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「グサグサと突きつけられる時間も」そこに響くのはフルートの音色 ドキュメンタリー映画『矛盾に抱かれて』見どころレポ

  • 2026.4.3

ビブラートのきいた伸びやかな美しさとともに、深い想いがのっている、芯の強い音色…。
最初に流れてきたフルートの音色を聴いたとき、そんな印象を持ちました。

フルート奏者で建築家の畠中秀幸さん。15年前、脳内出血で倒れ、右半身まひの後遺症を負いました。

4月4日から、札幌のシアターキノで、畠中さんの1年に密着して制作したドキュメンタリー映画『矛盾に抱かれて 音楽 建築 哲学 悲哀 循環』が上映されます。

Sitakke

私、HBC演劇エンタメ研究会(エンケン)の佐藤彩が、映画を見て感じた見どころをご紹介します。

音色を通して伝わるもの

脳卒中を患い、右半身にまひが残る…。自分だったら絶望してしまいそうな状況ですが、畠中さんは「むしろこの体になったことの方がラッキーだ」と話します。

その強さに、序盤で度肝を抜かれるわけです。
この人はどんな人なのだろう…興味を持ち、引き込まれます。

この作品は、5つのテーマに沿って展開されていきます。

「音楽、建築、哲学、悲哀、循環」。
畠中さんという人間を形成する考え方や、その人間性を深く掘り下げ、のぞき見させてもらっている感覚になる部分もありながら、日本の歴史についても想いを馳せ、考えさせられる構成でした。

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そこでは、胸がいたむ、戦時中の事実をグサグサと突きつけられる時間もありました。そのなかで響きわたるフルートの音色は、よりいっそう悲哀に満ちた、でも魂を救うような鎮魂の音色に聞こえます。
これが慰霊というものか…と感じました。

「音楽は人を救う力がある」と実感している方もいると思いますが、きっと畠中さんのフルートの音色からも、伝わるものがあるはずです。

音色には人柄が乗る

Sitakke
HBC佐藤彩アナウンサー

私は習い事でフルートを演奏している、という程度なので、まだまだ自分なりの音色を生かすとか、人の心を動かすというまでの域には達していないため、その伝える力、伝わる力にただただ感動。

また、音色には、人柄が乗ることを体感しました。

フルートは、息を吹き込めば簡単に音が鳴るというリコーダーなどともまた違って、唇の形を作ることも必要です。その部分も、いまの自分の体を研究していき、どうやったら良い音が出るのかを探って、自分の体と会話して、一番いい音が出る態勢を見つけて奏でています。

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ここにたどり着いたその演奏スタイルの話も、ただただすごい!また、純粋に左手だけでどうやってフルートを演奏しているのか、ということは気になっていたので、特別に作られた世界にひとつだけのフルートの仕組みの解説も、驚きでした。

まだ誰も見つけていない何か

畠中さんは、もともと「京都のお寺のお庭を見てバッハが聞こえた」と感じるような、感受性豊かな方でもあり、建築家であるからこその感性もあり、自身の哲学もしっかりと確立された方だと感じました。

全編を通して、簡単に言うと「すごい人」という感覚にはなるのですが、その姿、生き様を見て、もしかしたら、自分にもこうやって生きる力があるのでは、という考えも芽生えてきました。

自分の中にはものすごい哲学はないけれど、自分にとってマイナスに思うような出来事も、もしかすると、そこから新たな道が展開されるかもしれないわけですよね。

まだ誰も見つけていない何か…できること、やってみようと思えること、何もかもが可能性は無限大ではないか、と思わせてくれる力もあります。

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病気になってハンディキャップと思われる状況を、アドバンテージをもらった、ラッキーと考え、活動する畠中さんの姿から、未来の自分の可能性に向けて、種を植える音色になるかもしれません。

また、畠中さんの奏でるフルートの音色を思い出すと、心の中を湧き水のような透明感で満たしてくれるような、一種の浄化されたような気持ちにもなるのです。

新たな自分と出会い、未来へ向かうような感覚につなげてくれるような、春の日差しでキラキラ輝く小川のような風景が見えてきて、北海道でいえば雨竜沼湿原みたいなイメージが浮かびました。

そしてなんといっても、劇中で流れる「雪の翼」という曲が本当にすばらしい。
切なさ、悲哀を感じるメロディーラインと、美しいビブラートが響き渡るなかで、畠中さんが命を吹き込んでいるような、生き様を映しているかのような音色を堪能することができます。

演奏する場所によっても響きが、音色が変わります。ぜひ、劇場の音響で堪能してみてはいかがでしょうか。

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ドキュメンタリー映画『矛盾に抱かれて 音楽 建築 哲学 悲哀 循環』は、4月4日(土)と6日(月)に、札幌のシアターキノで上映されます。
4日の上映後には舞台挨拶のほか、畠中秀幸さんと小川紗綾佳さんによる生演奏も行われる予定です。

上映日時

①4月4日(土)午後0時10分~ 上映後、舞台挨拶・生演奏
②4月4日(土)午後0時50分~ 上演後、舞台挨拶・生演奏
③4月6日(月)午後4時45分~

劇場

・シアターキノ(北海道札幌市中央区南3条西6丁目南3条グランドビル 2F)

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シアターキノではほか11作品が上映されます。各作品の詳細は「TBSドキュメンタリー映画祭2026」公式サイトから、上映時間は「シアターキノ」ホームページからご確認ください。

前編の記事では、監督が映画に込めた思いと見どころをご紹介しています。

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2026年4月)の情報に基づきます

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