1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「よろしければこちらへどうぞ」電車の座席でおばあさん同士が譲り合い。その隙を突いて座った若者に、私がブチ切れた結果

「よろしければこちらへどうぞ」電車の座席でおばあさん同士が譲り合い。その隙を突いて座った若者に、私がブチ切れた結果

  • 2026.3.4

春風のような譲り合い

買い物袋を両手に提げ、午後の電車に揺られていた時のこと。

ずっしり重い荷物を抱えていた私は、運よく座席にありつけてホッと一息ついていました。

「ふぅ……。特売の卵も買えたし、今日は上出来だわ」

膝の上で荷物を整えていると、次の駅で一人の女性が乗ってきました。

少し背中が丸まった、品の良い可愛らしいおばあさまです。

吊り革を握る手がわずかに震えているのに気づき、私はすぐに腰を浮かせました。

「あの、よろしければこちらへどうぞ。お荷物もお持ちしますよ」

すると、その方はぱっと花が咲いたような笑顔になり、遠慮がちに手を振りました。

「まあ、とんでもない。あなたこそそんなに大きなお荷物なのに……。私はすぐ降りますから、どうぞそのままで」

「いえいえ、私は足腰が丈夫なのが取り柄ですから。さあ、遠慮なさらず!」

私がにこやかに促すと、なんと私の隣に座っていた別のおばあさままでが、スッと立ち上がったのです。

「それなら、私がこちらの方にお譲りしますわ。私は十分休ませてもらいましたから。あなた、せっかくのご親切ですもの、お座りなさいな」

ここから、おばあさま同士の微笑ましい「譲り合い合戦」がスタート。

「あらあら、そんな! あなただってお疲れでしょうに」

「いいんですよ。ほら、あなたが座ってくださらないと、こちらのお姉さんも落ち着かないでしょう?」

「ふふふ、お二人ともなんてお優しいんでしょう」

車内はまるで、春の陽だまりのようなぽかぽかとした空気に包まれました。

三人で「いえいえ」「どうぞどうぞ」と笑い合う、なんとも心温まるひとときでした。

空気を読まない乱入者

「あ、ラッキー」

 

その温もりを切り裂くような、無遠慮なつぶやき。

一瞬の隙を突き、空いた席に音もなく滑り込んだのは、若い男性でした。まるで獲物をかすめ取るような素早さです。

その瞬間、車内の時が止まりました。

中腰のまま固まるおばあさまと、目を丸くしてフリーズする隣のおばあさま。

そして私はというと、譲るために差し出した手を行き場のないまま宙に浮かせ、若者の頭頂部を唖然と見下ろしていました。

当の若者はスマホの画面に釘付けで、私たちの存在など完全に視界の外。

そのあまりに堂々とした無神経ぶりに、私の中で「ブチッ」と何かが切れる音がしました。

「……ちょっと、そこのお兄さん」

自分の声とは思えないほど、低くドスの効いた声が出ました。

若者は気怠そうに顔を上げます。

「あ? 何すか?」

「『何すか』じゃないわよ! 今ここで、おばあさまたちが一生懸命席を譲り合っていたのが分からなかったの!? スマホばかり見て、周りへの思いやりまで見失っちゃったわけ!?」

私のただならぬ剣幕に、若者はビクッと肩を跳ねさせました。

「いや、誰も座ってなかったから……」

「誰も座ってなかったんじゃなくて、『譲るために空けていた』の! その優しい空気を土足で踏みにじって恥ずかしくないの? ほら、今すぐ立ちなさい!」

私がピシャリと言い放つと、周囲の乗客たちの冷ややかな視線が一斉に若者へ突き刺さりました。

居心地が悪くなった若者は、顔を真っ赤にして「チッ、うっせーな……」と舌打ちを残し、逃げるように隣の車両へそそくさと消えていきました。

残された甘酸っぱい余韻

再び静まり返る車内。

ハッと我に返った私は、おばあさまたちを振り返り、急に気恥ずかしくなりました。

「す、すみません、大声を出してしまって……。ついカッとなってしまって、お恥ずかしい」

すると、座るはずだったおばあさまが目をぱちくりさせた後、コロコロと楽しそうに笑い出しました。

「とんでもないわ。あなた、とっても頼もしかったわよ!」

隣のおばあさまも、深く頷きながら微笑んでくれます。

「本当ね、胸がスカッとしましたよ。ねえ、これよかったらどうぞ。喉を潤してちょうだい」

そう言って差し出されたのは、オレンジ色の可愛らしい包み紙に入った飴玉でした。

三人で一緒に飴を口に含むと、口いっぱいに広がる甘酸っぱさと共に、先ほどまでの温かな空気がじんわりと戻ってきました。

「この飴、とっても美味しいですね」

「ふふ、本当ね。なんだか今日は、とてもいい日になったわ」

立ち上がってくれた二人の優しさと、飴玉のほのかな甘み。

世の中には心無い人もいるけれど、それを上回る「優しさ」と少しの「お節介」があれば、まだまだ捨てたもんじゃない。

そんな温かい気持ちを噛み締めながら、私は買い物袋をしっかりと握り直し、おばあさまたちと共に心地よい電車の揺れに身を委ねました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる