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老人の手足を次々切断する戦慄のデイケア 倫理観を侵食する問題作『廃用身』

  • 2026.4.4
老人の手足を次々切断する戦慄のデイケア 倫理観を侵食する問題作『廃用身』
(C)2025 N.R.E.

理想の医療を追い求める男が踏み込む危うい領域、崩れていく倫理と常識

これは“画期的な福音”か、それとも“残酷非道の狂気”か──。染谷将太主演、「映像化、絶対不可能!」と話題を呼んだ現役医師作家による衝撃作を映画化した『廃用身』より、半歩先の恐怖が倫理観を揺さぶる本予告と場面写真が解禁された。

原作は、外務省医務官を経て、現在も在宅訪問医として活躍する久坂部羊の小説デビュー作「廃用身」(幻冬舎文庫)。出版当時、そのあまりに強烈な設定から、「映像化、絶対不可能!」と世間で話題を呼んだ。

ある町のデイケア「異人坂クリニック」に通う高齢者の間で、漆原院長(染谷将太)が考案した“画期的な”治療が密かに広まっている。究極のコスパの良い介護を目指すその医療行為は、「廃用身」(麻痺などにより回復の見込みがない手足)をめぐる従来の常識を覆すものだという。

その結果、「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」など、予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者・矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける。

しかしやがて、デイケアに関するとある内部告発が週刊誌に流出。さらに、患者宅で起きた衝撃の事件をきっかけに、すべてが暗転していく──。

主演は、幅広い役柄をこなす変幻自在の演技力で圧倒的な存在感を放つ実力派俳優・染谷将太。医療の限界を超えたいと力強く訴え、理想を追い求めるあまり、合理性と狂気の危うい狭間へと踏み込んでいく主人公、医師・漆原糾(うるしはら・ただす)を怪演する。

共演には、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ取り、漆原に本の出版を持ちかける編集者・矢倉俊太郎役に、主演映画『逆火』(25年)や主演ドラマ『小さい頃は、神様がいて』、連続テレビ小説『おむすび』など話題作への出演が続く北村有起哉。

両脚と左腕の麻痺に苦しめられ、漆原の〈画期的な治療〉で人生を取り戻した岩上武一役に、映画『首』(23年)や大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』などに出演し、名バイプレイヤーとして活躍する個性派俳優・六平直政。

漆原を支える妻・漆原菊子役に、『由宇子の天秤』(21年)で注目され、『敵』(25年)『宝島』(25年)『国宝』(25年)など幅広く活躍する瀧内公美。そのほか、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄らが脇を固める。

監督・脚本を務めるのは吉田光希。東京造形大学在学中より諏訪敦彦に師事し、塚本晋也作品での現場経験を経て、『家族X』(10年)、『三つの光』(17年)でベルリン国際映画祭をはじめとする多数の国際映画祭で評価され、世界的な注目を集めてきた。

本作は、そんな吉田が学生時代に原作と出会って衝撃を受けて以来、20年にわたり温め続けてきた渾身の企画を映画化した作品となる。

今回紹介する本予告は、にこやかな微笑みにはあまりにも不釣り合いな言葉「切断」を、漆原(染谷)が口にする衝撃的な一言から幕を開ける。

異人坂クリニック院長・漆原が提唱する「Aケア」は、介護負担の軽減を目的に、老人の“不要な手足”を切り落とすという従来の価値観を揺るがす治療法。身体の一部をまるで“廃棄物”のように切断された患者たちは、「憑き物が取れたみたいに体も心も軽くなった」「ここだけ若返ったみたい」と、どこか晴れやかな表情を浮かべていく。

さらに、「Aケア」の書籍化を持ちかける編集者・矢倉(北村)は、「本当に革命が起こるかもしれません」と期待をにじませるが、ある出来事をきっかけに状況は一変する。

「なんか恐ろしい気がしてしまって」と不安を口にする看護師、「こんな姿になるなんて、思ってなかった」と声を震わせて訴える患者家族──。何かを強く予感させる断片的なカットが、不穏な踏切の音とともに畳みかけられる。やがて、遮断機の前に呆然と立ち尽くす漆原の虚ろな表情で映像は唐突に途切れ、見る者に重い問いを残す。

それは“画期的な福音”か、それとも“残酷非道の狂気”か。現実と地続きであるがゆえの逃げ場のない恐怖が、見る者の倫理観を静かに侵食し、拭えない不安と生々しい問いを刻みつける映像となっている。

あわせて解禁された場面写真には、不穏な気配が濃密に漂う。切断された手足を想起させる歪んだ枯れ木を抱え、不気味なほど静かにこちらを見つめる漆原(染谷)。その視線には感情の揺らぎが見えず、まっすぐさと危うさが同居する、どこか人間離れした異様さが宿る。

さらに、患者・岩上(六平)に優しく寄り添う姿、ひとりパソコンに向かい執筆に没頭する姿、踏切の前に佇む姿、編集者・矢倉(北村)と出版への期待を語る場面など、さまざまな局面での漆原の姿が切り取られている。また、複雑な表情を浮かべる妊娠中の妻・菊子(瀧内)や、「Aケア」への不安をおずおずと口にする看護師・内野(中井)の姿も収められている。

まっすぐであるがゆえの危うさと、ふとした瞬間に垣間見える空虚なまなざしが、言い知れぬ胸騒ぎを呼び起こす場面写真となっている。

『廃用身』は2026年5月15日より全国公開。

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