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初デートでワリカンなんて…ちょっと昭和な感覚を持つ34歳婚活女性が、令和の価値観にアップデートしていくラブコメディ【書評】

  • 2026.3.15

【漫画】本編を読む

『「女はおごられて当然」と思ってる昭和引きずり女が、婚活した話』(コニシナツコ/KADOKAWA)は、令和の婚活事情と、私たちが無意識に抱えている「古い価値観」のズレを、鋭くかつコミカルに描いた作品だ。

主人公の脇田アイコは34歳。彼女の恋愛観はどこか昭和の香りが漂っている。「デート代は男が出すべき」「おごってもらうことで大事にされていると実感する」という考えだ。そんな彼女がマッチングアプリで年下のITエンジニア・こうきと出会う。上場企業勤めで将来安泰、なにより結婚願望もある彼に「とにかく条件がいい!」と期待したアイコだったが、初デートで突きつけられたのは「1円単位のワリカン」という彼女にとって衝撃の現実だった。

この支払いをめぐるふたりの対立が本作のテーマを端的に表す。アイコにとってワリカンは「女として見られていない証拠」であり、屈辱にすら感じられるもの。一方、合理主義者のこうきは「対等な関係なら、互いに自分の分を払うのが普通ではないか」と淡々と語る。価値観が真正面からぶつかるこのやり取りは、読み手に「愛情の深さと金銭」を結びつけるべきかという問いを投げかける。そして、こうきと関わっていくなかで、アイコは自分の中にあった「当たり前」を少しずつ疑い始める。固定観念を軽やかに覆していく彼の言動に、彼女は次第に惹かれていくのだ。

本作の面白さは、アイコという一人の女性が、凝り固まった自分自身の価値観を少しずつアップデートしていく過程にある。「誰かに守られたい」という願いを持つことは決して悪ではないが、本当の幸せとは、誰かに依存することではなく対等な相手と尊重し合える関係の中にこそあるのだと教えてくれる。

読後には自分の中にある「こうあるべき」という硬い殻が、少しだけ柔らかくなったような感覚を覚えるはずだ。婚活中の人はもちろん、常識と思っていたことを見直してみたい人にも手に取ってほしい作品だ。

文=ゆくり

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