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「強炭酸水」が長時間ゲームの脳疲労を軽減する

  • 2026.3.13
強炭酸水がゲーマーの疲労感軽減に役立つ / Credit:Canva

eスポーツに参加するゲーマーの飲み物といえばエナジードリンクといったイメージを持っているかもしれません。

実際、長時間のプレーでは、カフェインや糖分を含む飲料で眠気や疲れに対抗しようとする場面が少なくありません。

ですが、筑波大学の研究チームは、無糖の強炭酸水でも長時間プレーに伴う認知疲労を和らげられる可能性があることを示しました。

3時間のバーチャルサッカーを行った実験では、真水よりも疲労感の増加が抑えられ、判断力に関わる実行機能の低下も起こりにくくなりました。

この研究成果は2026年1月24日付の学術誌『Computers in Human Behavior Reports』でオンライン公開されました。

目次

  • 長時間のゲーム中に「強炭酸水」を飲むと疲労感が軽減される
  • 強炭酸水はゲーマーの集中力と健康を支える「いつものドリンク」に最適

長時間のゲーム中に「強炭酸水」を飲むと疲労感が軽減される

eスポーツは、座ったまま行う活動ですが、頭の中ではかなり激しい作業が続いています。

相手の動きを見て、次の展開を予測し、瞬時に判断して操作する。その繰り返しです。

こうした状況では、長く続けるほど、筋肉より先に注意や判断、ミスを抑える力が落ちてくることがあります。

研究者たちが注目したのは、この認知疲労です。

認知疲労とは、頭を使う作業が長く続いた結果、判断が遅くなったり、注意が散りやすくなったりする状態を指します。

しかも厄介なのは、自分ではまだそれほど疲れを感じていなくても、脳の働きはすでに落ち始めている場合があることです。

ゲームだけでなく、勉強やデスクワーク、運転などでも起こり得る現象です。

こうした疲れへの対策として、コーヒーやエナジードリンクがよく使われます。

カフェインや糖分には短期的に覚醒を助ける働きがありますが、日常的に頼りすぎると睡眠や健康への影響が気になります。

そこで研究チームは、糖分もカフェインも含まない強炭酸水に注目しました。

炭酸水は喉や口に刺激を与えます。

この刺激が脳の覚醒に関わる神経の働きを支える可能性が、以前から示唆されていたためです。

実験には、日常的にゲームをする若い成人14人が参加しました。

参加者は別々の日に2回、サッカーゲームのeFootballを3時間プレーします。

片方の日は強炭酸水、もう片方の日は真水を飲みながらプレーし、その違いを比べました。

これは同じ人が両方の条件を体験する方法で、飲み物の違いを見やすくするためです。

飲料は冷やした状態で、合計500ミリリットル飲まれました。

研究では、1時間ごとに「どれくらい疲れたか」「どれくらい楽しいか」を答えてもらったほか、フランカー課題というテストで実行機能を測りました。

さらに、プレー中は瞳孔の大きさ、心拍数、血糖値、唾液中のコルチゾルも調べられています。

こうした実験の結果、強炭酸水を飲んだときのほうが、真水よりも疲労感の増加が小さく、楽しさが高く、実行機能の低下も起こりにくい傾向が見られました。

さらに、プレー中のファール数も少なくなりました。

ただし、得点やシュート、パスなど、攻撃や守備のパフォーマンスそのものが大きく伸びたわけではありません。

強炭酸水は、ゲームをうまくするというより、長時間プレーで起きる頭の疲れを和らげる方向に働いたと見るのが自然です。

それでは、実験のより詳しい結果を次項で見てみましょう。

強炭酸水はゲーマーの集中力と健康を支える「いつものドリンク」に最適

より細かく結果を見ると、真水の条件ではプレー時間が長くなるにつれて、主観的な疲労感が増え、判断の速さや正確さも落ちていきました。

一方、強炭酸水の条件では、こうした低下が抑えられました。

プレーそのものの勝敗に直結する能力が急に上がったわけではありませんが、少なくとも長時間プレーにともなう認知疲労の進行を遅らせた可能性があります。

特に興味深いのが瞳孔径です。

真水では時間がたつにつれて瞳孔が縮小しましたが、強炭酸水ではその縮小が抑えられました。

瞳孔の変化は前頭前野の働きや覚醒状態と関係すると考えられており、研究では、瞳孔の縮小が大きいほど判断の遅れも大きい傾向が見られました。

では、なぜ炭酸水でこうした変化が起きたのでしょうか。

研究者らは、炭酸水が口や喉に与える刺激に注目しています。

炭酸のピリッとした感覚は、咽頭の感覚受容体を通じて脳幹に伝わり、そこから覚醒や実行機能に関わる神経活動を支える可能性があると考えられています。

簡単に言えば、炭酸水はコーヒーのように強く押し上げるというより、感覚の刺激で脳の覚醒をそっと支えるような働きをしているのかもしれません。

もっとも、これは今回の研究で直接証明されたわけではなく、あくまで既存の知見を踏まえた有力な説明です。

もう一つ重要なのは、心拍数、血糖値、コルチゾルに大きな差がなかったことです。

つまり、強炭酸水は糖分やカフェインのように代謝やホルモン反応を強く動かさなくても、脳の働きを支える可能性があります。

この点は、健康面を考えると大きな魅力でしょう。

毎回エナジードリンクに頼らなくても、より穏やかな方法で頭の疲れに対処できるかもしれないのです。

ファール数が減った点も見逃せません。

攻撃や守備の成績は大きく変わらないのに、反則だけが少なくなったということは、強炭酸水が抑制の働きを保つ助けになった可能性があります。

論文でも、この点はフェアプレーを促進する可能性として言及されています。

eスポーツの場面だけでなく、長時間の勉強や仕事のように、ミスや判断の乱れを減らしたい状況にも応用の余地がありそうです。

ただし、この研究には限界もあります。

参加者は14人と少なく、しかも若いカジュアルゲーマーに限られていました。

プロ選手や高齢者、日常的にゲームをしない人でも同じ結果が出るかは分かりません。

また、今回は強炭酸水と真水の比較であり、コーヒーやエナジードリンクとの直接比較ではありません。

それでも今回の研究は、無糖の強炭酸水という身近な飲み物が長時間の頭脳活動を支える可能性を示した点で興味深い成果です。

派手な「勝利のドリンク」ではありませんが、少なくとも頭の疲れを少し和らげる「いつものドリンク」としては、かなり有望なのかもしれません。

参考文献

A Simple Drink Choice Helps Gamers Stay Focused For Hours, Study Finds
https://www.sciencealert.com/a-simple-drink-choice-helps-gamers-stay-focused-for-hours-study-finds

強炭酸水の飲用がeスポーツによる認知疲労を軽減する
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20260220140000.html

元論文

Sparkling water consumption mitigates cognitive fatigue during prolonged esports play
https://doi.org/10.1016/j.chbr.2026.100943

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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