1. トップ
  2. 恋愛
  3. 彼女なりに子どもを愛していても“虐待”になってしまう…。虐待加害者となった女性の背景に迫った本との出会いで生まれた漫画『その叫びは聞こえていたのに』【著者インタビュー】

彼女なりに子どもを愛していても“虐待”になってしまう…。虐待加害者となった女性の背景に迫った本との出会いで生まれた漫画『その叫びは聞こえていたのに』【著者インタビュー】

  • 2026.3.20

【漫画】本編を読む

「お母さんと2人でお父さんから逃げてきてん」。小学生の時、複雑な環境で育つ同級生・ナルミと仲良くなったカヨコ。しかしナルミは突然いなくなってしまう。大人になり、民生委員という地域を見守るボランティアとして活動するカヨコの前に、18歳の母親・アカネが現れる。アカネはナルミに瓜二つ。カヨコはアカネにナルミを重ね、民生委員の仕事範囲以上に彼女を助けようと奮闘する――。

自身も民生委員、そして子育て世代に特化した支援を行う主任児童委員として活動するきむらかずよさんが描く『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』(KADOKAWA)。無縁社会に落ちてしまった母と子どもを描いたセミフィクションエッセイだ。孤立した母親が育児困難に陥り、育児放棄・虐待などの事件を起こしてしまう場合もある。本作はそんなきっかけにもなり得てしまう、子育て中特有の孤独や不安に焦点を当てた一冊。本作について、民生委員として見つめてきた社会から孤立した子育てについて、著者であるきむらさんに話を伺った。

※この記事は虐待に関する内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

――本書を描くきっかけのひとつが、石井光太さんの『育てられない母親たち』(祥伝社)という書籍との出会いだったと、あとがきに書かれていますよね。

きむらかずよさん(以下、きむら):はい、大阪二児餓死事件(編集注:2010年夏、大阪のマンションで3歳の女児と1歳9ヶ月の男児が放置された末に亡くなった事件。社会に大きな衝撃を与え、映画『子宮に沈める』といった作品の基になった)のルポルタージュを読んだことがきっかけです。事件を起こした母親についての記述を見た時に「こういう少女に出会ったことがあるな」と思ったんです。高校生の同級生たちのことを思い出したんですね。つまり、事件を起こした母親は遠い世界の特殊な人ではなく、自分の身近にもいるかもしれない、と感じました。そこから“虐待をしてしまうお母さん”という存在に興味を持って、石井さんの本に出会いました。

――どんな内容なのでしょうか?

きむら:虐待をする母親の背景や事情について深く掘り下げて描写された本です。虐待事件って、ニュースでは事件の概要しか報道されませんよね。「なぜそういう状況に至ったのか」を詳しく掘り下げることで、母親の責任だけでなく社会全体の問題として児童虐待や育児困難を考えるきっかけになるような印象の本でした。

――そこからどんなことを感じて漫画を描こうと思われたのでしょうか?

きむら:本当になんでもないというか、特別ではない女の子が“虐待をするお母さん”になってしまったんだと。彼女たちの幼さゆえの危うさとか未完成な部分、そういうところが同級生たちとリンクして想像できたというのがあります。誰しも最初は未完成な存在から社会生活を通じて成長していくわけですけども、幼少期に受けた出来事や周囲の大人や環境によっては問題を起こすようになってしまう。そういう背景を描くことで、この問題は身近なものであることを伝えたいと思いました。

取材・文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる