1. トップ
  2. レシピ
  3. うつ病、島根への移住、そして再発。移住後の心の変化に、どう対処した?【著者インタビュー】

うつ病、島根への移住、そして再発。移住後の心の変化に、どう対処した?【著者インタビュー】

  • 2026.4.6

【漫画】本編を読む

漫画家・叶輝(かのうあきら)さんと、うつ病により休職を繰り返していた朝待夜駆(あさまちよかけ)さん。二人のもとにたびたび足を運んでいた地域猫はある日、病気で瀕死の子猫を連れてくる。「朔太郎」と名付けられた子猫は、深刻な病気を患っていた。二人は朔太郎に寄り添いながら、日々を重ねていく……。

エッセイ漫画『スローステップ朔太郎』(叶輝:漫画、朝待夜駆:脚本/KADOKAWA)は、命と希望のリレーを描いた作品だ。2025年春に上下巻で発売された本作は、仕事の悩み、病気との向き合い方、経済的な不安など、多様な困難を抱える読者から共感を呼んでいる。

それぞれが抱える困難の中で見えてきた「支え合うこと」の新しい形とは? 実話をもとに、ユーモアと愛情で表現した本作の制作背景を、作画担当の叶輝さんと、脚本を手がけた朝待夜駆さんに伺った。

――作中には、島根に関わる食材や料理についての表記がたびたび出てきます。ここにはどのような意図があったのでしょうか。

朝待夜駆さん(以下、朝待):私の地元・島根へのUターンの伏線です。個人的には、島根のおいしいものを宣伝する意図も少しだけありました。

――島根のおすすめの食べ物があれば教えてください!

叶輝さん(以下、叶):いっぱいあるからなぁ。魚好きならのどぐろ。お肉が好きなら、島根県内で生産されている黒毛和牛の「しまね和牛」。

朝待:なんでもありますよね。アワビ、サザエ、ブリ、カニ。ご当地ブランド豚の「石見ポーク」のほかに、山ならではのもので言えば、イノシシ肉の「おおち山くじら」、山菜も。

叶:あと、お蕎麦は本当に食べたほうがいい! 私が人生で一番おいしいと思ったお蕎麦が「出雲そば」なんですよ。スイーツ好きなら、松江周辺のパティスリーやショコラトリーもおすすめです。

――転職したものの、職場に馴染めず気持ちが落ちてしまっている朝待先生に叶先生が地方への移住を提案します。島根への移住に向けて順調に動き出していくわけですが、不安に思う瞬間はありませんでしたか?

叶:大いにありました。私は東京生まれ、東京育ちなので、どういう人たちがいるの? インフラは? 病院は? とか。ただ、島根は朝待くんの地元だから土地勘もあるし、彼の家族もいる。安心感もあり、選びやすかったです。何より島根の景色と食に惚れてしまったので。

朝待:私はどうだろうな。当時のことを振り返ると、とにかく東京が嫌だった。狭くて、人も近くて、空も狭い。食べ物も…だし(笑)。

叶:島根美味しいよね(笑)。

朝待:当時の環境が、うつ病にも影響をおよぼしていたのかな、とも思っていました。

――島根への移住という大きな決断は、今、振り返ってみて良かったと思いますか?

朝待:良かったと思います。ただ、Uターンしてから1年くらいで「東京にいればよかった、そもそも新卒入社した組織を辞めなければよかった」と言って、叶先生をぷんぷんさせてしまいました。

実は移住後に、うつが悪化したんですよ。新卒で入社したところは、人間関係はさておき、福利厚生が整っていた。休職してもリカバリーしやすかったので、転職していなければ……と。他にも島根の転職先で、自分の役割に対する理解があまり得られないなど、様々な事情から落ち込んでしまいました。

叶:今はまた働く環境を変えて、リモートワークなんだよね。ただ、移住をきっかけに転職した先があったから、この作品が生まれた。私としては、当時の環境も必要だったと思います。

取材・文=松本紋芽

元記事で読む
の記事をもっとみる