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「大事になってしまった」息子が受けた性被害を軽く考えていた父親。被害者支援のカウンセリングによって家族の心にも変化が【著者インタビュー】

  • 2026.4.26

【漫画】本編を読む

※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

ある日、突然、学校に行けなくなった小学3年生の勇。おねしょをする、父親の健に触られただけで嘔吐するなど、普段とは明らかに違う様子が続いていた。病院に連れて行ったり、学校や周囲に聞きまわるも、理由が分からず、悶々とした日々を過ごしていると、英子のもとに警察から電話がかかってきて――。

息子の性被害事件と戦う家族の姿を描いた漫画『性被害のせいで、息子が不登校になりました』(あらいぴろよ:著、斉藤章佳:監修、飛田桂:取材協力/KADOKAWA)。著者は、虐待や毒親に関するコミックエッセイを手がけ、自身もトラウマ治療中と語る漫画家のあらいぴろよさん。

おぞましい性犯罪に、深い傷を負う勇。さらには、加害者の衝撃的な過去も明かされ――。そんな中、英子はあらゆる支援や家族によるケアで息子を救おうとする。性被害に限らず、すべての傷ついた人たちに送る本作について、著者のあらいさんに話を伺った。

――母親の英子は何度も涙を流しながら、勇に丁寧に向き合っていました。勇に向き合う英子の姿をどのように描こうと思いましたか?

あらいぴろよさん(以下、あらいさん):英子にはグイグイいかせたくない、と私は思いました。事件のことを根掘り葉掘り聞こうとするのではなく、勇と同じ場所に立って、ただ受け止めるという。自分の不安を解消させるために子どもを利用する母親では、その後のトラウマ治療に支障が出る可能性もありますし。加害者である九野の裁判結果が出たときも、英子は自分からそれを伝えるのではなく、弁護士さんに伝えてもらっていました。警察や裁判官のような聴取側ではなく、あくまで母親として事実をいっしょに受け止めたのが良かったと思うんですね。

――いっぽう、父親の健は、裁判沙汰になっている勇の性被害事件について「大事になってしまった」と感じていました。ところが、被害者支援のカウンセリングで「物事をありのまま見つめてください」と言われてハッとします。健の心境の変化は、どのように表現しようと思いましたか?

あらい:もし、母親の英子に「大事になってしまった」なんて言ったら、とんでもない反撃を受けていたと思います…。でも心理士にそのことを伝えた際に、いいか悪いかは一旦置いておいて、まずは話を受け止めてくれた。それによって健は、息子の性被害が「大したことじゃないのでは」という迷いをやっと手放せたんじゃないでしょうか。

――気持ちを聞き入れてもらったことで、頑なな気持ちを手放したと。

あらい:人って、善悪にとらわれずに迷いや考えを吐き出して受け止めてもらえると、心の隙間ができると思うんです。健の場合は、心理士さんに正直な気持ちを伝えた後、物事をありのままに見るような心の余裕ができた。だから、自分を見ると逃げてしまう勇の姿を目の当たりにして、このままじゃダメだという決意が固まったんだと思います。

取材・文=吉田あき

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