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つきまとい、執拗な暴言に死の脅迫まで…。接客業の女性77%が経験した「恐怖の実態」とは?

  • 2026.4.11
Artwork by Alex Hurst / Getty Images

初めてローレンが無料のリップスティックを巡って怒鳴られたとき、彼女は後に同僚と笑い飛ばした。しかし、それは女性たちが何とか平静を装おうとするときの、半分冗談で半分震えるような笑いだった。

彼女はメイクアップカウンターで働いており、特定のアイテムを購入すればリップをプレゼントするというシンプルなキャンペーン中だった。しかし、ある客は自分の欲しい色が在庫切れだと知るやいなや、完全に理性を失った。

「怒鳴られる原因はたいてい、接客が遅いと感じられたり、在庫がなかったり、希望通りの時間に予約が取れなかったりといったことです」と、英国ブライトン出身のローレンは振り返る。「自分の思い通りにいかない大人の男女に叱りつけられたり、些細なことで八つ当たりされたりするのは、本当に恥ずべきことです」

深刻化する嫌がらせと身の危険

Getty/Artwork by Alex Hurst

最初は単なる「自分勝手な振る舞い」だったものが、次第に恐怖へと変わっていった。

「同僚が選んだファンデーションの色が気に入らないという理由で、脅迫してきた客もいました」と彼女は語る。「店内でつきまとわれ、『自分の言っていることが分かっていないんじゃない?』『ここで働いているなら、きっと頭が悪いんでしょうね』と囁かれ続けたこともあります。トイレに駆け込んで泣くしかありませんでした。警備員を呼ぶことはできても、彼らができることは限られていたのです」

メイクを売るという仕事は、非常に親密なものだ。相手の肌に触れ、コンプレックスに向き合い、心を落ち着かせる。ローレンはその部分を愛していた。しかし、浴びせられる攻撃性が、その情熱を削り取っていった。

「ほとんどのシフトで、何らかの暴言を受けました。週に2、3日はそんな状態です。何度も、ブラシを投げ捨ててそのまま店を出ていく自分を妄想しました」

統計が示す「小売現場」の過酷な現実

ローレンの経験は極端に聞こえるかもしれないが、決して特別ではない。むしろ、こうした事態は一般化しつつある。

小売支援団体「Retail Trust」の最新調査によると、小売スタッフの77%が昨年1年間に威圧的な行動を経験し、約4分の1(23%)が身体的暴行を受けている。また、43%が毎週のように暴言や攻撃を受けており、45%が職場で安全を感じられないと回答。さらに、62%がシフトに入るだけでストレスや不安を感じているという。

背景には、万引きの急増もある。英国国家統計局のデータでは、2025年6月までの1年間で52万9,994件の万引きが記録されており、これは過去最高水準だ。英国の小売現場の64%以上を女性が占めているため、こうした日々の攻撃の矢面に立っているのは、その多くが女性たちなのだ。

性別による偏見と「無断撮影」の恐怖

ウェールズの独立系小売店で働くステファニーにとって、虐待は突発的で絶え間ないものだ。

「目を合わせない、笑わない、挨拶もしない。その人の立ち居振る舞いを見ただけで、嫌な予感がします。入店した瞬間から舌打ちをし、ため息をつき、レジに来ると商品を乱暴に投げつける。彼らにとって、私たちは人間ではなく、無価値な存在のように扱われていると感じます」

技術系ショップのアシスタントマネージャーを2年半務めたハンナ(27歳)の場合、嫌がらせには「女性蔑視」のニュアンスが混ざるという。

「電話口で女性の声だと分かると、知識がないと思い込んで資格を疑われることが多々ありました。返金ポリシーへの怒りから商品を投げつけられたり、責任者を呼べと怒鳴られたり。私がその場の唯一の責任者(マネージャー)であってもです」

さらに深刻なのが「無断撮影」だ。同調査では、スタッフの30%が同意なくSNS用に撮影された経験を持つ。ハンナも口論中にスマホを向けられたことがある。現在はカスタマーサービス部門に移ったが、電話越しにウェールズ訛りをからかわれたり、オフィスを爆破すると脅迫されたりして、警察を呼ぶ事態にまで発展したという。

「お客様は神様」という幻想の代償

Getty/Artwork by Alex Hurst

ファッション店で働くティファニー(26歳)は、12月の繁忙期に最もストレスを感じる。

「在庫がないと『娘のクリスマスを台無しにした』と責められ、サイズ展開に不満を持つ客からは『バカでデブな女』と罵られました。まるで私の個人的な落ち度であるかのように。クリスマスが過ぎれば、レシートなしで着用済みの服を返品しようとする人々との戦いが始まります」

コロナ禍を経て、消費者の忍耐力は低下し、期待値だけが膨れ上がっている。オンラインショップと同じ利便性を実店舗に求め、少しでも滞れば怒りを爆発させる。一部の店舗では、警察官が装着するような「ボディカメラ」の導入を検討しているほどだ。

専門家が訴える「人間らしさ」の回復

現在、小売スタッフへの暴行は最高6ヶ月の禁錮刑が科される独立した犯罪として扱われる動きがある。しかし、Retail TrustのCEOクリス・ブルック=カーター氏は、法的措置だけでは不十分だと指摘する。

「法律は重大な犯罪には対処できますが、現場のスタッフが毎シフトで直面する敵意や軽蔑、無礼さを止めることはできません。必要なのは、消費者の行動変容です。スマホから目を離し、挨拶をし、『ありがとう』と言う。それだけで大きな違いが生まれます」

ローレンは今年7月、接客業を辞めてフリーランスのメイクアップアーティストに転身した。ハンナも対面接客から離れた。ステファニーは今もレジに立ち続け、客が入ってくるたびにその顔色を伺っている。

「私たちはロボットではなく人間です。助けになりたいと思っていますが、暴言を吐かれるために給料をもらっているわけではありません」とティファニーは結ぶ。

※この記事はイギリス版ウィメンズヘルスの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。

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