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「不妊の嫁」と呼ばれる日々。夜の生活の報告まで求めてくる義母と「長男の嫁」という重圧に追い詰められた結末は?【書評】

  • 2026.4.15

【漫画】本編を読む

『長男の嫁ってなんなの?』(ツムママ/KADOKAWA)は、「長男の嫁」という立場を押しつけられた女性が、義実家の中で苦しみながら生きる姿を描いた人間ドラマだ。

結婚して4年、子どもができない主人公・つくしは義母から「不妊の嫁」と呼ばれ、肩身の狭い思いをしながら暮らしている。長男である夫が家業を継ぐため、義実家の敷地内にある離れに住むことを条件に結婚したが、台所は義母の住む母屋にしかなく、実質的には同居に近い生活のため、彼女の日常は義母の強い支配のもとに置かれていく。

義母は「長男の嫁とはこうあるべきだ」という古い価値観を当然のように押しつけてくる。仕事を辞めるよう命じられたり、食事の支度を一手に引き受けるよう求められたりと、つくしの生活は次第に義母中心のものへと変わっていく。さらに子どもができないことを責められ、心の逃げ場もない状況に追い込まれていく。義母の言葉はひとつひとつが重く、読んでいる側も息苦しさを感じずにはいられない。

この嫁姑関係の恐ろしさは、単なる「嫁いびり」の構図に収まらない。最も胸が苦しくなるのは、不妊治療という非常にデリケートな問題にまで義母が土足で踏み込んでくることだ。通院日を把握され、あろうことか夫婦の夜の生活の報告まで求められる。これはもはや干渉ではなく、尊厳の侵害だ。

しかし、この物語はただつらいだけの話では終わらない。どん底に落とされたつくしが、「自分自身の人生」を取り戻そうともがくのだ。義母の呪縛をどう振りほどくのか、そしてすれ違う夫婦はどのような結末を迎えるのか。その行く末が気になり、ページをめくる手が止まらなくなるだろう。

「長男の嫁」という言葉には、今もなお重い鎖のような響きがあると思う。本作はその価値観の理不尽さを鋭く描き出しているので、義実家との関係に悩んでいる人や「長男の嫁」という立場に違和感を持つ人に手に取ってもらいたい。

文=ゆくり

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