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不適切動画の“炎上”で平和な家族が崩壊へ…「真犯人は」「やっぱり怖い」不穏な展開のままいよいよ“最終章”【深夜ドラマ】

  • 2026.5.27
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水曜プラチナイト『鬼女の棲む家』(C)中京テレビ

深夜に放送中のドラマ『鬼女の棲む家』が恐ろしいのは、怪物が“外”ではなく“家の中”で育つところだ。昼はスーパーで働く平凡な主婦・星野明香里(石田ひかり)。しかし彼女には、ネット上で悪人を特定し晒し上げる“鬼女”としての裏の顔がある。息子・歩夢(三浦綺羅)の“不適切動画炎上”で家族の生活が崩壊しかける瞬間、明香里は何を思うのか。追い詰める側だった彼女は、いつのまにか追い詰められる側へ……。SNS上でも「真犯人は誰?」「やっぱり怖い……」と話題になっている本作は、どんな結末を迎えるのか。

※以下本文には放送内容が含まれます。

歪んだ正義がブーメランに……

『鬼女の棲む家』は“悪い奴を叩く”物語ではなく、“叩くことでしか快楽を得られなくなった人間”が、自分ごと壊れていく物語だ。

明香里の鬼女活動は、わかりやすい悪意で駆動しているわけではない。むしろ、本人は“正義”のつもりでいる。悪いことをした人間が苦しむのは当然。世間が見逃すなら自分が裁いてやる。そうやってSNSの断片から個人を特定し、炎上させ、社会的に追い詰める。そこで得るのは、制裁の達成感というよりも、もっと生々しい“快感”だ。

15年前、ネット掲示板で大物プロデューサーの不正を暴いた経験が、明香里の身体の奥に残っているのも象徴的だ。

だからこそ、歩夢の炎上事件が不気味に効く。家族が“被害者側”に回ったとき、普通ならネット私刑の暴力性に気づくはずなのに、明香里は逆に“加速”してしまう。ここにこのドラマの残酷さがある。

ネット私刑は、他人のための制裁に見えて、実は自分の不安を鎮める麻酔なのだ。家庭が崩れそうなときほど、苦痛を和らげる麻酔が欲しくなる。結果、麻酔は毒になり、ブーメランとなって返ってくるにも関わらず。

謎の脅迫者は誰?

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水曜プラチナイト『鬼女の棲む家』(C)中京テレビ

物語が最終章へ向かうにつれ、怖さの質が変わっていく。明香里は“追い詰める側”だったはずなのに、ある日届いた不穏なDMで主導権を奪われるのだ。謎の人物・ヒイラギの手のひらの上にいつの間にか乗せられ、明香里は初めて、自分が握っていたはずのハンドルを手放すことになる。

ヒイラギの正体は、確かに最大の謎だ。けれど、このドラマの巧さは“犯人当ての快楽”だけに頼らないところにある。ヒイラギは、単なる敵ではなく“鏡”として機能している。明香里がしてきたことを、明香里に返す存在。だから、誰が正体でも成立してしまうのが恐ろしい。

あえてヒイラギの正体を考察するとしたら、身近な他者説がもっとも有力か。パート先やご近所など生活圏にいる誰かが、日常の隙からアカウントを覗き、利用し、乗っ取る。ネット私刑の怖さは、遠い悪意ではなく、近い観察から始まる。

最終章の恐怖は、誰がヒイラギか?よりも、明香里が“追い詰められる側”の呼吸を知ってしまうことにある。追い詰められる側は、どんどん言葉を奪われる。説明しても信じてもらえなくなる。弁明すればするほど怪しくなる。正義の言葉が、急に役に立たなくなる。

明香里が見てきた地獄は、他人の地獄だった。これからは、自分の地獄になる。

良き妻・良き母でいられるか?

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水曜プラチナイト『鬼女の棲む家』(C)中京テレビ

このドラマを支えているのは、石田ひかりの二面性だ。昼の明香里は、家族想いで、どこにでもいそうな主婦として立っている。料理を作り、暮らしを回し、心配をする。その姿が自然であればあるほど、裏の顔の異常さが際立つ。

いちばん怖いのは、明香里が悪いことをしているという“自覚の薄さ”だ。悪を裁いているつもりで、実際は“裁く快感”に溺れている。正義の衣をまとった中毒。スイッチが入った瞬間の笑みが、ゾッとするほど軽い。

歩夢の“不適切動画炎上”が、母への歪んだ意思表示にも見えてくるのが厄介だ。母が他人を叩く姿を知った子どもが、別の形で炎上を起こす。模倣は、最大の告発になる。家庭は被害者であり、加害者でもある。

そして夫が職を追われる危機に直面したとき、明香里の正義はさらに歪む。守るために叩くのか、叩くために守る顔をするのか。境界が曖昧になっていくほど、彼女のなかの“鬼”は純度を上げる。

最終回に向けた最大の問いは、ここだ。明香里は最後に、自分たちにどんな裁きを下すのか。あるいは、裁かないという選択ができるのか。鬼は外にいるのではない。自分のなかにいて、気持ちよくなりたがっている。その鬼を抱えたまま、人は暮らせるのか。共存してしまった時、何が壊れるのか。


中京テレビ・日本テレビ系 水曜プラチナイト『鬼女の棲む家』毎週水曜24時24分~

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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