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「それ、前に頼んだよね?」口頭丸投げで責任転嫁…私が仕組みで黙らせた話

  • 2026.5.17
SHUFUFU

月末が近づくと、事務の私のところには「急ぎ」の案件が一気に増えます。30代になってからは、早く処理するだけでなく、抜け漏れを減らす段取りのほうが大事だと痛感しています。

そんな私が一番困るのが、営業の先輩からの「口頭だけ」の依頼でした。メモは取れても、依頼内容と完了連絡が形に残らないと、言った言わないに発展しやすいからです。

口頭依頼の違和感

その日も夕方17時過ぎ、先輩が私の席に来て「この見積、今日中に数字だけ差し替えておいて」と早口で言いました。提出は翌朝9時で、取引先への送付は先輩が担当する流れでした。

私は請求書チェックの手を止め、付せんに「案件名・期限・差し替え箇所」だけを走り書きしました。本当は元データの場所や、どの版を最新として扱うかまで確認したかったのですが、先輩は外出準備でせわしく、質問を挟む間もなく「助かる、じゃよろしく」と席を離れていきました。

いつもなら、依頼内容の確認をチャットで送り、作業が終わったら「共有フォルダのリンク」を返すのが暗黙のルールでした。ところが以前、別件で確認を送ったときに「細かい確認ばかりで遅い」と言われたことがあり、その日は私も手一杯で、つい完了連絡まで後回しにしてしまいました。

「前に頼んだ」で詰む瞬間

私は残業して21時前に差し替えを終え、共有フォルダの「見積・提出用」へ最新版を保存しました。先輩が翌朝すぐ送れるように、フォルダの場所も付せんに書いて先輩のデスクに置きましたが、チャットでリンクを送るところまでできませんでした。

ところが翌朝、社内がざわつきました。先輩が取引先に送った見積の数字が古いままだったそうです。原因は、先輩が前日から作っていたメールの下書きに、旧版の見積が添付されたままだったことでした。さらに厄介なのは、旧版と新版のファイル名がほぼ同じで、添付し直したかどうかが見た目で分かりにくかった点でした。

先輩は私のところへ来て、周りにも聞こえる声量で言いました。「差し替えたって言うけど、完了連絡来てないよね?」

私は「昨夜、フォルダに最新版を入れました」と答えましたが、先輩は「じゃあ、私に送ったって証拠ある?」と重ねました。社内では通常、完了したらチャットでリンクを送るため、送信履歴があるかどうかがそのまま“やった証拠”として扱われがちでした。

そして、決めつけるようにこう言われました。
「それ、前に頼んだよね?」

胸が熱くなりました。更新履歴を見れば私が保存した時刻は残りますが、「先輩がそれを見たか」「どのファイルを送ったか」までは証明できません。ここで言い返しても空気が悪くなるだけだと思い、私はいったん飲み込みました。

上長同席でチケット化を提案

昼休み、私は上長に10分だけ時間をもらいました。持っていったのは、前夜に念のため撮っておいた付せんの写真、共有フォルダの更新履歴、そして「口頭依頼が続くと優先順位と責任が曖昧になる」というメモでした。

上長は「履歴はあるけど、完了連絡がないと揉めるね」と整理してくれました。私はそこで、依頼を社内の簡易チケットに統一し、期限・担当・添付ファイル(またはリンク)を必須にする案を提案しました。作成が面倒だと続かないので、テンプレを用意して30秒で起票できる形にするつもりだとも伝えました。

その日の15時、上長同席で先輩と短い打ち合わせをしました。私は感情ではなく事実ベースで、「口頭だけだと追跡できず、完了連絡の有無で揉めます。今後はチケットでお願いします」と伝えました。上長も「営業も事務も守るために、依頼の入口を揃えましょう」と補足し、先輩も渋々ながら了承しました。

記録が残ると空気が変わる

運用を始めて1週間で、依頼の空気が変わりました。急ぎ案件でもチケットが立ち、依頼内容が曖昧ならコメント欄で確認できます。優先順位も一覧で見えるので、「今はこのチケット対応中です」と説明しやすくなりました。

何より大きかったのは、「頼んだよね?」が通りにくくなったことでした。チケットに依頼内容と期限が残り、完了時にはリンク付きで返信が残ります。誰が何を見落としたのかも、感情ではなく記録で確認できます。

人の性格や勢いに左右されやすい場面ほど、仕組みが味方になります。記録は誰かを責めるためではなく、自分の仕事と時間を守るための壁になります。あの日のモヤモヤは、運用を整えたことでようやくスッキリしました。

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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