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「君の住所知ってるよ」その一言で日常生活が一変…ライブ配信者に執着するストーカーの恐怖を描いた実話コミック【書評】

  • 2026.4.11

【漫画】本編を読む

『「君の住所知ってるよ」ライブ配信中ヤバいファンに狙われました』(元村でん:漫画、カオルコ:原作、リアコミ:企画/KADOKAWA)は実話をもとにした作品で、ライブ配信をきっかけに危険なファンから執着された女性の恐怖体験を描いている。

主人公は、漫画家になる夢を追いかけているが、うまくいかない毎日を送る専門学生のカオルコ。彼女はとある事務所に声を掛けられ、軽い気持ちでライブ配信者として活動を始める。最初はフォロワーが増えていくことが純粋にうれしく、コメント欄での交流も楽しいものだったが、毎回欠かさず現れ、あたかも親密であるかのような勘違いコメントを送り続ける熱心な視聴者・ヤマ男の存在に徐々に追い詰められていく。やがてそのメッセージはエスカレートし「君の住所知ってるよ」という一文が届くのだった――。

実話に即しているとあって、いきなり凶悪なストーカーが登場するのではなく「好意」から「執着」へじわじわと変容していくところがリアルだ。カオルコもマネージャーも、当初、それをよくある古参のノリだと軽視してしまうのだが、SNSに投稿した写真などから個人情報が特定され、状況は一気に現実味を帯びる。

ライブ配信という「双方向」の交流の場は、配信者とファンの距離を縮める便利な装置である。だが同時に、その距離感の錯覚こそが危険の入り口であることを端的に教えてくれる。匿名アカウントの裏にある執着心や、自分は特別な存在と思い込む加害者側の思考が随所に示されることで、恐怖はより生々しさを帯びる。

近年、SNS利用者が無意識にさらす情報の危うさが指摘されている。本作のようなストーカー問題をはじめ、特殊詐欺や強盗事件などの引き金になることもある。住所や行動範囲、日常のルーティンが全世界に可視化されてしまうSNS社会に、大きな警鐘を鳴らす一冊だ。

文=宇田 勉

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