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ゴールド免許座談会|さらば、青い絶望。35 歳で手にする『真のライセンス』

  • 2026.4.14

19歳で免許を手にし、大型までステップアップしてもなお、モリさんの前に立ちはだかった「青い帯」の壁。16年間の挫折を経てようやく掴みかけた黄金の輝き。彼が「警察に捕まりたくない」という本能を突き詰めた先に見た、安全運転の真理とは

16年目の黄金、自律したライダーの「安寧」を語る

モリ:皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。実は僕、今年3月の免許更新で、人生初の「ゴールド免許」を手にする予定なんです。19歳でクルマの免許を取ってから16年、ずっと青い免許証を眺めてきました。22歳で中型、24歳で大型とステップアップして、愛車も経験も「強く」なった自覚はあるのに、帯の色だけが変わらないもどかしさ。35歳にして、ようやく「金」の入り口が見えてきました。

A:16年越しですか! それは感慨深いですね。更新のたびに新しい免許証を受け取るのに、色がそのままっていうのは地味に効きますからね。

B:免許の種類が増えていくのに、中身(色)が伴わない。あの新しい免許証を受け取った瞬間の「あ、またこれ(青)か」という感覚、ライダーなら誰もが一度は味わう挫折ですよね。

モリ:本当に。特に前回の更新時は最悪でした。新しい免許証を手にして数日後ですよ。慣れない道で「バス専用レーン」の標識を見落として、パンパンって笛が鳴って。あの瞬間の「またこの色と5年付き合うのか」という絶望感……。でも、その長すぎる潜伏期間を経て、最近ようやく悟ったんです。ゴールドになれない原因は「飛ばしすぎ」といった積極的な違反じゃない。結局、過去の失敗という高い授業料を払って手に入れた「違和感」への感度なんですよね。

「捕まりたくない」本能を研ぎ澄ます

モリ:正直に言えば、僕は「警察に捕まりたくない」っていう本能を隠さなくていいと思うんです。不純な動機に見えるかもしれないけど、徹底的に「捕まらないこと」を完遂しようとすれば、結果的に常に周囲を360度観察しなきゃいけないし、路面状況や標識にも敏感になる。やるんなら運転中、常時それを徹底することが、回り回って究極の安全運転に繋がっていると思うんです。

A:それはありますね。ハンターの嗅覚に近い。僕も高速道路で、不自然に左車線に車が固まって、追い越し車線がガラ空きになっている時とか、独特の空気の淀みを感じます。「これ、絶対この先に〝主〞がいるな」っていう直感です。

モリ:そう、あの静まり返った追い越し車線の違和感ですよね。あと、バイク的に「行けそうな瞬間」とか「変に走りやすいスペース」を見つけた時は、僕の中では要注目のサイン、いわば「黄信号」です。そこ、実は網が張ってあったりする。捕まらないことを目的に据えるなら、あえてその「美味しそうな空間」には飛び込まない。これこそがアップデートされた僕の嗅覚ですね。

B:過去の失敗のカタログが脳内に出来上がっているからこそ、その「違和感」を察知して無意識にスロットルを戻せる。それは「脱法」じゃなく、リスク察知能力そのものなんですよ。

「怖くないスピード」の先にあるもの

モリ:あと、制限速度の件ですが、これ、僕の持論なんです。例えば制限60㎞/hの道で、周りが80㎞/hで流れているとする。その流れに乗るのも一つの方法かもしれないけど、僕はあえて制限速度を守る側を選びたい。でもそれは、声高に正義を叫びたいわけじゃないんです。

B:確かに、周りに対して「俺が正しい!」と肩を張るのも疲れましたしね。

モリ:そうなんです。標識の数値って、時に現実の道と合っていないように感じることもありますよね。でも僕はそれを「何らかの関数で機械的に決まった数値なんだ」と割り切るようにしました。不合理に感じても、それはこの道の「地形」や「気象条件」と同じ。雨が降ればペースを落とすように、標識が40㎞/hなら、そこはそういう特殊な重力圏なんだと思い込む(笑)。

A:その「割り切り」は大人ですね。

モリ:それに、結局のところ「自分が絶対に怖くない、100%安心できるスピード」まで落としていくと、不思議と法定速度内に収まるんですよね。「法律を守らなきゃ!」と気負わなくても、自分の心の平安を求めていけば、実はそこに答えがあったんです。

B:なるほど。無理やり抑え込んでいるんじゃなくて、マージンを削らない走りを選んだ結果、たまたま法規と一致しただけだと。

モリ:そうなんです。「遅く走って悪いな」なんて思う必要もなくて、ただの「安心マージン」を物理的に広げているだけですから。後ろから急かされているような気がして焦るのが一番危ない。だからこそ、「うるせぇ、僕は僕の安寧を守るんだ」っていうくらいの、静かな開き直りを持っていいと思うんです。自分のペースを他人のアクセルワークに委ねない。その自律心こそが、ゴールドへの最短距離なのかなと。

フラグを折って、金色の窓口へ

モリ:16年かかってようやく辿り着いたゴールド。でも、これってゴールじゃなくて、ようやく「本来あるべき大人のライダー」のスタートラインに立っただけなんだな、と皆さんの話を聞いて痛感しました。

B:ゴールド免許になると、任意保険の割引とか実利もありますけど、一番は「自分は自分をコントロールできている」という自己肯定感ですよね。白バイを見かけても動揺しない。むしろ「ご苦労様です」と心の中で挨拶できる余裕が生まれる。

A:そう。その心の平穏こそが、さらなる安全運転を呼ぶ。ゴールドは最高の防衛装備なんですよ。

モリ:本当ですね。……ただ、正直に言うと今、生きた心地がしてないんですよ。更新まであと数週間。今この瞬間が、人生で最も「フラグ」が立っている時期なんです。もし僕が更新センターの帰り道で捕まったら、この記事のタイトルは「16年目の黄金、数日で散る」に差し替えてください(笑)。

A:ハハハ! その緊張感があるうちは大丈夫ですよ。その怯えこそが、今のモリさんにとって最大の安全装置ですから。

B:3月の更新、無事に「金色のモリさん」として戻ってくるのを楽しみにしてますよ!

モリ:ありがとうございます。16年間の青い生活で磨き上げたこの「嗅覚」と、自分の安心を優先する「開き直り」があれば、今度こそあの金色のカードを手にできるはず。僕は信じています。3月の更新、僕は背筋を伸ばして、あの窓口に立とうと思います。

みんな、コレは徹底していた

時間限定の迷宮:補助標識の読み取り
「7-9」「17-19」といった細かい数字は要注意。ヘンにすいていたり、走りやすかったりするので気を付けよう。数十秒の遠回りが、5年間の「金」を守る

一時停止は「絶対」に従う
見通しの良い交差点ほど、警察官もしっかり見ている。「止まったつもり」ではなく、足をしっかりついて心の中で3秒数える。「客観的な完全停止」をルーティン化せよ

イエローラインは「物理的な壁」
道を間違えても、ラインは跨がない。「間違えたらそのまま進む」勇気が、色を守る。数分のロスは、数年間の「青い免許証」に比べれば安いものだ

話を聞いた人

編集長モリ
ゴールド歴:今年初めて!(予定)
最後の違反内容:指定通行区分違反(バス専用レーン等)
19歳でクルマの免許取得。が、免許の色はずっと「青」のまま16年。更新直後の違反というトラウマを乗り越え、35歳、執念の金メダル(免許)獲りに挑む

Aさん
ゴールド歴 10年(2期連続)
最後の違反内容:指定場所一時不停止
バイク歴20年超の大ベテラン。「止まったつもり」を卒業し、今は「誰が見てもタイヤが止まっている」状態を儀式のように楽しむ。標識を「探す」ゲームの達人

Bさん
ゴールド歴 5年
最後の違反内容:進路変更禁止違反(イエローカット)
ナビの指示に焦ってラインを跨いだ過去を持つ。「道を間違えても、金(免許)までは取られない」と悟り、焦りを捨てた大人の走りへ。イエローラインを「物理的な壁」と見なす!?

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