズミを噴火現場へ連れて行き、1日だけ自由に行動させてみた。

カリフォルニア大学リバーサイド校の微生物学者マイケル・アレン氏は、「ホリネズミは害獣と言われていますが、ホリネズミが古い土壌を地表に運び出してくれれば、それが生態系の回復の基盤になると思いました」と説明する。

ホリネズミが放たれる前、噴火による軽石が積もった地表に生えた植物は、わずか十数種類ほどだった。しかし、ホリネズミを1日だけ放った2つの区画には、6年で「4万本の植物が生い茂った」というからすごい。一方、ホリネズミが放たれなかった周辺のエリアは、依然として不毛のままだった。

たった1日のホリネズミの活動が数十年後の今日にまで影響を及ぼすなんて、当時は誰も思わなかった。しかし、科学ジャーナル『Frontiers』掲載の論文によると、これは紛れもない事実。あれから40年経ってもなお、ホリネズミを放った区画では、微生物群(特に菌根菌)が木々の成長を支え続けている。

この論文の共著者エマ・アロンソン氏によると、この菌類は非常に重要。「これらの木々には、針状の落ち葉から栄養を吸収し、急速な木の再生を促す菌根菌が住んでいます。一部の場所では、この木々が瞬く間に再生しました。全ての植物が死滅したわけではなかったのです」

この論文から得られる重要な教訓の1つは、米コネチカット大学の菌類学者ミア・マルツ氏の言葉にまとめられている。「自然界では、あらゆるものが相互依存関係にあることを無視してはいけません。菌類のように、目に目えないものたちの存在は特にです」

そして、状況が絶望的に思えるときは、試しにホリネズミを何匹か放ってみるのもいいかもしれない。



※この記事は『Popular Mechanism』からの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。

Text: Michael Natale Translation: Ai Igamoto

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