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【酒は好きなのに日本酒からだけ逃げてきた】 御茶ノ水「名酒センター」で150種類の中から3杯ずつ選んで気づいた、お酒好きの正しい入り口

  • 2026.5.23

お酒は、好きなんです。ビールも飲むし、ハイボールもワインもクラフトも一通り嗜(たしな)みます。藤沢出身のPRパーソンとして、仕事終わりの一杯はわりと大事にしているタイプです。

なのに……日本酒だけ、なぜか今まで本気で向き合ってきませんでした。居酒屋で頼んでも「冷やで」しか言えないし、純米とか吟醸の違いも、なんとなく理解することを避けたまま今日まで来てしまったのです。お酒は好きなのに、日本酒からだけ“逃げていた”、そういう“日本酒なんとなく勢”です。

そして、逃げてきたのは僕だけじゃないかもしれません。日本酒(清酒)の国内出荷量は1973年度の176.6万klをピークに、2020年度は約41.4万klと4分の1以下まで落ち込んでいます(国税庁「酒のしおり」より/日経)。

ただ、面白いのは、その中で純米酒・純米吟醸酒だけは伸びていて、全体に占める割合が4%から23%まで拡大していること(日経クロストレンドより)。「量で流し込む酒」から「選んで味わう酒」へ、中身が完全に入れ替わっているのです。お酒好きとして、これは向き合っておかないと損なのでは?

そう思って、御茶ノ水・神田明神のすぐそばにある 「名酒センター 御茶ノ水店」 に行ってきました。

150種類から「3杯ずつ」選べる、日本酒テーマパーク

名酒センターは、日本唯一の日本酒専門誌『月刊ビミー』の発行元が運営するアンテナショップ兼角打ち。全国の酒蔵から集めた150種類以上を、1杯単位(45ml)で試せます。

しかも3種類を選ぶと飲み比べセットになって100円引きとなり、買って帰ることもできます。

初心者にとって、この「3杯ずつ」が神システムでした。1本頼んで「うーん……」となるのが日本酒の怖いところですが、ここは外れても45ml。隣に違う系統の日本酒が2杯あるので、舌が比較してくれます。

セット①|入り口の3杯:のぱ/願人/竹林爽風

最初は、好奇心で選んだ3杯。

のぱ -Memories of NOPA- は、最初の一杯から、ちょっと自由で面白い。甘酸っぱさがあって、日本酒なのにどこかナチュラルワインっぽい雰囲気も感じる一本。「日本酒ってこういう方向もあるんだ」と思わせてくれる、クセになるタイプ。

願人 はラベルの雰囲気どおり、落ち着いてじっくり飲みたい一本。派手に香るというより、米の旨みがじんわり広がる感じで、飲むほどに沁みます。焼き魚やだし系のおつまみと合わせたくなる、しみじみ系のうまさ。

竹林爽風は名前の通り、すっきり爽やか。飲み口が軽やかで重たさがないのでかなり飲みやすい。刺身や冷菜と合わせて、さらっと楽しみたくなる一本。

1セット目の発見:同じ「日本酒」なのに、3杯が完全に別の飲み物。「自由」「しみじみ」「爽やか」と、3杯で語彙が3つ増える感覚。

セット②|旨み・個性派の3杯:美寿々/黒牛/とんでもねぇ

味の輪郭が掴めてきたので、2セット目はちょっと攻めて、ラベルからして気になった「とんでもねぇ」を追加してみました。

美寿々 はやさしい甘みと、ふわっとした華やかさが印象的。口当たりが柔らかくて飲み疲れしにくいのがいい。派手すぎないのにちゃんと印象に残る、バランスのいい一本。

黒牛 は安心感のある王道タイプ。米の旨みをしっかり楽しめて、料理と合わせたときの安定感が強い。焼き鳥、煮魚、ちょっと甘辛い味のつまみあたりと合わせたらかなり良さそう。

とんでもねぇ は名前がまず強い。でも飲んでみると、意外とまじめにちゃんと美味しい。旨みとキレのバランスがよくて、ネーミングの勢いだけじゃない実力派という感じ。

セット③|華やか・じんわり系の3杯:氵/金鳳/弥栄鶴

「氵」があまりに気になって、3セット目に追加。隣に対照的な2杯を並べる構成に。

は改めて見ても、やっぱりラベルのインパクトが強いです。飲み比べの流れの中でも「これは気になる」と自然に手が伸びる存在。見た目の特別感と味わいの印象がちゃんとつながる、記憶に残る一本。

金鳳 はまろやかで、じんわり旨い。派手に主張するタイプではないけれど、ゆっくり飲むほどに良さが出てくる。落ち着いた会話をしながら、ちびちび楽しみたくなる一本。

弥栄鶴 純米大吟醸 は華やかで、きれい。純米大吟醸らしい上品さがあって、一口ごとにちょっと気分が上がる。飲み比べの中でも「これはちゃんと覚えておきたい」と思える一本。

セット④|〆の3杯:千徳/九尾/越乃寒梅 Lagoon

最後は「これは試しておかないと」と思った3杯。

千徳(宮崎の純米酒) はやさしい旨みと、すっきりした後味が心地いい。派手さはないけれど、食事に自然と寄り添ってくれるタイプ。こういう一本があると、飲み比べ全体がちょっと落ち着く。

九尾 は華やかさとフレッシュ感がしっかりある一本。飲んだ瞬間に「これは好きな人が多そう」と思える、わかりやすい魅力がある。主役感もあって、飲み比べの中でも存在感はかなり強め。

越乃寒梅 Lagoon は今回の中でもかなり今っぽい一本。そのままでも旨みがしっかりあるし、様々な飲み方でも楽しめそうな自由さが面白い。「日本酒ってもっとカジュアルでいいんだな」と思わせてくれるタイプ。

お酒好きが13杯飲み比べて掴んだ、日本酒の楽しみ方

今回の飲み比べ、正直かなり楽しかったです。黒牛・願人のような王道の食中酒があり、弥栄鶴・九尾のような華やかな純米大吟醸もあり、金鳳・千徳のようにじんわり旨い落ち着き系もある。そこに、のぱ・とんでもねぇ・氵・Lagoonのような、名前も見た目も「ちょっと待って、それ何?」と言いたくなる個性派まで揃っており、もうテーブルの上がだいぶにぎやかでした。

一杯ずつ飲んでいくと、自然と「これはすっきりしてる」「こっちは旨み強い」「これは絶対料理と合わせたい」「名前がもう勝っている」のような感想が出てきます。

難しい言葉を知らなくても、飲めばちゃんと違いが分かるし、違いが分かると楽しい。気づいたら、グラスを片手にずっと同伴者と日本酒の話をしていました。

日本酒好きはもちろん、「詳しくないけど、ちょっと飲み比べてみたい」くらいの人にもぴったりな場所だと思います。というか、むしろそういう人にこそ行ってほしいです。

出荷量が4分の1になっても、なお純米系が伸びている理由が、帰り道にちょっとだけ分かった気がしました。

日本酒って、たぶん“難しいお酒”じゃないです。最初にどこで、誰と、どんな一杯に出会うか。そこがすごく大事なのだと思います。……まあ、その答えにたどり着いた頃には、だいぶいい感じに酔っていました。

名酒センター 御茶ノ水店
東京都文京区湯島1-2-12 ライオンズプラザお茶の水1F
/JR御茶ノ水駅 聖橋口・東京メトロ新御茶ノ水駅 B1出口より徒歩5分/
火〜木・日 12:00〜20:30、金土 12:00〜22:00(L.O.各30分前)/月曜定休(祝日の場合翌火曜)
HP: https://nihonshu.com/ochanomizu/

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