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注目の女性デザイナー4人が集結! 彼女たちが今見ている景色と未来への展望とは?【女性デザイナーの現在 vol.3】

  • 2026.3.7
青木明子(AKIKOAOKI), 幾左田千佳(CHIKA KISADA), 舟山瑛美(FETICO), 木村由佳(MUKCYEN)
青木明子(AKIKOAOKI), 幾左田千佳(CHIKA KISADA), 舟山瑛美(FETICO), 木村由佳(MUKCYEN)

──通常なら最後に伺う質問だとは思いますが……、皆さんが目指している方向性を確認するためにも、それぞれの目標をまずお聞かせいただけないでしょうか。

幾左田千佳(以下・幾左田) 国境を越えて、多くの人の心に届くような存在になることを目指し続けたいです。「世界各地の劇場で踊ってみたい」というバレエダンサーの感覚に近いのかも。それが自身の成長やクリエイションの豊かさにつながる気がするんです。

青木明子(以下・青木) 私も、グローバルに展開したいという気持ちがすごくあります。

舟山瑛美(以下・舟山) フェティコ(FETICO)が国内である程度浸透してきたので、まだ手探り状態ではあるのですが、海外にアプローチしていこうか、という考えにはなっています。

木村由佳(以下・木村) 今はまだ日本だけでの展開なのですが、もっと海外のショップやメディアに取り上げてもらいたいです。

──共通してグローバルに活躍したい、という意志をお持ちなのですね! そのために具体的に行動されていることはありますか?

舟山 まだ2シーズンくらいなのですが、パリのPR会社にサンプルを置いてもらい、少しでも認知度を上げようとはしています。

青木 ここ数年、パリで展示会を行っています。パリに行くと、街の景観やスタイルを確立している現地の人々の姿からも刺激を受けるんですよね。また、ヴィジュアルを制作する際に、グローバルに活躍しているスタッフの起用を心がけています。彼らの眼差しも勉強になります。

木村 「JFW ネクスト ブランド アワード 2026」でグランプリを受賞したことで、3月には、パリのショールームに出展することが決まっています。海外の方の体型にも対応するサイズ展開を検討したいと思っています。

舟山 日本のお客様はデザインコンシャスでスタイリングが難しいアイテムに挑戦する方が多いですが、海外は必ずしもそうではないと聞きます。サイズに加え、女性像ももう少し幅広い層に受け入れられるよう設定せねばなりません。

幾左田 世界で存在感を出すためにも常に自分が伝えたいことをクリアにしようとは思っていますが、柔軟な姿勢も大事。そのためには心の余白を作り、できるだけ感受性を豊かにしておくようにしています。

パンキッシュに煌めくバレエの世界 <br /> デザイナーの幾左田千佳はバレエに触れて育ち、2014年に自身の名を冠したブランドを始動。バレエのエレガンスとパンキッシュな精神を表現している。26年春夏は「理想の身体の形」を追い求め、アーティストの林ひかりともコラボレーション。フリル付きのタンクトップに合わせた構築的なスカートは、バレエダンサーの立ち姿や、体の内側から沸き起こるエネルギー・緊張感をイメージした佇まいが印象的。タンクトップ ¥31,900 スカート 参考商品╱ともにCHIKA KISADA(チカ キサダ)
デザイナーの幾左田千佳はバレエに触れて育ち、2014年に自身の名を冠したブランドを始動。バレエのエレガンスとパンキッシュな精神を表現している。26年春夏は「理想の身体の形」を追い求め、アーティストの林ひかりともコラボレーション。フリル付きのタンクトップに合わせた構築的なスカートは、バレエダンサーの立ち姿や、体の内側から沸き起こるエネルギー・緊張感をイメージした佇まいが印象的。タンクトップ ¥31,900 スカート 参考商品╱ともにCHIKA KISADA(チカ キサダ)

──海外進出にあたり、皆さんのルーツである「日本」を打ち出すことも戦略の一つとなるのでしょうか。

木村 2025年9月にパリで開催された素材見本市「プルミエール・ヴィジョン」に参加し、日本発であることを打ち出す必要性を感じました。私は生地の繊細さが日本の良さだと思っているので、引き続き生地にこだわり続けたいです。

舟山 日本の素材にポジティブな見方をしてくれるバイヤーさんはすごく多いですよね。私は特別意図して日本的なものを入れようとはしていませんが、良いと思う素材には日本製が多い。ブランドのアイデンティティを形成する一つになっているとは思います。

幾左田 上質な生地はもちろん、理想のフォルムを作り上げるのに、高度な日本の技術はとても助けになります。贅沢な環境でものづくりができていることを常に感謝しています。

青木 私も大々的に「日本」を謳ってはいませんが、日本ならではの価値観は反映されていると思います。たとえば、アキコアオキ(AKIKOAOKI)のキーワードにしている、日本でなじみの深い「ユニフォーム」がそうです。その均一性に対する反発や受容がクリエイションの元になっているんです。さらに、頭から爪先までトータルコーディネートするのも日本的だと思いますが、私にもそういう面がある気がします。オリジナリティを追求していくと、自然と「日本」が滲み出るのではないでしょうか。

フェティッシュに探るボディと服の新しい関係 <br /> 国内ブランドで経験を積んだ舟山瑛美が2020年に設立。女性の体の造形美を軸にしたものづくりを続けている。26年春夏は「byR」の支援を受けてショーを開催。フォトグラファー、イリナ・イオネスコと現代美術家、レベッカ・ホルンに着想を得てより大胆に肌を露わにし、職人技を駆使した手の込んだディテールも見せた。9種類のレースを刺繍ではぎ合わせた素材を用いたロングドレスは、ブランドの持つセンシュアルな魅力を存分に発揮。ドレス ¥550,000 ピアス ¥31,900╱ともにFETICO(ザ・ウォール ショールーム)
国内ブランドで経験を積んだ舟山瑛美が2020年に設立。女性の体の造形美を軸にしたものづくりを続けている。26年春夏は「byR」の支援を受けてショーを開催。フォトグラファー、イリナ・イオネスコと現代美術家、レベッカ・ホルンに着想を得てより大胆に肌を露わにし、職人技を駆使した手の込んだディテールも見せた。9種類のレースを刺繍ではぎ合わせた素材を用いたロングドレスは、ブランドの持つセンシュアルな魅力を存分に発揮。ドレス ¥550,000 ピアス ¥31,900╱ともにFETICO(ザ・ウォール ショールーム)

──日本をルーツに持つことに加え、女性であることも皆さんの共通点です。それはウィメンズウェアを作るにあたって、どんな影響を与えているでしょうか。

舟山 着る人に対する解像度がすごく高いとは思っています。女性デザイナーが手がける服には、「着たい」と思わせるものが多い気がする。でも一方で、男性が作る服にはファンタジーが感じられて、時に強く映ることがあるんです。ですから、「リアリティ」と「夢」のバランスは意識するようにはしています。

木村 女性の体を持つ私にできることとして、自分と近い体型の女性や、同じ美意識を共有できる方へ、服を提案したいと考えています。

幾左田 私は自分が着たいかどうか、という視点は大切にしていますが、性別は関係なく、自由に解釈してもらえる服を作りたいです。

青木 私も「女性として作っている」という意識はあまりないのですが、当事者だからこそ「女性」を俯瞰的に捉え、時に女性ならではのエクストリームなデザインを手がけることができているような気もします。

ダークに薫るデジタル世代の美意識 <br /> 日本と中国にルーツを持つ木村由佳は、国内のブランドで経験を積んだ後、ムッシャンのデザイナーに就任し、2024 - 25年秋冬にデビュー。セカンドスキンのアイテムがシグネチャーで、独自の美意識を反映したダークな世界観を披露している。「況; bracing」と題した26年春夏は、初めてショー形式で発表。ストレッチ素材のジャンプスーツはジャケットとワークウェアが融合したデザインで、さまざまな着方ができる。ジャンプスーツ ¥115,500 キャミソール ¥29,700 ベルト ¥37,400 キャップ ¥15,400 ミュール ¥69,300╱すべてMUKCYEN(サカス ピーアール)
日本と中国にルーツを持つ木村由佳は、国内のブランドで経験を積んだ後、ムッシャンのデザイナーに就任し、2024 - 25年秋冬にデビュー。セカンドスキンのアイテムがシグネチャーで、独自の美意識を反映したダークな世界観を披露している。「況; bracing」と題した26年春夏は、初めてショー形式で発表。ストレッチ素材のジャンプスーツはジャケットとワークウェアが融合したデザインで、さまざまな着方ができる。ジャンプスーツ ¥115,500 キャミソール ¥29,700 ベルト ¥37,400 キャップ ¥15,400 ミュール ¥69,300╱すべてMUKCYEN(サカス ピーアール)

──皆さんは日本のモード界の未来を背負って立つ存在でもあります。今の日本の状況に何か思うところはありますか?

舟山 東京をベースにしているブランドが皆頭を悩ませているのは、発表のタイミングではないでしょうか。フェティコは、2026-27年秋冬のスケジュールを早めて、1月末にパリで展示会を開催してから翌月に日本で展示会とショーを行うことを考えています。3月中旬スタートの楽天ファッションウィーク東京に参加したほうがメディアやバイヤーさんはまとめて見られるので都合が良いのかもしれないのですが、海外セールスチームから、バイヤーの予算に余裕があるので1月と6月のプレコレクション発表の時期に合わせたほうが若手にとっては良い、というアドバイスをもらっていて。海外展開を考え始めたところなので、やってみようと腰を上げました。

幾左田 私も発表のタイミングに関しては検討しています。ファッションウィークに合わせると、時間的制限がかかってしまう部分がどうしてもある。コレクションを一番強く表現できるのはショーだとは思っていますが、今それに代わる新しい方法も模索しています。

青木 2026-27年秋冬は3月にパリで、その前に日本で発表する予定ですが、27年春夏は6月に移動させる考えです。そうなると、数カ月後の東京ファッションウィークに合わせて発表を行うには、諸々の調整が必要になるかと思います。各々の生産背景や打ち出したいイメージ、予算と発表のスケジュールを合わせるのは難しいとは思うのですが……パリ・ファッションウィーク期間中にプレゼンテーションを行うのが理想ではありますね。

舟山 私もオフスケジュールでいいのでプレゼンテーションをやってみたくて、いろいろ探っています。ラックに服がかかっているだけとは違った印象になるはずだと思っていて。

木村 ムッシャン(MUKCYEN)は、アワードの支援があるので2026-27年秋冬は楽天ファッションウィーク東京でショーを開催します。日本のお客様に見てもらえる大切な場ではありますが、海外での発表を視野に入れると、今後については検討する必要もあるかもしれません。

──皆さん世界を舞台にすることを目指して着実に歩を進めていらっしゃることがわかり、頼もしい限りです! 険しい道のりだとは思いますが、その原動力を教えてください。

木村 コレクションの発表は、自分の美意識や視点を他者と共有する行為だと考えています。その精度を高めていくことが原動力となり、毎シーズン試行錯誤を重ねています。

舟山 生地の組み合わせやレースの配置を考えているとき、ふと子どもの頃に絵を描いたり工作していた感覚とほとんど変わらないな、と我に返ることがあります。「こっちのほうがかわいい」といった理由で判断していて、楽しんでいる。それを仕事にできているのは幸せなことですし、天職だと思っています。

青木 ファッションは時代とともに変わっていくので、いつまで経っても追いつけない。毎季必ず思わぬ景色を見せてくれるんです。まるでずっと遊んでいるような感覚で、楽しい。それに、ファッションはすごく価値のある文化だと信じています。

幾左田 私は世界観を作ることが好きなんです。それによって誰かを後押しできたら。ファッションにはそういう力があると信じていて、そこに期待しているところもあります。

ユニフォームをフレッシュに再解釈 <br /> 青木明子はセントラル・セント・マーチンズなどでファッションを学んだ後、2014年に自身のブランドを設立。一貫してユニフォームをモチーフとしている。26年春夏はユニフォームを現実のメタファーと捉え、「内」と「外」の装いを融合。センターにレースをあしらったサテンのワンピースの足もとは、あえてスニーカーソールのシューズを。トゥシューズを思わせるディテールが、モダンかつフェミニンなムードを後押しする。ワンピース ¥86,900 シューズ(取り外し可能なリボンストラップ付き) ¥34,100 チョーカー 参考商品╱すべてAKIKOAOKI(アキコアオキ)
青木明子はセントラル・セント・マーチンズなどでファッションを学んだ後、2014年に自身のブランドを設立。一貫してユニフォームをモチーフとしている。26年春夏はユニフォームを現実のメタファーと捉え、「内」と「外」の装いを融合。センターにレースをあしらったサテンのワンピースの足もとは、あえてスニーカーソールのシューズを。トゥシューズを思わせるディテールが、モダンかつフェミニンなムードを後押しする。ワンピース ¥86,900 シューズ(取り外し可能なリボンストラップ付き) ¥34,100 チョーカー 参考商品╱すべてAKIKOAOKI(アキコアオキ)

Photos: Yuki Kumagai Styling: Mana Yamamoto Hair: Yusuke Morioka at Eight Peace Makeup: Asami Taguchi at Home Agency Model: Jiaqi Li Text: Itoi Kuriyama Editor: Gen Arai, Reona Kondo

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