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30年前、人気絶頂の王者が放った“全編英語詞”の挑戦状。脳天をブチ抜く超高音シャウトに日本中が震えた衝撃

  • 2026.6.1

この楽曲は、J-POPの頂点に君臨するロックユニットが、自らの成功に安住することを拒み、リスナーへ叩きつけた挑戦状である。なぜなら、ミリオンセラーを連発するという圧倒的な記録の最中にありながら、あえて商業的なヒットのセオリーをすべて破壊し、洋楽ハードロックの精神性をそのまま具現化した作品だからだ。

B'z『Real Thing Shakes』(作詞:稲葉浩志/作曲:松本孝弘)ーー1996年5月15日発売

B’zの20枚目のシングルとして世に放ったこの作品は、J-POPのシングル市場における常識を根底から覆した。

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B'z(C)SANKEI

異国の言葉を血肉に変える、狂気的なハイトーン

すべての制作作業は、アメリカ・ロサンゼルスで行うという徹底した環境下で進めた。プロデューサーに迎えたのは、レッド・ツェッペリンやヴァン・ヘイレンなど、ロック史に名を残す名盤を手がけた巨匠アンディ・ジョンズである。彼とのタッグが、従来の制作システムに大きな変革をもたらすこととなった。

最大の挑戦であり、驚きとなったのは、全編英語詞という選択であった。過去に既存の日本語楽曲を英語バージョンにしてアルバム作品に収録した前例はあったものの、初出のシングル曲として全編英語詞を貫く試みは、バンドの歴史において初めての決断であった。

当初、稲葉浩志は自身で英語の歌詞を書くつもりはなかったが、プロデューサーであるアンディから強く薦められたことをきっかけに、自ら全編の英語詞を書き下ろす覚悟を決めたのだそう。

ボーカルの表現力も、これまでにない極限状態へと達している。声を張り上げるだけでなく、英語特有のアタック感とグルーヴを掴んだ歌唱は、聴き手の耳を刺すような鋭利な輝きを放つ。特にサビで炸裂する超高音のハイトーンボイスは、言葉の壁を完全に超越したダイナミズムを生み出した

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日本テレビ系ドラマ『俺たちに気をつけろ。』で日比野遥を演じた中谷美紀-1998年7月撮影(C)SANKEI

欲望の街を疾走する贅沢な仕様

この規格外のハードロックは、日本テレビ系ドラマ『俺たちに気をつけろ。』の主題歌として月曜の夜にテレビから響き渡った。保阪尚輝が演じる大友巧、袴田吉彦が演じる池場祐介、そして中谷美紀が演じる日比野遥という男女3人組の怪盗チームが繰り広げる、義賊行為と複雑な三角関係。コミカルな前半からシリアスなサスペンスへと変貌していくドラマの危うい空気感に、この乾いたギターサウンドが見事に適合し、作品の世界観を強く補完していた。

さらに本作は、2nd beat(カップリング曲)が収録されていない、1曲のみのシングルという極めて異例な形態で市場へ投入した。ジャケットもメンバーの写真を完全に排し、文字だけで構成したストイックなデザインを採用している。音だけで勝負するという強い意志の表れであった。

結果として、この攻めの姿勢は全国のリスナーに支持され、ランキングで初登場1位を獲得。最終的に110万枚を超える売上枚数を記録した。この数字は、日本の音楽市場がこの純度の高いロックを正面から受け止めた確固たる証拠である。

荒野を突き進む表現者の矜持

商業的な大ヒットを約束された地位に安住せず、自らの音楽性を解体し、再構築する。その執念と圧倒的な覚悟こそが、このロックユニットを怪物たらしめている理由だ。

アンディ・ジョンズという巨匠の前でギターを鳴らし、英語のフレーズを限界まで叫び抜いたあの瞬間の熱量は、30年という星霜を経てもなお、スピーカーの向こう側で脈打ち続けている。

安全な道を選ばず、常に茨の道を突き進む。その果てなき探求心と妥協なきこだわりが、この1曲には凝縮されている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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