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「『ウィキッド』に関われたことが誇らしい」高畑充希&清水美依紗が語る“自分を変えてくれた出会い”

  • 2026.3.14

ブロードウェイミュージカルの傑作を映画化した『ウィキッド ふたりの魔女』(25)の続編となる最終章『ウィキッド 永遠の約束』が公開となり、“悪い魔女”エルファバと“善い魔女”グリンダのまぶしくも切ない物語がついにフィナーレを迎えた。魔法いっぱいの世界を舞台に、かけがえのない友情とそれぞれの信念を力強く描く本作。珠玉の楽曲たちに彩られたドラマが観客の心を掴んでいるが、前作に引き続き日本語吹替版を続投した高畑充希と清水美依紗も、本シリーズに大いに魅了されている2人。名曲「フォー・グッド」の収録秘話をはじめ、「ウィキッド」との出会いがくれた勇気や希望について、高畑と清水が語り合った。

【写真を見る】エルファバとグリンダさながら!グリーン&ピンクコーデが美しい高畑充希&清水美依紗

前作を上回るロケットスタートを切った『ウィキッド 永遠の約束』 [c]Universal Studios. All Rights Reserved.
前作を上回るロケットスタートを切った『ウィキッド 永遠の約束』 [c]Universal Studios. All Rights Reserved.

「前作とはまた違った緊張感がありました」(高畑)

少女ドロシーの冒険を描いた名作小説「オズの魔法使い」の舞台を背景に、最も嫌われた“悪い魔女”と最も愛された“善い魔女”の過去を、それぞれの視点から明らかにする本作。数多くの受賞歴を誇るジョン・M・チュウが前作に続いて監督を務め、第83回ゴールデン・グローブ賞でも演技賞と歌曲賞にWノミネートされたエルファバ役のシンシア・エリヴォ、グリンダ役のアリアナ・グランデのほか、フィエロ役を務めるジョナサン・ベイリーら豪華キャストも再集結した。日本語吹替版では、自由のために孤独に戦う“悪い魔女”エルファバ役を高畑。オズの民衆の希望である“善い魔女”グリンダ役を、清水が担当している。

【写真を見る】エルファバとグリンダさながら!グリーン&ピンクコーデが美しい高畑充希&清水美依紗 撮影/島村幸志
【写真を見る】エルファバとグリンダさながら!グリーン&ピンクコーデが美しい高畑充希&清水美依紗 撮影/島村幸志

――前作からエルファバとグリンダを続投されたお2人。最終章にはどのような意気込みで臨みましたか?

清水「前作はエルファバが歌い上げる場面で幕を閉じ、私自身、映画版としてその続きがどのようになるのか想像もつきませんでした。蓋を開けてみると、ミュージカル版では描かれてこなかった、それぞれのキャラクターの心の動きがすごく繊細に描かれていて。さらに新曲も加わり、物語もより華やかになっていたので『やるぞ!』という強い気持ちで臨みました。一方で、これで終わってしまうんだという寂しさもありました」

高畑「私は前作を映画館で2回、観ています。字幕版も吹替版も観たんですが、大きなスクリーンで観るとさらに彼女たちのドラマに衝撃を受け、自分が吹替えとして出演できていることに高揚感を覚えて。観終わった時には『続きはどうなるんだ!』とすぐに最終章に気持ちが向かいましたが、この世界観を壊してはいけないというプレッシャーも生まれました。前作はすべて手探りのように突き進んでいきましたが、今回はよりよいもの、より楽しんでもらえるものにしたいと思いながら取り組んだので、前作とはまた違った緊張感があったように思います。また今回は、エルファバの歌がものすごく難しくて…。そういった意味でも、ドキドキしていました」

孤独を深めていくエルファバを力強い歌声で表現した高畑充希 撮影/島村幸志
孤独を深めていくエルファバを力強い歌声で表現した高畑充希 撮影/島村幸志

――「ノー・グッド・ディード」などエルファバが気持ちを爆発させる、大変激しい楽曲もありました。

高畑「激しい歌に取り組む時、ちょうど妊婦だったので。胎教にはどうなんだろうと思いましたが、おかげで多少の音では起きない子が生まれてきました(笑)。エルファバの経験が注がれて、よかったなと思います」

――前作からより深まった、エルファバとグリンダの葛藤や友情が映し出されていきます。演じるうえで、また新たな挑戦になったことについて教えてください。

清水「かわいらしさやチャーミングさを引き続き持ちながらも、今回のグリンダは民衆の前に立つプレッシャーとエルファバへの強い想いの間で揺れ動いたり、いろいろと葛藤していきます。そういったグリンダの感情や迷い、そして成長を声に乗せることはとても難しいことでもありました。でも前作からエルフィー(エルファバ)との関係性が構築されていったことで、エルフィーと話す時だけではなく、民衆の前で話すトーンも落ち着いて演じることができて。そういった意味でも、グリンダの役作りはすべて、エルフィーとの関係性でできあがったものだと感じています」

民衆に愛されるグリンダ [c]Universal Studios. All Rights Reserved.
民衆に愛されるグリンダ [c]Universal Studios. All Rights Reserved.

――民衆の前で見せる笑顔の裏側で、たくさんの葛藤を抱えているグリンダ。清水さんご自身、共鳴するところはありましたか?

清水「自分の人生と重ね合わせてみると、グリンダの悩みに共感する部分もたくさんあり、自然と演じられたように思います。前作以上に、グリンダの人間臭さや完璧ではない部分が見えたことで、私自身、とてもうれしかったです」

――エルファバは今回、自らの信念と共にどんどん孤独を深めていくことになりました。

高畑「前作に引き続き、エルファバは正義感が強すぎるあまり、『もうちょっと緩くいこうよ』と思うようなところでも妥協ができない。それが彼女の魅力でもあり、欠点でもありますよね。でも自分が信じている道から外れることができないと感じることは私もありますし、頑固だと言われても譲れないものって、きっと誰もが持っているものだとも思うんです。そんななかでエルファバに対して前作から強く感じているのは、本当にまっすぐで、邪念がないということ。とてもピュアでやさしい人なので、どんなに“悪い魔女”と言われるようになったとしても、そこにはなにか理由があるはず。だからこそ、エルファバのやさしさを忘れずに演じたいと思っていました。映画版のクライマックスには、『そうなるか!』という驚きもありました。個人的には、とても好きな終わり方です」

「高畑さんのエルファバに、いつも心を動かされる」(清水)

清水美依紗は、持ち前の歌唱力で明るく軽やかなグリンダを熱演 撮影/島村幸志
清水美依紗は、持ち前の歌唱力で明るく軽やかなグリンダを熱演 撮影/島村幸志

――お互いの演じる日本語吹替版のエルファバ、グリンダの好きなところは、どのようなところでしょうか。

清水「高畑さんは、強さと繊細さの表現が本当に巧みで。私は高畑さんの収録のあとに声を吹き込ませていただけることが多く、いつも高畑さんのエルファバと会話をする形で収録することができました。それが本当にありがたくて…。毎回、心を動かされながら演じていましたし、だからこそエルファバとの関係性を大切にしながら、グリンダを演じきることができました。特に本作で私が大好きなシーンは、エルファバとグリンダが恋のいざこざを巡って、本音をぶつけ合って喧嘩をする場面。高畑さんの表現がすばらしく、本気でムカッときました(笑)」

高畑「あはは!私は、もともと美依紗の声が大好きで。パワフルな歌を歌っているのをよく聴かせていただいていたので、最初は美依紗がグリンダを演じるということが想像できなかったんです。でも初めてアリアナの顔から美依紗の声がパッと聴こえてきた時に、『めちゃくちゃグリンダだ!』と思って」

清水「ええ…!うれしいです!」

高畑「軽やかであり、かわいらしくもあり、そしてなによりリズム感が抜群。難しい曲も多いなか、聴いているこちらの気持ちも乗せてくれるようなグリンダで、前作を観終わった時には『めっちゃ、よかった!』とすぐにメッセージを送りました。『フォー・グッド』の場面では、1作目、2作目を通して初めて、美依紗の目を見ながら一緒に収録ができたんです。とてもうれしかったですし、美依紗とガシッと組めた実感があります」

――「フォー・グッド」は、最終章を代表する楽曲です。エルファバとグリンダのお互いへの愛情や出会いへの感謝があふれる、すばらしい場面となっています。

高畑「それまでは別々に収録をしていたので、『フォー・グッド』を一緒に収録して美依紗の声を聴いた時に、『映画館で聴いていた声だ!』とものすごく感動して。『本物と歌っている!』みたいな(笑)」

清水「私も同じです(笑)!そして高畑さんの目を見ながら歌うことで、涙腺が刺激されてしまって。当日はとても緊張したんですが、高畑さんとの心のつながりを感じることができました」

高畑「私も緊張しました。デュエットを1人で歌うというのはとても難しいもので、やっぱり目を見て、呼吸を合わせて歌えると、エルファバとグリンダの友情をたどるうえでも、相手の目線やちょっとした顔の動きにもすごく助けられるんです。気持ちも楽になりますし、乗せていってもらえる感じがあってとても心地よかったです」

「この作品に関われたことが誇らしい」(高畑)

高畑充希は「ウィキッド」とシンシア・エリヴォの大ファン 撮影/島村幸志
高畑充希は「ウィキッド」とシンシア・エリヴォの大ファン 撮影/島村幸志

――高畑さんは、以前から「ウィキッド」オタクであることを公言されています。そんな「ウィキッド」の世界に飛び込んでエルファバ役を演じきったことは、ご自身にとってどのような経験になりましたか。

高畑「私にとってひとつ、大きな自信になりました。歌のフェイク(原曲のメロディやリズムにアレンジを加えること)の部分やセリフまで、すべてシンシアの口に合わせて役柄を演じていくというのは、舞台の上で歌うこととはまったく違うことが求められます。これまでやったことがないこと、できないことがたくさん現れて、ひとつひとつ練習をして、みんなと相談を重ねていきました。チームのみんなで一緒にクリアしてきたという気持ちが強く、ひとつになってやってきたことが自信につながっています。この作品に関われたことが誇らしく、勇気を出してオーディションを受けようと思い立って、本当によかったなと感じています」

――高畑さんにとっても、エルファバとの出会いは大きなものになりましたね。

高畑「エルファバ自身、とてもパワフルなキャラクターで刺激を受ける部分もあります。そして私はシンシアのお芝居や歌がもともと大好きなので、彼女の視線や歌声にもものすごく感化されました。ミュージカル映画って日本ではなかなか出会うことが難しいものですが、本作のように俳優と歌、演技が鮮やかにコラボレーションするような現場が現れたとしたら、私も生身として入ってみたいなと。そんな希望ももらった作品です」

箒で空を飛ぶエルファバ [c]Universal Studios. All Rights Reserved.
箒で空を飛ぶエルファバ [c]Universal Studios. All Rights Reserved.

「『自分に驚け』という言葉を大切に…」(清水)

――清水さんも、もともとアリアナ・グランデの大ファンだったそうですね。

身支度をするグリンダ [c]Universal Studios. All Rights Reserved.
身支度をするグリンダ [c]Universal Studios. All Rights Reserved.

清水「アリアナは、私の青春です。俳優さん、そして歌手として、まったく違う顔を見せてくれるアリアナに惹かれ、『私もこの人のように華やかなステージで歌いたい』と憧れ続けていまに至ります。そんなアリアナにとって夢だったグリンダ役を演じさせていただけるなんて、信じられないような、大きな夢が叶った出来事でした。同時に『ウィキッド』は世界中で愛されている作品なので、作品や役を背負っていくというのはこんなにも大変なことなんだという責任感を抱くことになりましたが、高畑さんとご一緒できた経験を通してたくさんのことを学ぶことができました。そしてこの作品に出会えたことで、人との関わり方について改めて考えることができました。人はつい、相手のことを自分が見たいように見てしまうもの。でも視点を変えると、まったく違うものが見えてくる。これから出会う人や接する人に対しても、ひとつの見方にとらわれず、いろいろな角度から見ていきたいと思っています」

――エルファバとグリンダにとってお互いとの出会いは、自分を変えてくれるものとなりました。お2人にとって、「自分を変えてくれた出会い」があれば教えてください。

高畑「やっぱり、ミュージカルかなと思います。いつ出会ったんだろう…。舞台をよく観に行く家で育ったので、おそらく幼稚園くらいのことだったと思いますが、観ていくうちに『私は、絶対に舞台に立つ側になりたい』と思うようになり、その気持ちだけでここまで突き進んできました。その出会いがなかったら、いまの私はいません。お芝居や歌を観ているのも楽しかったんですが、なんだか舞台に立つ人たちが、ものすごく楽しそうに見えたんですね。本当はいろいろな努力や困難を乗り越えたうえでその場に立っているわけですが、私にはとてもキラキラしたものに見えた。劇場という空間も、大好きです。ギュッと集中したり、パッと開けたり、いろいろな波があって、そのすべてを舞台上の人たちが司っているような気がして。いまでも舞台が幕をあける初日は、毎回、この場所が好きだなと思います。向いているかどうかは別として、とてもいいお仕事に就けたなと感じています」

「アリアナは私の青春」と語るほど大好きなアリアナ・グランデが演じるグリンダの日本語吹替えを務めた清水美依紗 撮影/島村幸志
「アリアナは私の青春」と語るほど大好きなアリアナ・グランデが演じるグリンダの日本語吹替えを務めた清水美依紗 撮影/島村幸志

清水「高校を卒業して、歌手を目指す過程としてニューヨークで学び始めたんですが、そこで先生から表現についていろいろと学んでいくなかで、『ステージに出る際、時には準備をしないほうがいいこともある』と教えていただいて。そこで“サプライズ・ユアセルフ(自分に驚け)”という言葉をいただき、いまでもそれを大切にしています。『ステージではこういうふうに歌いたい』『完璧にやり遂げたい』と完璧主義になっていた自分の心をすっとほどいてくれたようなところもあり、考え方が大きく変わりました。舞台って本当に生もので、毎回が驚きの連続であり、いつも違うものが生まれるんですね。環境や人が変われば、その時々、そのステージごとの表現がある。“サプライズ・ユアセルフ(自分に驚け)”というモットーを胸に、その都度、新しい表現と出会えたらうれしいなと思っています」

取材・文/成田おり枝

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