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被災しているけど被災者と表立って言えない苦しさ。東日本大震災で自宅避難をした“中間被災者”が持つ葛藤【著者インタビュー】

  • 2026.3.3

【漫画】本編を読む

2026年は東日本大震災から15年。話題にあがる機会も減りつつあり、当時のことを知らない世代も増えてきた。しかし日本のどこにでも、いつ起きても不思議ではないのが地震。あなたは「今日地震が起きても大丈夫」と言える備えをしているだろうか?

2025年12月に発売された『今日、地震がおきたら』(アベナオミ/KADOKAWA)は宮城県利府町で地震にあい、当時1歳7か月の長男と夫と共に自宅避難生活を経験した著者・アベナオミさんによる実録コミックエッセイ。3月11日から3週間の日常がリアルに、鮮明に記録されている。子どもにも当時のことが伝わるようにと漫画の漢字全てに読みがながふられるなど、アベさんの思いが詰まった一冊だ。

震災後、防災士の資格も取得したアベさんに、当時のことや本書のコラムの中でも特におすすめしたい防災術についてなどお話を伺った。

※『今日、地震がおきたら』は、著者が東日本大震災を経験した当時(2011年3月11日〜4月)の詳細なメモを元にまとめています。その中で津波など自然災害を想起させるシーンがございます。お読みになる際は、予めご留意ください。

――アベさんは息子さんが1歳7か月であること、そしてぜんそくのアレルギーがあることから避難所に行かないことにした、と作中で描かれていましたが、もし大人2人だったら行っていたと思いますか?

アベナオミさん(以下、アベ):行っていないと思いますね。仮に行ったとしても1日で帰ってきたと思います。家に住めなくて避難所に来ている方が一番大変なんだから、まだ自力でなんとかできる私たちが炊き出しをもらってはいけないんじゃないかと思っていましたし、そういう方が周りにも多かったです。

――本作には“中間被災者”という言葉が出てきます。作中では「被災したけど自宅でなんとか生活して乗り切った人」とありましたが、アベさんが最初にこの言葉に出会ったのはいつ頃のことですか?

アベ:2017年に出たハフポスト日本版の記事です。同じ頃にTVで放送された特番にもこの話が出てきました。「『被災はしたけどそこまで大きな被害はなかったから被災者だと大きな声では言えない』と感じている人は私以外にもいたんだな」と感じました。

――記事には「完全な当事者にも第三者にもなれない気がする人」とありました。しかし、地震の揺れも経験し、その後、被災生活も送られているアベさんは当事者なのではないかと思ったのですが。

アベ:私の中では津波被害に遭ったかどうかが大きな壁なんですよね。家に津波が来たり、出先で津波にあった人、津波で家族を亡くされた人も近くにはたくさんいらっしゃったわけです。そういう方々と比べると、被災レベルがあるとしたら私は自宅での避難生活でしたし、すごくライトなほうだったなと思うんです。その後ろめたさのようなものはありました。

――周りも同じような認識の方が多かったのでしょうか?

アベ:私の周りはほとんどそうでしたね。避難所で寝泊まりしたわけでもなく家も無事だった方は特にそう思っていた方が多いと思います。今振り返ると、そう考えることで「だから我慢しなきゃいけない」と自分を納得させていた面もありました。

取材・文=原智香

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