1. トップ
  2. エピソード
  3. 「カードが使えなくて…現金もなくて」初デートのレストランで慌てる男性→全額支払って店に置き去りにした瞬間

「カードが使えなくて…現金もなくて」初デートのレストランで慌てる男性→全額支払って店に置き去りにした瞬間

  • 2026.5.10
「カードが使えなくて…現金もなくて」初デートのレストランで慌てる男性→全額支払って店に置き去りにした瞬間

テーブル越しに見えた素

マッチングアプリで知り合った男性との初デートは、街中のイタリアンでのランチだった。プロフィールでは穏やかで誠実そうな印象。実際に向かい合うと、確かに話し方は柔らかかった。

けれど、料理が運ばれてきた瞬間から、私は小さな違和感を拾い続けることになる。

使い終えたフォークをテーブルクロスに直接置く。ナイフの背で皿の上を強く叩く。スープを飲み干したあと、皿の縁を指でぬぐう。

パスタを巻く動作は乱雑で、ソースが胸元に飛んでも気にする様子がない。一つひとつは決定的ではないけれど、合わさると無視できない違和感になっていく。

(育ちというより、人前でのふるまいに気を配ったことがないのかもしれない)

そう思いながら、私は会話に集中するふりを続けた。彼はやたらと自分の仕事の話をしたがり、こちらの相づちが間に合わなくても気にせず話し続ける。話の中身は悪くないのに、聞いている側の負担を考える視点だけがすっぽり抜けていた。

会計でめくれた本性

食事が終わり、お会計の段になった。「ここは僕が」と言って財布から取り出したカードを、彼はレジの前で何度もスライドさせた。店員さんも端末を変えて試してくれたけれど、結果は同じ。

「カードが使えなくて…現金もなくて」

声が小さく上ずっていた。財布の中をのぞき込み、ポケットを探り、リュックの中までひっくり返している。だが千円札一枚出てこない。後ろには会計待ちの列ができはじめ、店員さんも明らかに困り始めていた。

「あの…ちょっと、立て替えてもらってもいい?あとで必ず返すから」

困り顔でこちらを見上げる彼の目に、申し訳なさよりも甘えのほうが強くにじんでいるのが見えた。初対面で、しかも自分から「ここは僕が」と言った人間が見せていい表情ではないと思った。

扉を開けた瞬間

私は黙って財布を出し、二人分の伝票をそのまま支払った。レシートを受け取りながら、彼に向かってひと言だけ告げる。

「マナー以前に、大人として準備が足りなさすぎます」

「一緒に出ていくのは、私のほうが疲れるので」

呆然とした顔の彼を席に残し、私はそのままドアを開けて表通りへ出た。春の風が頬をすっと通り抜ける。背中越しに小さく声が聞こえた気もしたが、振り返らなかった。歩道を一歩踏み出すごとに、二時間分の違和感がほどけていくのがわかる。歩き出した瞬間の解放感は、今でも忘れられない。最高にスカッとした、午後一時の出来事だった。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる