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フロー状態が導く新しいウェルビーイングとお茶の秘密|なぜ没入できる人は強いのか?

  • 2026.4.7
lielos

先日、「伊藤園中央研究所」が主催する「伊藤園ウェルネスフォーラム」にお伺いしてきました。第11回となる今回のテーマは「AI時代到来 フロー状態がもたらすヒトの新たな可能性」。

基調講演では、法政大学国際文化学部(兼任)大学院国際文化研究科教授の浅川希洋志さんが、フロー経験が心理的ウェルビーイングや持続的な幸福感にどのように関わるのか科学的視点から解説。続いて、産業医科大学産業保健学部人間情報科学准教授の黒坂知絵さんより、精神作業中に生じるポジティブな状態とフローの関連性について、研究データを交えた講演が行われました。

没入が生む最高のパフォーマンス

フロー状態とは、心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した概念。何かの活動に没入することで時間の感覚や不安、過度な自分自身への意識が低下し、集中と楽しさ、充実や生きがいを感じる状態のことです。

それは、その人の能力と課題の難易度が高いレベルで釣り合ったときに生まれる究極の没入感。そしてそこに至るためには、活動のひとつひとつの目標が明確であること、フィードバックがあることがポイントなのだそうです。

フロー状態にあるときは高いパフォーマンスを発揮できるといわれます。おもにスポーツ界では“ゾーンに入る”という表現をしますが、それと近い感覚が“フロー状態”であると考えるとわかりやすいでしょう。

興味深いのは学生を対象とした研究です。日本の学生は、アメリカやカンボジアの学生に比べて、フロー状態を経験したことがある人の割合が低いと報告されています。その原因のひとつは、日本の学生が他者の評価を気にしすぎる傾向にあるから。つまりフロー状態に入る鍵は、他人軸ではなく自己の満足感に意識を向けることなのです。これはシンプルで実践的なヒントといえます。

liu fuyu

お茶が私たちをフロー状態へ導く

基調講演後のパネルディスカッションには、「おいしい健康ラボ」所長であり「日経BP総合研究所」客員研究員の西沢邦浩さん、そして「伊藤園中央研究所」所長の加藤一郎さんも加わり、「フロー状態がもたらすヒトの新たな可能性」をテーマに多角的なお話が展開されました。

特に、お茶とフロー体験の関係を探る試みはとても興味深いもの。

緑茶やほうじ茶の香りにはリラックスと覚醒の両方に働きかける作用があるとされており、集中しやすい状態を整えてくれるといわれます。黒坂知絵さんによると、緑茶やほうじ茶の“香り”も、私たちをフロー状態へと導くひとつのきっかけになっている可能性があると考えられているのだそうです。

また、加藤一郎さんは「緑茶もほうじ茶も香りの立ちやすいホットがおすすめ」だといいます。作業をしながら少しずつ“ちびだら飲み”する(ちびちびだらだら飲む)ことで、集中しやすい状態を保ちやすくなるのだとか。

伊藤園ウェルネスフォーラム

思いのままにフロー状態を作り出すことは簡単ではありませんが、入りやすい環境や条件を整えることは可能です。

仕事や勉強において自分自身を認めて褒めてあげることも、フロー状態に入りやすくなる有効な手法のひとつ。そうして没入体験を重ねることで自己肯定感が育まれると、物事に対してより主体的かつ前向きに向き合えるようになります。フロー状態を意識的に得るように心掛ける習慣は、日々の充実を高め、結果として人生そのものを豊かにしていく力になるといえるでしょう。

AI時代に求められる“心の充実感”

講演やパネルディスカッションでは「心理的ウェルビーイング」という言葉が用いられていました。これは「幸せ」「楽しい」「気持ちいい」といった一時的な快楽とは異なり、多少困難があっても「自分は意味のある人生を歩んでいる」と実感できる、より深い充実感を指します。

AIが身近になってきた時代だからこそ、私たちは心の充実感や健やかさ、生きがいに能動的に意識を向けていく必要があります。人にしかできないことの価値が、これまで以上に高まっていくのです。

情熱を注げる対象に出合い、そこに没入してフロー状態になることで人生の豊かさを広げていく──それは「人生100年時代」における重要な課題。まずは一杯のお茶を味わうことから、フロー状態を生み出す練習を始めてください。

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