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「把握はできても深く介入できないのが現状」注意して見守りたい子どもがいた時にどうすればいい?【著者インタビュー】

  • 2026.3.25

【漫画】本編を読む

「お母さんと2人でお父さんから逃げてきてん」。小学生の時、複雑な環境で育つ同級生・ナルミと仲良くなったカヨコ。しかしナルミは突然いなくなってしまう。大人になり、民生委員という地域を見守るボランティアとして活動するカヨコの前に、18歳の母親・アカネが現れる。アカネはナルミに瓜二つ。カヨコはアカネにナルミを重ね、民生委員の仕事範囲以上に彼女を助けようと奮闘する――。

自身も民生委員、そして子育て世代に特化した支援を行う主任児童委員として活動するきむらかずよさんが描く『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』(KADOKAWA)。無縁社会に落ちてしまった母と子どもを描いたセミフィクションエッセイだ。孤立した母親が育児困難に陥り、育児放棄・虐待などの事件を起こしてしまう場合もある。本作はそんなきっかけにもなり得てしまう、子育て中特有の孤独や不安に焦点を当てた一冊。本作について、民生委員として見つめてきた社会から孤立した子育てについて、著者であるきむらさんに話を伺った。

――本作には主人公の小学生時代の友人・ナルミが登場します。ナルミは父親からの暴力から逃れるため、夜逃げして主人公が住む町にやってきた母子家庭のひとりっ子。夜はいつもひとりで留守番しているなど複雑な家庭環境にあります。キャラクターを考える上で参考にしたものはありますか?

きむらかずよさん(以下、きむら):自分が子どもの頃に住んでいた街で出会った人たちですね。その頃、私の周りにはナルミのような子が何人かいました。その子たちをパズルのピースみたいに繋げて、ナルミになりました。

――ナルミの母に新しい恋人ができて以降、ナルミを取り巻く環境は悪化しており、学校でもそれを把握している描写がありました。しかしそこに手を打つ様子は描かれていません。実際ナルミのような子がいた場合、学校側が何かしら働きかけることはないのでしょうか?

きむら:当時ナルミのような子に対して先生が何かしていたのを見た記憶もありませんし、今も難しいみたいですね。目を光らせることはもちろんできるんです。「こういう子がいるから気を付けて見守ろう」というのは学校・児童館・私たち地域で把握していることは多いです。ただ明確に虐待行為があるとわからないと、具体的に何かしたりすることは難しいのが実情です。児童相談所は別として、地域のコミュニティでは家の中まで踏み込んだりする権限はどこも持っていないんですよね。実際、私が地域の活動で知り合った子も、「うちお父さんが今こうやねん、お母さんこうやねん」などと「これは良くないのでは?」と思うような現状を話してくれる子がいました。学校でも話しやすい先生には話しているみたいでしたし。しかしそのような場合でも、把握はできても深くは介入できないのが現状です。

――そのあたり民生委員、主任児童委員として活動する上で「もっとこうだったらいいのにな」と思うことはありますか?

きむら:私たちは行政に報告するのですが、行政からは私たちに報告がないんです。学校が知っている情報も私たちには来ないので、情報を共有してもらえたらなとはいつも思っています。もちろん個人情報保護の観点から難しいことは理解していますが、もし知っていたらその子どもに意識して声をかけたり、できることがあるのにな、と…。

取材・文=原智香

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