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世界的な熱狂を生む新生「シャネル」。無限の可能性を秘めた“モードの夢”を描く次章

  • 2026.3.27
CHANEL

約半年前、マチュー・ブレイジーが手がけた「シャネル」でのデビューショーは、疑いようもなく大成功を収めた。今季のパリ・ファッションウィーク期間中には、2026年春夏 コレクションのアイテムが店頭に並び始め、ファッション界ではちょっとした熱狂が巻き起こっていた。ブレイジーによる「シャネル」初コレクションのピースを手に入れようと、関係者たちが何時間も列に並んだというのだ。

Carlo Scarpato / LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT

そんな高まる期待の中で発表された、彼にとって初となる「シャネル」の秋冬 プレタポルテ。ショー会場のグラン・パレに足を踏み入れると、そこはまるで幻想的な惑星の建設現場のようだった。子どもの組み立てセットを思わせるカラフルな巨大クレーンが点在し、見下ろせばホログラフィックのキャットウォークが広がる。

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現実的でありながら幻想的でもあるその空間は、ブレイジーが「『シャネル』はパラドックス」と語るそのものを体現していた。実用的なアイテムをオートクチュールの次元まで昇華させ、“現実の変革”をもたらした創業者ガブリエル・シャネルの精神にインスパイアされた彼は、魅力的で高揚感のある喜びをもたらすコレクションを披露。「私は、女性たちがありのままの自分、そしてなりたい自分をためらいなく表現できるキャンバスを創りたい」とコレクションノートに綴ったブレイジーだが、着任から1年も経たずして既にそれを実現させているように感じられる。

launchmetrics.com/spotlight
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今季中心に据えたのは、メゾンを象徴するツイードスーツ。ブラック、グレー、ニュートラルカラー、メタリック、そしてレインボー。リブニットのジャケット、ブークレツイードのワークシャツ、ブルゾン型ジャケットなど、ツイードのコードはワークウェアの要素と結びつきながら再解釈されていた。シャツはタックインされずラフにまとって、軽やかなレイヤードがどこか無造作なエレガンスを漂わせる。

launchmetrics.com/spotlight
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ツイードスーツを基盤とした序盤の実用的なルックから、ショーは昼から夜へとゆっくり変化していく。20年代のドロップウエストから、50〜60年代のシャープなラインへ。膝あたりまで落とされたウエストラインにベルトを添え、新たなプロポーションを強調する。そんな遊び心が、ブレイジーらしい軽やかなユーモアと共に、見る者の心をくすぐった。

launchmetrics.com/spotlight
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虹色に輝く素材、ビーズのニットスーツ、ルレックスのスリップドレス、透けるようなレースのドレス。ルックを追うごとにきらめきを帯びていき、没入感を与える。キャビアビーズのコートには銀のトリムが施され、メタルメッシュのスーツはプリントされたツイードモチーフで輝く。流線的なコートやドレスは動くたびに光を捉え、モデルのヘアカラーまでもがそれに呼応して、まるで花火のようにきらめいている。肌の露出はほとんどないにもかかわらず、コレクション全体は驚くほど軽やかだった。

paolo lanzi / LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT
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エナメル素材のバイカラーのパンプスやミュールは、昨シーズンよりもさらにバリエーションを拡張。脚にぴたりと吸い付くセカンドスキンのブーツはカラフルな色彩で登場し、ルックに鮮やかなアクセントを添えていた。

paolo lanzi / LAUNCHMETRICS SPOTLIGHT
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バッグは、創業者が生み出した不朽のアイコン“2.55”を軸に、レザーだけでなく、コートとリンクするツイード素材やアップリケ装飾を取り入れたモデルも披露された。メゾンのコードであるチェーンは、トートバッグやバゲット型などにも応用され、実用性と装飾性を兼ね備えた存在として彩る。 一方で、ザクロ型のミノディエールやリンゴ型バッグといった、どこかシュルレアリスティックなピースも加わり、汎用(はんよう)性を求める現代女性からコレクターまで、幅広い層を熱狂させるラインナップとなっていた。

launchmetrics.com/spotlight
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終盤では、色彩とモチーフが大胆に交錯するルックの数々が、見る者を夢の世界へと誘う。銀河のようなシルバーに輝くルックの余韻の中、ラスト2ルックはブラックホールを思わせる深い黒で締めくくられた。

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ガブリエルのスピリットを感じさせる、クラシックで美しい黒のパンツスーツ。そして大胆に開いた背中に、大きな黒いカメリアを飾ったリトル・ブラック・ドレス。その漆黒は宇宙の深淵(しんえん)のように、メゾンの未来へと続く無限の可能性を示していた。約半年後、これらのルックが店頭に並ぶ頃、再び長蛇の列が生まれても何ら不思議ではない。

Peter White / Getty Images
Hearst Owned
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