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妊婦キャバ嬢の絶望、借金研究者の焦燥——闇バイトで交錯する女たち『マジカル・シークレット・ツアー』

  • 2026.4.30
妊婦キャバ嬢の絶望、借金研究者の焦燥——闇バイトで交錯する女たち『マジカル・シークレット・ツアー』
(C)2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

貧困、借金、家庭崩壊を抱えた人生が、“金の密輸”をきっかけにシンガポールでつながる

有村架純を主演に迎え、実話に着想を得た金密輸事件を描く映画『マジカル・シークレット・ツアー』より、有村の闇バイト仲間を演じる黒木華と南沙良のキャラクターが光る場面写真が解禁された。

本作は、2017年に中部国際空港で主婦たちが金の密輸で逮捕されたという実際の事件に着想を得たオリジナル作品だ。夫の横領と借金を突然知った2児の母、借金を抱えた研究者、そして貯金ゼロの未婚の妊婦――。犯罪とは無縁そうに見える3人が偶然出会い、金の密輸を通して仲間としての絆を深めていく。

メガホンを取ったのは、今もっとも期待がかかる監督・天野千尋。『ミセス・ノイズィ』(20年)で日本映画批評家大賞を受賞して注目を浴び、『ヒヤマケンタロウの妊娠』(22年)や『佐藤さんと佐藤さん』(24年)などの話題作を世に送り出してきた彼女が、シンガポールで大掛かりなロケを敢行。金密輸をめぐる魔法のようにきらびやかな旅路を、本場の空気そのままにスクリーンに投影する。

有村演じる主人公・和歌子が、「金の密輸」という闇バイトのために渡ったシンガポールで出会うのは、借金600万円を抱える非正規雇用の研究員・清恵。演じるのは、『小さいおうち』(14年)で第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞し、『アイミタガイ』(24年)、NHK大河ドラマ『光る君へ』など話題作への出演が続く実力派俳優・黒木華だ。現在放送中のカンテレ・フジテレビ系ドラマ『銀河の一票』(毎週月曜22時)でも確かな存在感を放ち、作品ごとに異なる顔を見せてきた。

黒木が演じる清恵は、600万円という多額の借金を抱えながら、任期付きのポストにしがみつく大学研究室の中堅研究員。成果を出さなければ切り捨てられる世界で、教授とも反りが合わず、うだつの上がらない日々を過ごしている。そんな中、後輩の椎名(青木柚)が若手研究者として表彰される姿を目の当たりにし、研究者としての自分に限界を感じ始める。

そんな清恵の心を支えるのは、韓流グループ「NEON」への“推し活”。研究室では理知的で落ち着いた雰囲気を漂わせる一方、ひとたび私生活に戻れば、スマートフォン片手に推しの動画を見漁り、ときに感情を爆発させ、ダンスも完コピして踊ってしまう。愛すべき“限界オタク”としての一面も持つ。

清恵という人物は、天野監督自身が大学の研究室でバイトをしていた際の見聞から生まれたという。「研究者は非正規雇用で任期付きのポストが多く、皆さん“成果を出さないと解雇される”という焦燥感を抱えながら研究していて、研究者の世界がとてもシビアだと知りました。社会の中で地位があってエリートに見えても、生きづらさを抱えているキャラクターを描きたいと思い、清恵が生まれました」と、清恵誕生のエピソードを明かす。

さらに、黒木の起用については、「これまで様々な役柄を器用に、かつリアリティをもって演じてこられたので、観客が自然と共感できる形に成立させてくれるはず、と考えました。黒木さんご自身がとても観察力が鋭い方なので、その要素を清恵にも盛り込みたいと相談したら、すぐに採り入れて下さいました」と演技力を絶賛。大阪出身の黒木が関西弁のセリフをよりナチュラルにアレンジするなど、細部までこだわった役作りも見どころだ。

今回解禁された場面写真には、推し活用のうちわを手に、シンガポールの街をタクシーで麻由と移動する清恵の姿が収められている。手にした鞄にも推し活グッズが数多く付けられており、オタク全開の清恵らしさが映し出される。

さらに、日本に戻り、ラフな部屋着姿でコンビニ弁当を頬張りながら、スマートフォンで推しの動画を見つめる姿も切り取られている。

一方、華やかな表彰式会場で、舞台上の後輩をグラス片手に見つめる清恵の姿も映し出される。その胸中はいかに――。和歌子、麻由と出会った清恵の運命は、どのように動き出すのか。

同じくシンガポールで和歌子(有村)、清恵(黒木)と出会う、貯金ゼロ、未婚で妊婦のキャバ嬢・麻由を演じるのは南沙良。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18年)で報知映画賞、ブルーリボン賞ほか数々の映画賞を受賞。その後も多彩な役柄に挑み続け、今年だけでも『万事快調〈オール・グリーンズ〉』、単独主演映画『禍禍女』、香港映画『殺手#4』と出演作が相次ぎ、作品ごとに鮮烈な印象を残す、いま最も注目される俳優の一人だ。

麻由はキャバ嬢として働きながら、男を家に連れ込むだらしない母(篠原ゆき子)に代わって妹(早瀬憩)の面倒を見ている。しかし、大事に貯めていたへそくりも母親に使い込まれ、貧困の連鎖から抜け出せずにいた。

そんな中、自身の妊娠が発覚。妹の修学旅行代すら払えない状況に追い込まれ、「金の密輸」という闇バイトへと足を踏み入れていく。

天野監督は南について、「麻由は思ったことをすぐ口に出すような人物で、彼女に抱いていたイメージとは異なりましたが、ご本人にお会いしたら南さんの思い切りのよさが伝わってきて、“この人が演じる麻由を見てみたい”と思ったんです」と語る。

また、リハーサルでは、「『もうちょっとヘラヘラしてみてもらえませんか』とわかりにくいお願いをしたにもかかわらず、一瞬で反映してくださって、さすがだなと思いました」と、南の瞬発力に信頼を寄せた。

そんな南演じる麻由の場面写真2点も解禁された。シンガポールの橋の上に立つ麻由は、大きなおなかを抱え、その表情はどこか暗くも見える。一方、ネオンきらめく店内で、キャバ嬢として完璧な笑顔で接客する姿も。その笑顔の奥に隠された思いとは。まったく違う表情を見せる彼女が、最後に選ぶ未来とは――。

『マジカル・シークレット・ツアー』は2026年6月19日より全国公開。

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