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「もっと抱きしめておけばよかった」母の緩和病棟での最期の日々を振り返って【著者インタビュー】

  • 2026.3.8

【漫画】本編を読む

大好きな母と、母と自分を苦しめてきた父がほぼ同時期にがんと宣告された枇杷かな子さん。そこから約2年間の間ダブル介護に取り組んだ日々を綴ったのが『今日もまだお母さんに会いたい』(KADOKAWA)だ。

枇杷さんの前作『余命300日の毒親』は自身の父との記憶をベースにしたセミフィクション。本作にはそのモデルになった父と、母の闘病生活を支えた日々が描かれる。母を虐げ続ける父を介護する葛藤、迫り来る大好きな母との別れへの不安、そしてそれぞれの看取りと母を亡くしてからの感情……。本心を隠すことなく描かれるその物語には、自分自身の両親との別れを重ねずにはいられない。枇杷さんに当時の心境から経験者としてのアドバイスまで、さまざまなお話を伺った。

――本作にはお母さまとの緩和病棟での最期の日々、看取りについても描かれています。記憶に残っているのはどんなことですか?

枇杷かな子さん(以下、枇杷):母の場合、聴力は問題なく、先生から「聞く力は最後まで残っているので声をかけてあげてください」と言われて。ずっと声をかけていたことは今思い返しても良い記憶として残っています。

反対に、思考がぼやける前に抱きしめておけばよかったなと後になってすごく思いました。照れくさいのもあるし、もう最期という段階でやると母に「もうそろそろ死ぬんだな」って思わせてしまうんじゃないかと思ってしまって。マンガにも描いたのですが「大好きだよ」という言葉も死期を感じさせてしまう気がして言えなくて。そこまで考えなくても良かったのかなと今になって思います。

――葬儀ではお母さまの柩に参列者の方からメッセージを入れてもらったとありました。

枇杷:これは叔母が「やっておくといいよ」と提案されましたが、最初私は「もうこれ以上やることを増やしたくない」と思っていて。実際、結構手間がかかったので簡単にはお勧めできないのですが、終わった後はやってよかったなと感じました。というのも子どもの立場だと、葬儀に来てくれた方が誰なのかよくわからないんですよね。仕事関係の方もいればお友達もいらしてくれて。でも書いていただいたメッセージを見るとこういう方が来てくれたんだとわかったり、知らなかった母のエピソードを知れたりもしました。

――お母さんが亡くなってからあまり涙を流せなかったとありました。振り返るとどんな心境でしたか?

枇杷:気を張りすぎていたんですね。父が亡くなってから母が亡くなるまで間が1ヶ月もなくて。もう一度泣いたら崩れてしまうなという精神状態でした。特に葬儀の時は自分が喪主でこの時間内にこれをやって、この音楽が流れたらこれをやる……と全部決まっていたので。私が泣き崩れてしまったらその進行も全部だめになる、と思ったら泣けなかったんです。

取材・文=原智香

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