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親との関係を断つ前に発せられる「ある言葉」とは?

  • 2026.4.9
成人した子供が親との関係を断つ前に発する言葉とは / Credit:Canva

成人した子供が親との関係を断つことはあるものです。

しかし、その親は「親子仲は悪くなかったはず」「どうしてこうなったのかさっぱり分からない」と感じているかもしれません。

米国の心理学者ジェフリー・バーンスタイン(Jeffrey Bernstein)氏は、臨床や親向けコーチングの現場で、成人した子供が親から距離を置く前に、「ある共通した訴え」を口にすることが多いと述べています。

今回は、親子関係がなぜ静かにすれ違っていくのかを見ていきます。

目次

  • 「あなたは私のことを理解しようとしない」
  • 親が見落としてきた「断絶のサイン」とは?

「あなたは私のことを理解しようとしない」

親子関係の断絶は、ある日いきなり起きたように見えます。

しかし実際には、多くの場合、その前に小さなサインが積み重なっています。

ただしそれは、いかにも「警告」と分かる形では現れません。

バーンスタイン氏が繰り返し耳にしてきたのは、次のような訴えです。

「あなたは私を理解しようとしない」

もちろん、いつもこの言葉そのままで語られるわけではありません。

「ちゃんと聞いていない」「分かってくれない」「もうこの話はできない」といった形で表れることもあります。

ですが意味はほぼ同じです。

子供は、「自分は理解されていない」と感じているのです。

バーンスタイン氏は、親密な関係では愛情そのものだけでなく、「自分が理解されている」と感じられることがとりわけ重要だと強調しています。

愛情があるつもりでも、相手が「分かってもらえない」と感じ続ければ、関係は少しずつすれ違っていきます。

大きなケンカがなくても、心の中では距離が広がっていくのです。

しかも、この感覚は急に生まれるわけではありません。

子供は成長する中で、自分の気持ちを親に話したときに、それをきちんと受け止めてもらえるのか、それとも話を別の方向へ持っていかれてしまうのかを少しずつ感じ取っていきます。

たとえば、つらい気持ちを話したのにすぐ励まされる。

悩みを打ち明けたのに、すぐ助言や反論が返ってくる。

あるいは、自分の話をしていたはずなのに、いつの間にか親の話になってしまう。

こうした経験が重なると、子供は少しずつ「この人に話しても、本当には伝わらないのではないか」と感じるようになります。

そして、その積み重ねが限界に達したとき、親から見ると突然に思える距離の取り方が起きるのです。

では、親はどのようにして、子どもとの溝を深めていくのでしょうか。実際のケースを見てみましょう。

親が見落としてきた「断絶のサイン」とは?

バーンスタイン氏は、実際の親子関係の中で起こりやすい「心の溝を深める」3つのパターンを紹介しています。

1つ目は、すぐに安心させようとする場合です。

たとえば、27歳の息子エリックが仕事の人間関係で疲れ切っていると母親リンダに話したとします。

するとリンダは、「あなたは頭もいいし、しっかりしているから大丈夫」と励まします。

親としては支えようとしているつもりですが、この反応は、本人のつらさを十分に受け止める前に前向きな言葉へ移ってしまうため、子供には「気持ちを分かってもらえなかった」と響くことがあります。

実際にエリックは次第に心を閉ざし、リンダから連絡が来ると電話を閉じるようになっていきました。

2つ目は、問題を解決しようとしすぎる場合です。

父親デイヴィッドは、娘エリーズが恋愛の悩みを相談してくるたびに、「私ならこうする」と助言していました。

これもまた善意からの反応です。

しかし、悩みを話す側が求めているのは、すぐ使える解決策ではなく、まず気持ちをそのまま聞いてもらうことです。

そこを飛ばしてしまうと、子供には「話を聞いてもらえない」「すぐ正しさの話にされてしまう」と感じられます。

小さな意見の違いが苦しい議論に変わっていき、最後にはエリーズが「ただ聞くこともできないのね!」と怒鳴ってしまいます。

3つ目は、親が自分のことを話しすぎる場合です。

マリアは娘レイチェルと近い関係にあると思っており、率直さを大切にしていました。

そのため、自分の不安や不満、個人的な話まで幅広く共有していました。

ですが、その開かれた関係は、娘にとっては重すぎることがありました。

会話が続くうちに、レイチェルは少しずつ距離を取り、やり取りは短く表面的なものになっていきます。

マリアはもっと打ち明ければ近づけると思いましたが、結果は逆でした。

レイチェルはついに、「お母さんは一度も本当の意味で私の話を聞いてくれなかった」と感じるようになります。

この3つの例は、一見すると別々の問題に見えます。

しかし共通しているのは、子供の内面をそのまま受け取る前に、親の反応が先に出てしまっていることです。

励ましは悪いことではありません。

助言も、率直さも、本来は関係を支える要素です。

ですが、相手がまず求めているのが「理解されること」である場合、それらがかえって壁になることがあります。

子供は少しずつ話す量を減らし、本音を見せなくなり、表面的なやり取りだけが残ります。

そうして積み重なったすれ違いが、距離を置くことや関係を断つことにつながっていくのです。

参考文献

7 Words Adult Children Say Before Cutting Off Parents
https://www.psychologytoday.com/us/blog/liking-the-child-you-love/202603/7-words-adult-children-say-before-cutting-off-parents

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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